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いま最も南米で人気のある曲は…意外な曲


J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

5月17日(火)のオンエアでは、「なぜ南米で人気!? SNS音楽広告から知る、南米が好きなJ-POP」をテーマにお届け。ゲストに、「Gerbera Muisc Agency合同会社」代表の金野和磨さんが登場。

■南米でJ-POPが人気な理由とは

音楽ストリーミングサービスが普及し、世界の方が日本の音楽に簡単にアクセスできるようになる中で、なぜか南米、中南米の方々に聴かれることが多いという。ウェブでの音楽広告マーケティングの視点からその秘密に迫った。

あっこゴリラ:金野さんの会社は、どんなお仕事をされているんですか?
金野:1つは、音楽業界特化型のインターネット広告代理店事業の運営です。アーティストが、新譜をリリースする際の楽曲プロモーションをInstagramやYouTubeなどのインターネット広告でおこなっています。
もう1つは、自動車メーカーや飲料メーカーなどの音楽マーケティングをサポートする事業もおこなっています。飲料メーカーのラベルにQRコードがあって、それをかざすとSpotifyのプレイリストに飛んで曲が聴けるのですが、その選曲をしています。
あっこゴリラ:海外リスナーへのプロモーションも行なっているとのことですが、私、初耳なんですけど、南米で日本人アーティストが聴かれやすいというのは本当なんですか?
金野:はい。弊社で行っているインターネット広告で言うと、南米、アジア、東欧などのエリアで日本のアーティストの楽曲に反響があります。
あっこゴリラ:アジアでの人気は理解できそうですが、南米で愛される傾向があるのはなぜでしょうか?
金野:J-POPに限らずなんですけど、南米は曲さえ良ければ国に限らず、わりとファンになってくれやすい特徴があります。逆に中東とか北アフリカは、広告を打ってもなかなか反応が乏しく、ローカルの音楽しか聴いてくれない傾向があります。
あっこゴリラ:南米の中でも、特に人気のある国はどこですか?
金野:チリ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの4か国は特に人気があります。そこに続いて、ペルー、コロンビアって感じですね。
あっこゴリラ:ちなみにJ-POPと言ってもたくさんのジャンルがありますが、やっぱりアニソンが人気?
金野:アニソンが突出してるんですけど、他の地域とは違う南米ならではの特徴としてロック、ガレージロック、ヴィジュアル系のロックバンドとかがフィットすることがしばしばあります。
あっこゴリラ:へえ~! すごく不思議。おもしろいですね! どういうノリ方をして聴いてるのかも気になる。

金野さんによると、いま最も南米で人気のある曲は、人気アニメ『進撃の巨人』The Final Season Part 2オープニングテーマのSiM『The Rumbling』だという。

あっこゴリラ:やっぱりこの楽曲は、人気アニメかつロックというところで南米にハマったという感じなのでしょうか?
金野:そうですね。『進撃の巨人』自体が海外で凄まじい人気があるというのと、ロックというのもあって、南米で言うとこの楽曲はチリ、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、コロンビア、グアテマラなどかなり広範囲で聴かれています。特にメキシコがすごくて、メキシコシティ、プエブラ、グアダラハラ、モンテレイとかなり広い都市で聴かれていてとにかく浸透度がすごいです。
あっこゴリラ:しかもこの楽曲、アメリカのビルボードホットハードロックソングスチャートで、6週連続1位を獲得しているっていう。すごいですね!
金野:間違いないと思います。

■南米でバズった経験を持つバンド「No Buses」

ロック/ガレージロックが好まれやすいという南米。続いて、実際に南米でバズった経験を持つバンド「No Buses」の近藤大彗(Vo.)にも話を伺った。

2018年リリースの1stシングル『Tic』が南米を中心にヒット。当時ミュージックビデオのコメント欄はスペイン語、ポルトガル語で溢れ、日本より先に世界で注目される形となったNo Buses。まずは、そのときの状況を訊いてみた。

近藤:南米でヒットしていると知ったきっかけは、SNSのDMやコメントでした。色んな国で聴かれているのが嬉しかったです。
文字は読めないのが多かったけど、英語や日本で書いてくれる人もいて。正直、なぜ曲がヒットしたかは分からないですね(笑)。
あれから、今でも曲を出すとその辺りの国の人からリアクションがあったりします。僕は南米には行ったことがないので、いつかバンドでライブしに南米に行ってみたいです。

あっこゴリラ:(曲を聴いて)めちゃめちゃカッコいい! イギリスとかで人気が出そうな感じもしますね。日本のカッコいいバンドが評価されるのは嬉しいことですよね。金野さんは、No Busesの楽曲を聴いてどうですか?
金野:めちゃめちゃカッコいいし、個人的に好みというのもあるんですけど、やっぱり南米の方に好まれるエッセンスがあるなと思います。実際にこの楽曲は、今でもチリやメキシコ、ペルーでたくさん聴かれているみたいです。
あっこゴリラ:へえ~! ちなみに金野さんが携わったもので、南米から好意的な反応があったロックバンドには、他にどんなアーティストがいますか?
金野:いずれもロックバンドで僕が知っている限りだと、女性4人組ロックバンドのBray me、今年の1月まではtetoという名義で活動していたthe dadadadys、男性3人組ロックバンドのリアクション ザ ブッタ、この辺りですね。
あっこゴリラ:金野さん的に、南米の人に好まれる傾向はどんなところにあると思いますか?
金野:楽曲のメロディーが良くて普遍性があるというところが共通しているかなとは思います。

■南米で人気の日本人アーティスト5選

続いて、金野さんが「南米で人気の日本人アーティスト5組」を紹介してくれた。

LiSA『紅蓮華』(『鬼滅の刃』オープニングテーマ)
FLOW『Sign』(『NARUTO -ナルト- 疾風伝』第6期オープニングテーマ)
Eve『廻廻奇譚』(『呪術廻戦』オープニングテーマ)
Aimer『残響散歌』(『鬼滅の刃「遊郭編」』オープニングテーマ)
どんぐりず『NO WAY』

あっこゴリラ:やっぱりアニメ関連曲が多いですが、やはり海外リスナーにもアニメきっかけが強いって感じなのでしょうか?
金野:いい意味でも悪い意味でもそうですね。アニメがJ-POPやJ-ROCKの入口になっているのはとても良いことだと思うんですけれども、残念ながらアニメ以外でまだこれといったしっかりとした入口がないとも認識しています。
あっこゴリラ:確かに、一強って感じはしますよね。金野さんが考える、海外リスナーに聴かれるための秘訣って何かありますか?
金野:海外リスナーってアニメのタイアップがなくても、MVでアニメーションが使われている楽曲に対しては好意的な反応をする傾向があります。
あっこゴリラ:なるほどな~。これね、アニメーションのMVってお金かかるんですよ(笑)。
金野:あははは。間違いない! でも、最悪MVじゃなくてもいいんですよね。例えばリリックビデオであっても、そこから作った広告動画でヒットするってことが事例としてたくさんあります。
あっこゴリラ:アニメ要素の全く無いアーティストが聴かれる方法ってあるんですかね。
金野:アニメ要素がなくてもファンを獲得しているアーティストって、実はたくさんいます。例えば、ゆったりしたテンポのポップスやシティポップなどは、東南アジアで反響がありますし、邦楽ロック、ハードロック、ガレージロック、ヴィジュアル系などは、南米で反響がありますので、まずはプロモーションの手段としてインターネット広告を試してみるっていうのはありなんじゃないかなと思いますね。
あっこゴリラ:先ほどアニソンが続くなか、どんぐりず『NO WAY』が入っていましたが、どんぐりずは南米で人気が出たんですか?
金野:バズが起きた理由までは詳しくはわからないんですが、チリの教育番組に「ボドケ」というキャラクターがいて、そのキャラがどんぐりずの『NO WAY』の楽曲のテンポに乗って早口でしゃべったり、決めポーズをするみたいな動画がTikTokでめちゃくちゃ広がったんです。
あっこゴリラ:へえ~! すごい。
金野:それをスペイン語圏の国々を中心に、みんな真似をしたみたいです。

あっこゴリラ:今後、日本人アーティストが海外に出ていくために、どんなプロモーションが必須になると考えますか?
金野:日本人アーティストが海外で知られるために、「インターネット広告」は有効だと思います。
インターネット広告の良いところは少額でもやれることなので、リリースしたタイミングで定期的にInstagramやYouTubeの広告を実施してみて、まずは自分たちと相性のいい国を見つけるところから始めていくのがいいと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。相性のいい国を見つけたら、その国に特化した広告の仕方というのもあるんですか?
金野:例えば、その国に合わせた言語で広告の動画を作るとか、ローカライズができます。あとは、弊社のクライアントで言うと、反応がよかった国とフィーチャリングして曲をリリースするとかですね。

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【番組情報】J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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