表現を拡張し続けるミュージシャンたち
J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。
3月14日(月)のオンエアでは、「音楽と表現! 音楽を形にする人々! 」をテーマにお届け。音楽活動に留まることのなく、表現を拡張し続けるミュージシャンたちに注目。音楽と演劇、映像、その表現の密接な関係に迫った。ゲストに、劇作家の根本宗子とシンガーソングライターの清竜人が登場。
■劇作家の根本宗子が唸る! 「おすすめミュージカル音楽」
一人目のゲストには、劇作家の根本宗子が登場。
あっこゴリラ:実は私、根本さんが作/演出/企画をされた舞台『Cape jasmine』に去年出演させていただいたんです。私にとって初舞台だったんですが、なぜ私を誘ってくれたんですか?
根本:実は、『SONAR MUSIC』でお喋りを聴いたことがきっかけで。素直だし、すごくストレートで、それが演劇でもお客さんにストレートに言葉が届くだろうなと思って、セリフを喋ってみてもらいたいと思ったんです。あとは、人柄に本当に興味があったから役を書きたかった。
あっこゴリラ:めっちゃ嬉しい! 『Cape jasmine』は、今までにないオリジナルのミュージカル作品でしたが、いま日本におけるミュージカルの現状をどのように感じていますか?
根本:演劇の目線から見て、日本は他の国に比べてどうしてもオリジナル作が出にくい。現状は海外の作品を買って上演ばかりで、それって日本人としてちょっと悲しいなって思うことが多くて。日本オリジナルのミュージカルが、もっと日本から出ればいいなと思ってこういう作品を積極的に作っています。
そんな劇作家の根本宗子が唸る「おすすめミュージカル音楽」を紹介してもらった。
あっこゴリラ:まずは?
根本:ミュージカル『SiX』から『Ex-Wives』を紹介したいと思います。
あっこゴリラ:(曲を聴いて)クラブミュージックみたいな感じですが、『SiX』はどんな作品なんですか?
根本:ヘンリー8世の生前の妻6人が、なぜか現代に蘇ってライブするって話です(笑)。
あっこゴリラ:あははは! めっちゃおもしろそう。
根本:めちゃくちゃおもしろいんですよ。それぞれが自分が一番良い奥さんだと思っていて、それを一曲ずつ歌い繋いでいくんです。このサントラはイギリスですごいヒットして、もともとミュージカルにはそんなにお客さんが入ってなかったんだけど、サントラがヒットしたことですごい満席になっちゃって、イギリスで一番くらいに流行っているミュージカルです。
あっこゴリラ:ええ~! すごいね。
根本:自分はこの作品を初期に見ていてめちゃくちゃ好きで、もし日本に来るんだったら自分が演出したいから、本当は誰にも紹介したくないくらい(笑)。
あっこゴリラ:続いては?
根本:紹介するのは、ミュージカル『Hamilton』から『My Shot』です。
あっこゴリラ:実は『Cape jasmine』にお誘いいただいたときに、ミュージカルにラップが入るってこんな感じだよって教えてもらったのがこの作品なんです。
根本:そうそう。
あっこゴリラ:めちゃくちゃカッコ良くて、みんなラップが超上手くてびっくりした。『Hamilton』は、『インザハイツ』を作ったリン=マニュエル・ミランダの作品なんですよね。
根本:私、リン=マニュエル・ミランダが本当に大好きで、この人が今後のミュージカル界を大きく変えていくと思います。
あっこゴリラ:『Hamilton』は、どんな作品なんですか?
根本:最近和訳がついて私もやっと内容を理解したんだけど、ちょっと日本人には馴染みがないストーリーなんだよね。説明するのも難しいし、時代背景を把握してないとわからないから、日本にはなかなか来づらい作品かもしれない。
あっこゴリラ:続いては?
根本:ミュージカル『Follies』から2018年キャストのバージョンで『Don't Look At Me』です。
あっこゴリラ:『Follies』は、どんな作品なんですか?
根本:2組の夫婦が主人公で、物語としては恋をテーマにした話です。『ウエスト・サイド・ストーリー』を作ったスティーヴン・ソンドハイムの作品ですが、ソンドハイム節がさく裂の楽曲で、歌も踊りもめちゃくちゃ難しいんです。
あっこゴリラ:へえ~。
根本:その上、年齢が若い人から上の人まで幅広く出てるから、全役出来るキャストがなかなか見つからなくて、めちゃくちゃヒット作なのに向こうでも全然再演がされていない作品なんです(笑)。
あっこゴリラ:そういう問題が出てくるんだね。
根本:すごく好きな作品なんだけど、和訳がすごく難しくてなかなか日本で上映されないから、海外まで観に行くくらい好きな作品です。
あっこゴリラ:最後は?
根本:ミュージカル『Matila』から『Revolting Children』です。
あっこゴリラ:いま曲を聴いただけでめっちゃ観たいと思った!
根本:これが一番あっこちゃんに観てほしいの!
あっこゴリラ:『Matila』は、どんな作品なんですか?
根本:マチルダっていう女の子が、バカ過ぎる親から生まれて小さい頃からくだらないものしか与えられていなかったんだけど、本を読んで天才少女になって、小学校に入学して自分が超能力を使えることに気付いて、学校で虐待をする先生に対して革命を起こす話です。
あっこゴリラ:最高!
根本:出演者がほぼ子供で、スーパーキッズたちが見れる作品。本当に素晴らしいです。
■舞台『今、出来る、精一杯。』を小説化
ここからは、もう一人のゲスト、シンガーソングライターの清竜人が登場。清竜人は、根本の舞台で主演や音楽を務めたり、清が監督/音楽を務めたソーシャルドラマ『HANARE RARENAI』では根本が脚本絵を手掛けるなどしている。
あっこゴリラ:今回、清さんの楽曲『離れられない』を原案に根本さんが脚本を書かれたということですが、根本さんはこの楽曲を最初に聴いた時にどんな印象を受けましたか?
根本:この順番で作品を作るのが初めてで、楽しみに曲を待っていました。もともと竜人さんの楽曲のファンだったのでよく聴いてるんですけど、久々にどストリートなラブソングでちょっと原点回帰なのかなって勝手に思いました。
あっこゴリラ:今回のように音楽から作品を作るという作業はいつもと違うものですか?
根本:曲を邪魔しちゃいけないというか、曲の世界観を崩さないようにうまく物語にしないとって思うからプレッシャーは大きかったですね。
ドラマは現在、YouTubeにて公開中。よりその世界観が膨らむと思うので、ぜひチェックしてみてほしい。
あっこゴリラ:お二人は、これまでも『今、出来る、精一杯。』や『Happily Ever After』など一緒に作品を作られていますが、お互いのすごいと感じた部分は何ですか?
根本:作品を大事に考えて細かく細かく効果のある提案をしてくれるところです。私は音楽の知識がそんなにあるわけではないですが、説明がいつもわかりやすくてそこがすごく助かっています。
あっこゴリラ:清竜人さんはどうですか?
清:クリエイティブな部分というよりかは、やっぱり根本さんの人間的な部分ですかね。すごく運が良さそうな人生だなって思います。もちろん実力があるのは当然として、ツイてそうだなって。
根本:そんなこと初めて言われました(笑)。
様々な活動を通して、演劇でも今までにないアプローチをしている根本宗子だが、今回自身が過去に公演を行った舞台『今、出来る、精一杯。』を小説化してリリースする。この舞台の最新の公演では、清竜人が主演と音楽を務めた。
小説『今、出来る、精一杯。』は、4/21(木)に発売される。ぜひチェックしてみてほしい。
■音楽と演劇に共通すること
ここからは、清竜人に音楽と表現について伺った。
あっこゴリラ:清さんは監督をされたり演技もされていますが、自身の創作活動に影響はありましたか?
清:僕は他のアーティストに比べて、各アルバム、タイトル、作品のイメージなど比較的変遷がある方かなと思っていて。根本さんとのお仕事もそうですけど、いろんなことをインプットして自分の出来る範囲内でふり幅をもってアーティスト活動や作品に落とし込むことを心掛けているので、その幅は広がったと思います。
あっこゴリラ:音楽と演劇に共通することってあると思います?
清:近い分野ですし、そもそも演劇には音楽は不可欠だったり、音楽にもそうだと思うのでそこは不可分だと思います。でも役者とシンガーという意味では、自身でやってみてちょっとシフトが違う部分があるのかなと思いますね。
あっこゴリラ:うんうん。
清:キャリア的に、歌う方がやっぱりニュートラルな感じはしますね。
あっこゴリラ:そんな清竜人さんは、SONAR'S ROOMの(前)月曜レギュラー、小林私くんの楽曲『どうなったっていいぜ』を作曲、MVの監督、さらに編集までされたとのことですが、オファーが来たときはどう思いましたか?
清:そういう若い世代からお声掛けいただくっていうのはすごく嬉しいし、あとは単純にコラボレーションのしがいがあるというか、自分自身も彼に関わってクリエイトしていくっていうのは刺激的でした。
あっこゴリラ:今回MV初監督ということでしたが、いかがでしたか?
清:すごく新鮮でやりがいがありました。MVって、曲が大事でその曲が持っているパワーが一番にあるので、それをより引き立たせて映像にするってすごく難しいなって思いました。
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