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お店を造ろう・繕う・創ろう

こんにちは。白雨製作所/apres la pluieの染谷です。
今日は、僕が今まで作ってきたお店や、先輩たちが始めたお店などを思い出しながら、お店を作るにはというようなことを、少しぶらついてみます。

コンセプト
「コンセプトシートを作って~」などでよく使われるコンセプトという言葉。その中ではだいたい、競合店との差別化や、新規性などが問われたりします。
差別化はだいたい、「XOXO産の小麦粉で」や「海外帰りのパティシエが」といったようなところ。素材系差別化と、属人的差別化があります。
新規性は、「XOXOでは初めての商品」とか「XOXOエリアでは初めてのXOXO」みたいな感じで作られます。
僕はどれも好みではなくて、「どこよりも旨い」みたいな感覚的なものに惹かれてしまいます。
お店を作るときに考えた差別化や新規性は、意外と当たらないものです。お客さんが、どうして来てくれるのか。それはお店を開けてみて、お客さんを見ながらでしかわからないものです。
圧倒的に旨いものを、それなりの値段で出し続ければ、競合店と比較した新規性などなくても、既存商品への顧客の飽きにさえ対応できれば、幸せな店舗運営ができると思っています。
文字的にわかりやすい差別化は、ケーキやパンを買ってくれるお客さんに対するものではなくて、マスコミや、金融機関へお願いごとをするときに、必要になってくるものだと考えています。

立地
ケーキ屋、パン屋、菓子屋は全部、立地に影響を受けます。ただ一概に「良い立地」とされている場所が、そのお店をやる個人にとって最適とは限りません。良い立地は賃料も高く、賃料を売上に変換できる可能性と蓋然性は高まりますが、それが幸せとは限りません。
逆もあります。人里離れた山間にぽつんとあるパン屋さん。限定数量を毎日売り切って閉店。パン屋にしてはワーク・ライフ・バランスのようなものが確保できるそんな業態。
良い立地の高い賃料をペイするために、良い立地の店舗は営業時間が長くなる傾向にあります。(原材料費を安くする傾向にもあります。それが自分の作りたい菓子なのかを問う気持ちを持つ個人も多くいました)
ものすごくいい立地で、ものすごく原材料をちゃんとして作ったものを、ものすごい値段で売れる、それは幸せだと思います。

仕入れ
お店をするのに不可欠な原材料。だいたいは問屋さんに持ってきてもらうのが普通だと思います。僕は複数の問屋を競わせて最安を取る業態で仕事してきたのが長かったのですが、これはおすすめしません。良い意味合いをもたせた「もたれ合い」のような状況を問屋さんとは作ったほうがいい。
問屋さんを「業者」と呼んで下に見る先輩も多くいました。僕は途中、問屋的な仕事をしていたので、そういう客先に、問屋がどんな提案をするのかを間近に見ることができました。詳しくは言いませんが、問屋さんは大切に。

スタッフ
ひとが採用できない、そういう嘆きの声を聞くことも多いこの業界。特に製パンの調理は大変だと思います。ケーキ屋はまだ、専門学校卒がそれなりに採れるので大丈夫だと。

販促とものづくり
車の両輪です。ものづくりを疎かにしては何しているのかわからない。販促しないと買って貰えない。
力の入れ具合は割合ではなく、自分の理想とするものづくりの7割できたら、残り3割の力で販促をする。
販促3割したら、残りのものづくりをする。3割の追加分の説明を兼ねて販促をする。その繰り返し。繰り返し。
でも安売り販促はしない。エブリデイ・グッドプライスです。
僕が仕事をしていたある洋菓子店では、販促を兼ねて、閉店までショーケースにプチガトーがしっかりある状態にしていました。しかも、プチガトーは翌日に繰り越さない。つまり全量廃棄していました。
僕はこれが、本当に辛かった。原材料費がとかいうことじゃなくて、廃棄しなければいけないことがただただ辛かった。だから今のお店で、生菓子をしないというのもあります。

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