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ロープ一本さえあれば。

御多分に洩れず、染谷家も保育園難民だ。

子供は自宅で妻にみてもらう状態が続いていて、ふつうに保育園や幼稚園に入園できる可能性はこのままでは少ない。そこでいろんな形で保育ができる場所を探していた。

「自主保育」と冠にはつくものの、その土地で20年以上の実績のある野外保育の見学会に参加したのが一昨日のこと。

集合場所は大きな公園。園を主催するご夫婦のほか、そのグループに加入している子供とそのお母さんが15人ほど。はじめての体験組が5組。男親は僕だけ。平日だし、そういうもんかな。

会場は公園といっても遊具はなく、あるのは広場と池くらい。でも子供たちは大きな声で笑いながら、ずんずん進んでいく。ずいぶんたくましいなあ。

結局、4時間の見学で行ったことといえば、公園をぐるっと周り、お弁当を食べただけ。それだけなのだけど、僕はとても感動した。というか、びっくりした。

主催の男性は手にロープを持っていて、子供たちの要望に合わせてロープをいろんなものに見立てていく。ある時は機関車になり、だるまさんがころんだのスタートラインになり、木の枝にくくりつけてブランコにする。

公園、子供たち(と母親)、ロープ一本。

ただそれだけで生まれるいろんな光景に頭がくらくらする。もともとその公園には何回か行ったことがあったけれど、そこでブランコができるなんて思いもよらなかった。解像度が低かった。

見学会を終えたのち、僕は考える。何か企画をするときに「ロープ一本」だけで作れていたかと自問する。すべり台を置いたり、砂場を置いたり、あれやこれやとコンテンツを雑に用意していなかっただろうか。

「ロープ一本」でさまざまな遊び方を提案すること。もっと言えば、ロープすら要らなくて、場と人と少しのルールさえあればよいのかもしれない。

さらに考える。でもそもそも、その場自体を用意するのも必要なんだ。きれいな公園があってはじめて、ロープ一本で遊べるんだ。そして、公園を作るには、資金集めや設計や申請など、いろんな配慮がいる。

いま、まさに「公園」をつくってるんだけど、それがなかなかうまくいかないこともあり、そんなところに想いを馳せた。

ロープ一本で遊べる企画をつくることと、ロープ一本で遊べる企画ができる場そのものをつくること。

それにしても子供たち、ずうっと走り回って遊んで夜はぐっすり眠るのだろう。かく生きたい。

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