鉄器について

鉄の発明により、人類は新たなステージへと登った。

時代区分に鉄器時代という名が冠されるくらいの偉大な発明だった訳だ。
我々の生きている今も1000年後くらいの教科書にはスマホ時代とかデジタル時代と載せられる日が来るのかもしれない。

変化というのは起こっている最中に認識するのは難しいと社長によく言われる。

鉄器についてなんて風呂敷を広げて書き始めたが、別に鉄器時代について考察したいわけではない。
(鉄器時代に思想の体系化や国というものの存在が強まったってのは面白そう)

電車の中で書いているのだが、目の前のサラリーマンよ。しまなみ海道のスタートは福山ではなく尾道だ。テストに出るのでしっかりチェックしてくれ。

脱線が多いが、何が言いたいかというとリモートワークで家にいる時間が多少増える(と良いな)を見込み、家で美味しいお茶を飲むために鉄器の急須を買ったというだけの話だ。

我が家にはウォーターサーバーが置いてあり、ボタンを押すだけでお湯を供給してくれるためこれまで急須を使うことはなかった。

その便利さも良いのだが、お湯が沸くのを待って飲み物を入れるという動作になんとも言えない魅力を感じてしまい今回急須を買った。(やかんというのか急須というのか)

重たいものを家まで運ぶ体験にはあまり魅力を感じなかったので、アマゾンで購入した。
最初に安めのやつを見ていたが南部鉄器と書いてあるが出品しているところがあからさまに中国の会社だろうなという名前の親切なお店だった。

総合的な評価点数は高かったが、個別にレビューを見ていくと案の定自分の求める鉄器では無さそうだ。

結局少し値段は張ったが、ちゃんとした鉄を使ってそうなものを買った。

なんか鉄器っていいじゃんというジャケ買いに近い行動原理なので使ってそうという安心感が大事なのだ。

昨晩届いて、リモートワークで人との会話が欠乏した同僚と電話しながら試運転を行う。

いきなり沸かした湯を使うのではなく、2・3回中火でお湯を沸かして捨ててを繰り返してから使いなさいとのことだ。

今までの私ならめんどくさいと思っていただろうが、
最近の私はさながら #丁寧な暮らし なのだ。
そんなめんどくささもありがたがるお年頃。(既に時間は0時を回っていた)

4回目に沸かした湯でやっと烏龍茶を煎れた。
なんとなくいつもより美味しい気がする。
扱い慣れない鉄器で知らないうちに手を火傷していたようで、じんじんと痛む。

濡れたまま放置するのは良く無いとのことなので少し空焚きしてみたが注ぎ終わった時点で余熱でほとんど水分が飛んでいるように見えた。うまくできているものだ。

うれしくなって家族にLINEで報告を入れた。
中国茶は鉄器ではなく土器を使えと返事が来た。

鉄分が邪魔らしい。

しかし、一度進み始めた文明に後退は許されない。
発展の極地に至り終末を迎えるその時まで。今日も私は鉄器でお茶を煎れる。




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