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かわら版No.13 米沢の経済とは何か?そして米沢の経済にとって何が必要か?【米沢経済編②】

米沢議会9月定例会は中盤戦へ。令和4年度米沢市歳入歳出決算書ほか、各種特別会計決算について決算特別委員会での審議が終了しました。例えば、家計的な視点で言えば、米沢市本庁舎をはじめ各施設の光熱費の前年度からの値上がり幅はもはや感情的には許容範囲を超えています。この異常気象が続く環境にあって、公共施設の施工にあたっては、最初から光熱費等を抑制するような設計や電力等エネルギーの調達方法を含めた創意工夫を全庁的に実施していく必要性を強く感じた次第です。例えば、市立図書館ナセBAのような大型の吹き抜け空間を持つ施設は、それが本当に必要か?環境的な視点から設計段階で考える必要があると思います。

また、今後水道料金や下水道料金の値上げも、これは米沢市だけではないわけですが、今後検討の可能性を含む段階です(今すぐにではありません)。但し、実質賃金が下がり続けている昨今の経済状況に鑑みれば、水道料金や下水道料金の値上げは、さらなる可処分所得の下方修正となり、家計をますます圧迫するものであり、そう易々と容認することはできません。他の基礎自治体では、電気水道高熱費等の素となるエネルギーを自ら生み出し、収入に変えていく取り組みも始まっておりますから、米沢市においても総合的に検討する余地はまだまだあります。

さて、米沢の経済とは何か?そして米沢の経済にとって何が必要か?を考えるにあたり、現在の日本経済が、なぜ長期停滞状況にあるのか、その理由はなんであるのか明らかにする必要があります。この点、日本の家計は、1990年以降多くのリスクに直面してきました。バブル崩壊による「失われた10年」(もはや失われた30年と言われていますが)、2008年9月のリーマン・ショックによる「グローバル金融危機」、2011年には未曽有の災害「東日本大震災」、そして直近の2020年の新型コロナウィルス感染症の蔓延による「コロナ危機」などがそうです。さらに、家計のリスクを高める直接来な出来事に加えて、少子高齢化による人口減少は、先の見えない不安を常態化させ、日本経済の先行きの不確実性は高まりをみせるばかりです。

大坂大学名誉教授の小川一夫「日本経済の長期停滞 実証分析が明らかにするメカニズム」日本経済新聞出版(2020.11)によれば、上記のような不確実性の高まりに加え、コロナ危機では労働市場の需給状況の悪化に伴う「雇用リスク」、新型コロナウィルス感染症に罹患するかも知れないという「健康リスク」が上乗せされ、家計が直面する不確実性はこれまでになく高まったとしています。この結果、家計は、不確実性の上昇に直面した場合、予備的貯蓄を増加させ、消費を控える行動をとる、と言います。家計において、将来に対する不確実性が高まることで、それに備えるために貯蓄を増加させること。これを「予備的貯蓄」と言います。

同著からそのまま引用します。

「このような家計による貯蓄増強行動が、消費の低迷をもたらしている。そして消費の低迷は、企業の長期的な見通しをも悲観的にさせ、それが企業の設備投資を慎重にさせ、日本経済の停滞をもたらしているのである。」(286p)

つまり、日本経済の長期停滞原因は、消費の低迷です。そもそも使える金がないという論点も重大です(例えば、就職氷河期世代・ロスジェネ世代問題)が、使える金が多少あっても予備的貯蓄に回って消費が増えない。安心してお金を使うことができない、それが日本経済ということです。

したがって、これを解決するには、お金を安心して使える社会にしなければなりません。将来の不安なくお金を使える社会です。では、消費を安定的に増加させ、将来に対する不確実性を減じるためには、どのような政策が有効なのでしょうか?

ですが、その前に、今回の帰結として、①米沢の経済とは何か?②そして米沢の経済にとって何が必要か? 答える必要があります。
①米沢の経済も、消費の低迷経済であること。
②そこで、消費喚起政策を打ち続けること、です。
将来不安が解消されないかぎり根本治癒はできませんが、対処療法として消費喚起政策を継続することです。繰り返しますが、予備的貯蓄にならずお金が消費されるような政策内容でなければなりません。

次回に続きます。お読みいただきありがとうございました。

かわら版No.13


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