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虚構日記:オブジェ

夢を見た。

男がひとり銃殺され、現場にはbarn(納屋)だかburn(燃やす、燃える)だかの文字が血で書かれていた。わたしは刑事でもないのに、なぜだか現場に連れまわされている。

意見を求められるわけでもない。それなのに、死体を指し示され、英語らしき言語で「見ろ」と命令される。
わけもわからず、知らない男の死体を見る。

青のチェックのシャツがところどころ焦げたように黒い。穴が開いているのかはわからない。次の命令が来ないので、その焦げ跡をじっと見ていると、わたしを無視して捜査会議がはじまってしまった。

と思ったら、いつの間にか現場から警察署に移動していた。
署内は、死体があった場所より濃密に殺気立っていた。

会議は粛々と進んで行く。どうやら、この男を殺したと思われる男の見当はついているらしかった。が、そこへ容疑者の男が彼女と一緒に死んでいるという知らせが入る。

なんと忙しない。

あわてて死体発見現場に行くが、そこには黄色い巨大な卵形のオブジェがあるだけで事件がおきた気配は微塵もない。血の匂いすらしなかった。

それなのに皆、一様に顔をしかめている。

刑事のひとりが吐き捨てるように教えてくれた。
この卵は二人分の肉塊で作られていて、なぜか黄色い染料で染められているのだと。

そんな馬鹿な。触ってみたが、表面はつるつるで臭いもない。

これが人間の死体? 

「流行っているんだ、死体で卵型のオブジェを作るのが」

そんな流行があるのか。なるほど、世界は広い。また捜査会議がはじまる。刑事でもないわたしには、口出しをする権利もない。

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