まちなかに、ぽーんと山がある。
仕事で山口県に来たので、せっかくならとその翌日に福岡まで足を延ばした。
福岡に来ると必ず立ち寄る場所がアクロス福岡だ。たぶん、今回で3回目。
この施設は、福岡県の国際・文化交流を目的とし1995年に建設された。
とは言え、僕はこの建物の中に足を踏み入れたことはなく、いつも、建物の向かいにある公園から眺めるだけだ。
この建物の外観はこんな風になっている。
壁面緑化と言うには度を超えた、ちょっとした山なのだ。まちなかにぽーんと山がある。それも博多のど真ん中。サラリーマンや住人はそれが当たり前のようにサクサクと公園を横切るが、部外者の僕にはこの風景が面白くてたまらない。
横からみると、普通にビルなのに、
やっぱり近くでみると、山だ。
階段状の"登山道"もあって、都会のど真ん中で山登りを楽しめる。
向かいの公園の先には病院があるのだけど、きっと病室の窓からは"山"が見えているから、入院している人にとっては、ただのビル群を眺めるのとは違う印象を与えるだろう。
僕がアクロス福岡を知ったきっかけは、西村佳哲さんの「人の居場所をつくる」という本だ。この本は、ランドスケープ・デザイナーの田瀬理夫さんの仕事や思考を、西村さんが丁寧に拾い上げた本だ。
田瀬さんは、アクロス福岡のランドスケープを設計し、行政や企業とのやりとりの末、この山をつくった。本の中で紹介され驚いたのは、ビルに備えられたスプリンクラーを一度も使うことなく、自然の雨だけでこの山を整えられていること。そして、鳥や虫が種子を運び、今では当初植えたもの以外の植物が元気に育っていること。
まちなかに、ぽーんと山がある。
それだけでできることが増える。ふだん、登山グッズを揃えて、朝早く起きて、遠出をして山に登ることはしないけれど、アクロス福岡の近くに住んでいたら、この山とうまく付き合う生活をすると思う。
まちなかに、ぽーんと山がある。
もし僕が大金持ちになったら、渋谷のど真ん中に小さな山をつくったりしてみたい。落ち葉拾いや焼き芋つくり、山登りに野点のコーヒー。山のすぐ隣に、なんでも売っている百貨店やきらきらとした電光看板があるのも、都会の山の面白さだ。
まちなかにぽーんと山がある。
という観点で発想していくといろいろ考えられそうだなあとワクワクした。やっぱりすごいな、アクロス福岡。
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