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一日一花

川瀬敏郎さんの著書「一日一花」を眺めていると、枯れてしまった草花や笹の葉が一分の隙もなく活けられた姿に研ぎ澄まされた美意識を感じます。
一年を通した季節のうつろいに合わせて日々活けられる花は、目を見張るような豪華なものではなく、野にひっそりと咲く二人静や片栗、一輪の椿などですが、幾度か見返していると、昨日とはまた違った花に心を奪われ、自分自身の心の変化にも気づかせてくれます。

花は野にあるように、とは利休七則のひとつですが、これは「自然そのまま」に活けるということではなく、自然から与えられた命の尊さを盛りこもうとすることに真の意があるようですが、この言葉は花に限らず、見立て次第であらゆる人やモノに意を通わせるすべがあることを説いているようにも思えます。

中学時代に母からお茶とお花の基礎を教わって以来、自己流を通してきた僕にはとうてい辿り着けない境地。花をどう撮るか、その姿勢と接し方についても、一から考え直さなければ、と思わせてくれる良い機会になりました。