「本のある空間を面白がる会」に参加しました。
6/24に開催された、「本のある空間を面白がる会」にゲストとして参加しました。御誘いいただきありがとうございました。
イベントの模様もYouTubeで公開されています。
僕が面白いなと思ったポイントは、ふたつありました。
1.「出会う場」ではなく「過ごす場」としての「本のある空間」
ゲストの東京理科大で海外の図書館の研究をされている垣野先生のプレゼン(動画12分頃)がとても興味深いものでした。
ストックホルムでは「図書館は市民のリビングルーム」と謳われているそうで、特に北欧には、居心地の良さそうな図書館をたくさんあります。
「本のある空間」とひと口に言っても、そこが、「本と出会う場所」なのか、「本と過ごす場所」なのかによって、場作りのアプローチはまったく異なることは、ここ数年の取り組みで感じていました。
どうしても、書店のビジネスモデル議論は、「出会う=たくさん買ってもらう」に寄るけれど、文喫や箱根本箱は、「その場で過ごす」ことを価値化することで、それが収入の複線化にもつながったし、今までになかった場所として捉えていただいたようにも思えます。
なのに、ポストコロナにおいては「その場で過ごす」ための維持コストは強まるばかり。今まで無意識にできていた「移動」が制限されてしまうと、さらに高付加価値・わざわざ感を高めなければ「行く理由」が作りづらくなる。つまり、場を持つことのリスクも高まってしまいました。
とは言え、インスタントな「過ごす場」が、手間はかかる割に儲かりづらくなることで、いずれ少なくなっていくことは、もしかしたら良いことかもしれません。なるべくなら、気持ちの込もった場所にいたい。
2.「本のある空間」の視座を上げる
じゃあやっぱり、「出会う場」としての書店の話をより深めていくべきなのかというと、それだけでもないと思います。動画の1時間26分頃から始まる、グループ4の方の発表がとても面白いです。
「家の表札の脇に本を掲示する」「ハロウィンのときに本を配る文化をつくる」など、「本のある空間」を最初からまち起点で発想している。*「ブックハロウィン」とか、なんか出来そうですよね。面白そう。
そういった活動を「主宰・応援する場所としての書店」があるという視点に持っていけると、よりひらいた業態になりそうです。(もちろん、すでにそういった活動をされている書店は全国にたくさんあります)
「個々人の趣味嗜好・学びを促進するツールとしての本を売る場」としての書店と、「コミュニケーションツールとしての本をまち起点で展開する言い出しっぺ」としての本屋って、どちらも大切だよなあ。
ということを、たくさんの人が議論することで見えてくる、とても有意義な時間を過ごすことができました。参加された皆さんそれぞれが、本に対して、本のある空間に対して思いがある方ばかりで、議論していてとても楽しかった。
本編の最後、オンデザイン西田さんが「ひとつのテーマをみんなで面白がっていくと、面白がった先にはポジティブな未来しか見えない」ということを仰っていて、いいなあと思いました。本当にそうですよね。そうやって意見を交わしていきたい。