見出し画像

4スタンス理論から考えるRyanguru式AIM実践法

こんにちは。誰か(ツイッター名はエイム力乞食@aim_plz)と申します。
少し前、Ryanguru氏のエイム理論について、目の使い方の観点から考察した記事を書いたところ、多くの方に読んでいただけました。これはマウスの持ち方の人さん(@mousenomotikata)をはじめ、記事をリツイートしたり広めたりして頂いた方々のおかげです。本当にありがとうございます。また、記事を読んだりハートを付けたりしてくれるだけでもとても嬉しいです。ありがとうございます。

一方で、上記の記事ではRyanguru式AIMを実践するための方法論というよりは理論的な説明という側面が大きく、実際に自分でRyanguru式AIMを身に付けたいという需要には上手く応えられていません。

そこで、本記事では私がRyanguru式を身につけられたきっかけを示し、それを4スタンス理論の観点から考察することで、実践のためのより普遍的な知見を示します。

Ryanguru式AIMとは

Ryanguru式AIMとはその名の通り、Ryanguru氏が下記の動画で提唱するエイム方法のことです。この記事を読んでくれている方はもう十分過ぎるほど見た動画かもしれませんね。

この動画で述べられているRyanguru式AIMを簡単に説明すると、手首や腕に支点を作らず、マウスセンサーのみを基準として動かすAIM方法のことだと言えるでしょう。

また他にも、Ryanguru式AIMの説明の動画や記事は数多く存在します。たとえば、普段マウスの持ち方に焦点を当てた記事を書かれているマウスの持ち方の人さんが書いた下記の記事などが挙げられます。

4スタンス理論とは

4スタンス理論自体は、マウスの持ち方の人さんが取り上げていることもあり、聞いたことがある人が多いでしょう。一方で、そのベースの理論である5ポイント理論については、あまり注目されていません。そこでこの章では5ポイント理論を整理することで、改めて4スタンス理論をまとめ直してみます。

この章の内容は以下の記事がもととなっています。より詳しく知りたい方はぜひリンク先の記事を読んでみてください。

また、4スタンス理論創始者の廣戸聡一先生の記事も参考になるでしょう。

5ポイント理論

5ポイント理論とは簡潔に言うと、身体には体軸を作るための5つの基点があり、それらを垂直に揃えることによって高いパフォーマンスを発揮できるというものです。

この基点とは具体的に、首の付け根、みぞおち、股関節、ひざ、両足首の5つです。これら5つのポイントを地面と垂直な一直線上に揃えると、安定した体軸を作ることができます。実際、これら5つのポイントを地面に垂直な一直線上に並べて立ってみると、身体がとても安定することがわかると思います。このような体軸を作ることによって、高い能力を発揮できるというのが5ポイント理論なのです。これはあくまで私の解釈ですが、高いパフォーマンスを出せる理由としてはおそらく、5つのポイントを揃えると最も安定したバランスが取れるため、姿勢制御に必要な無意識や筋力が最小となるからだと考えています。

また、上記で挙げた5つのメインポイントとは別に、サブポイントと呼ばれるものもあります。それは肩、肘、手首にある3つのポイントです。これらはそれぞれ首の付け根、みぞおち、股関節にあるメインポイントの補助や代用になります。具体例として、4スタンス理論創始者の廣戸聡一先生は次のように述べています*

 わかりやすい例を出しましょう。テーブルに向って椅子に座っているとします。そのまま小さく丸くなって、軸をつくらない姿勢でいるところを想像してみてください。この状態だと立ち上がるのはなかなか困難なのですが、テーブルに手の平をつくとそれが補助になって立ちやすくなります。手の平の代わりににひじを置いて立とうとしても、全然力が入らないので立つことはできません。

 このとき支点となるのが股関節であり、その股関節がうまく使えない状態のところを手の平でカバーしているわけです。

「軸にはメインとサブがある」高校野球ドットコム

このように、メインポイントの代用となるのがサブポイントの役割だと納得できると思います。

さて、ここまでで5つのポイントを全て揃えることが重要だと分かりました。一方で、これを直ぐに実際の運動に応用しようとしても、常に5つのポイントを揃えることは不可能に思えます。例えば、走っているときはどうやって揃えれば良いのでしょうか。その答えとなるのが3/5軸という考え方です。これは5つ全ての点を揃えなくても、その内3つを揃えれば安定した体軸を作れるというものです。したがって5ポイント理論にしたがうと、体軸を形成する3つのポイントをうまく切り替えながら動作をおこなうことで高いパフォーマンスが出せるのです。

4スタンス理論

5ポイント理論は体軸を作るための5つのポイントに着目した理論でした。一方4スタンス理論は体軸の作り方を4種類に分け、これが生まれつき人によって異なるという考え方です。

5ポイント理論には3/5軸という考え方がありました。これは5ポイントの内3ポイントが揃っていれば良いという考え方ですが、その3つのポイントは一体どうやって選出されるのでしょうか。実はこの3つのポイントの選び方には2種類のパターンがあり、これが4スタンス理論のA・Bタイプの差になっています。例えば、Aタイプであればみぞおち、ひざ、両足首の3ポイントを直線上に揃えることで3/5軸を形成します。一方、Bタイプは、首の付け根、股関節、両足首の3ポイントを揃えることで3/5軸を作るのです。

また、1・2タイプは体軸を身体の内側に作るか外側に作るかによって異なります。これによって、例えば手首の捻り方に差が出たりするのですが、今回は取り扱わないのでこのような簡単な説明に留めておきます。

実践するために私がやったこと

さて、非常に言いづらいのですが、実は私は前回の記事を書いた時点ではRyanguru式AIMを身に付けられていませんでした。もちろん、基本は理論的な原因探究の記事ですし、後半の目の使い方に関しては今も間違っているとは考えていませんが、前半の実践部分に関しては所詮動画の要約に過ぎませんでした。

ただ、だからこそ私は前記事を書いた後もRyanguru式AIMを身に付けようと模索していました。そしてあるとき姿勢の改善を試みた際に、それまでとは違う感覚を感じることが出来たのです。

そこで、この章ではまずきっかけとなった姿勢について述べ、次にRyanguru式AIMによって私ができるようになったことを示します。

Ryanguru式AIMを身につけたきっかけ

Ryanguru式AIMを身に付けるための方法は、様々な説明がされています。しかしその多くは感覚的なものであり、元の動画をどれだけ見返し意識して練習しても、私には再現できませんでした。ですがそのとき私はこのようなツイート*を見かけたため、次は椅子や机の高さに着目しました。また、椅子や机の高さと姿勢は切っても切り離せない関係ですから、肩を上げないことや腕と足を直角に曲げること、足の裏を地面に付けることを意識していました。

このとき私は椅子の高さを含めたゲーム環境をかなり模索したのですが、椅子の高さを変えても背中の曲げ具合などの姿勢を無意識に調整してしまうために、残念ながらあまり意味がないことがわかっただけでした。

そこであるとき、思い切って普段とは全く異なる姿勢でやってみようと思い立ったのです。それまで私は普段図1のような前傾姿勢でやっていましたが、これを図2のように思いっきり後傾姿勢にしてみました。


図1,2 姿勢の改善

その結果、Ryanguru式AIMを身に付けられました。しかし、後に述べますがこの姿勢には大きな問題がありました。そこでまた試行錯誤を重ね、今は図3のような姿勢でゲームをしています。

図3 現在の姿勢

Ryanguru式AIMによってできるようになったこと

まず、私がRyanguru式AIMを身に付けて一番初めに感じたのはマウスパッド全体を使えるようになったことでした。この動画*に述べられているように、実際のゲーム中でもマウスパッドの端から端までを使うことが出来るようになりました。そしてマウスパッド上のどこでも、全く同じ感覚でAIMできるようになりました。

また、特に改善が感じられたのが縦方向に対するAIM力です。放物線上に移動する敵に対するAIMや、高所から見下ろした際のAIM力が向上しました。それまでは大きく上を狙うときにAIM感覚に違和感を覚えることがありましたが、それが無くなりました。

最後に、多くの人が気になっているのが、Ryanguru式AIMを身に付けると敵に勝手にAIMが合うという言葉*ではないでしょうか。これも私は実感できました。突然ですが、この記事を読んでくださっている方はKovaaksのAscended Tracking 90 smallというシナリオをやったことはあるでしょうか。的がランダムにレレレするだけの基礎的なトラッキング練習シナリオなので、やったことがない方はApexの射撃訓練場でbotを動かしたときやハバナエイムを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。さて、このようなレレレ移動に対し、的が切り返した瞬間のAIMを思い浮かべてください。おそらく意識する間もなくAIMしていると思います。敵に勝手にAIMが合う感覚とは、この瞬間的なAIMが360度あらゆる方向に対して行える感覚だと考えると分かりやすいでしょう。ただし、レレレ切り返しでもそうですが、どのくらい正確にAIMできるかは自身のAIM力に依存します。したがって、あくまで無意識で敵に吸い寄せられることがある程度に思ってください。

4スタンス理論から考えるRyanguru式AIM実践法

5ポイント理論から見るRyanguru式AIM実践法

5ポイント理論では、メインポイントとその補助となるサブポイントがありました。サブポイントはメインポイントが不安定で体軸を作れないときに、代わりに固定することでメインポイントを安定させる役割を持つのでした。これは逆に言えば、メインポイントをきちんと固定して安定させることにより、サブポイントを使わなくて済むということです。

また、Ryanguru式AIMとは手首や腕に支点を作らない動かし方でした。ここで、サブポイントが肩、肘、手首だということを思い出すと、Ryanguru式AIMでは、サブポイントを固定することでメインポイントを代わりに安定させてはいけないことがわかります。したがって、Ryanguru式AIMを実践するためには、メインポイントである首の付け根、みぞおち、股関節の3点を固定し安定させることにより、サブポイントである肩、肘、手首に支点を作らないようにする必要があるのです。

図4 「からだに優しいパソコン活用法」より引用

では、首の付け根、みぞおち、股関節の3つのポイントを安定させるには、どのような姿勢が良いのでしょうか。まず初めに考えられるのは、いわゆる理想的なパソコン作業の姿勢*でしょう(図4)。この姿勢は、3つのメインポイントが地面と垂直な一直線上に並んでおり、まさに理想的な体軸が形成されています。一方で、姿勢の矯正には長い時間と努力が必要不可欠です。普段はできるだけ意識して姿勢を正していても、いざゲーム中となるとどんどんと普段の悪い姿勢に戻っていってしまう経験をされた方は多いのではないでしょうか。

図5 重力がすべて椅子にかかる様子

そこで多少姿勢が悪くても、Ryanguru式AIMを実践できるのが図5の姿勢です。これは私が初めてRyanguru式AIMができるようになった姿勢です。赤い矢印は重力を示したもので、この姿勢は3つのメインポイントを完全に椅子が支えているのがわかります。

ただし残念ながら、この姿勢では骨盤が完全に横になってしまっているため、長期的には腰痛の原因となってしまいます。さらに悪いのが、腕を前に伸ばし続ける必要がある点です。極端な例ですが、ゾンビのように腕が水平になるように前に伸ばし続ける場合を考えてみてください。この状態のまま何時間も固定し続けたら、腕に大きな負担がかかることが容易に想像できると思います。逆に、これを防ごうと腕を前方に伸ばすことを止めると、その重みを支えるために腕に支点ができるため、本末転倒となってしまうでしょう。(もしこの姿勢で辛くないけどRyanguru式AIMが出来ないと悩んでいる方は、腕に支点が出来ていることが原因かもしれません。)実際、私はRyanguru式AIMが出来たことが嬉しくてこの姿勢でゲームをし続けたら、一週間ほど腕が痛くてゲームできなくなりました。

4スタンス理論から考えるRyanguru式AIM実践法

そこで参考になるのが4スタンス理論です。すなわち、4スタンス理論によって必要最低限なポイントのみを固定することで、体軸を安定させる方法を考えてみます。

図6 A・Bタイプによる座り方の違い

4スタンス理論では図6に示すように、椅子の座り方やしゃがみかたにA・Bタイプで違いが存在します*

また、Ryanguru式AIMは手首と腕に支点を作らないことが重要でした。手首と肘に対応するメインポイントは股関節とみぞおちですから、この二つが安定する姿勢が望ましいでしょう。以上を踏まえると、図7のような姿勢が考えられます。

図7 タイプ別Ryanguru式AIM実践法

ここで図7が示すように、Aタイプの姿勢は軸の形成によってみぞおちを、椅子に直接支えられることによって股関節の二つのポイントを安定させています。一方Bタイプの姿勢では、股関節と首の付け根を垂直軸によって安定させ、みぞおちは背もたれに支えられて安定しています。このようにどちらも、手首と肘に対応するメインポイントの股関節とみぞおちが安定する姿勢になっていることがわかります。

最後に、骨盤を立てる必要性について述べます。4スタンス理論ではA・Bどちらのタイプにもメインポイントとして両足首が含まれていますが、これは立った時に一番下の土台となる接地面が両足首だからです。したがって椅子に座った姿勢では、座面に一番近い股関節がみぞおちと首の付け根を支える大きな役割を果たすと考えられます。また、骨盤を立てることで骨を使って座ることが出来るため、より少ない筋力で股関節を安定させることが出来ます。以上より、骨盤を立てて座ることは腰痛を防ぐだけでなく、股関節より上にあるみぞおちや首の付け根といったポイントを、より安定して支えるために大きな役割を果たすと考えられます。ですから、A・Bどちらのタイプでも骨盤を立てて座ることは意識すべきでしょう。

まとめ

さて、本記事ではまず4スタンス理論とそのベースとなる5ポイント理論についてまとめました。次に、Ryanguru式AIMを私が身に付けたきっかけと、それによってできるようになったことを整理しました。そして最後に、5ポイント理論からRyanguru式AIMを実践するため方法論をまとめ、さらに4スタンス理論へと拡張して考察しました。以下にRyanguru式AIMの実践法をまとめます。

  • 手首や腕に支点を作らないために、みぞおちと股関節を安定させる必要がある。

  • そのためには、首の付け根、みぞおち、股関節が垂直直線上に位置する姿勢が最も望ましい。

  • ただしその姿勢ができない場合、Aタイプであれば足首、ひざ、みぞおちを、Bタイプであれば股関節と首の付け根を一直線上に位置するように座るのが望ましい。

  • また、どちらの場合も骨盤を立てることで、腰痛を防ぎ、股関節、みぞおち、首の付け根の3点を安定させやすくなる。

最後に、気づいている人も多いかと思いますが、私は4スタンス理論のBタイプです。したがって、Aタイプの姿勢については実感できておらず、あくまで理論的な説明に留まっています。ですのであくまで参考程度にしていただきたいと思います。

追記:おそらくRyanguru式AIMを身に付けた方であり、A1タイプでもあるマウスの持ち方の人さん(@mousenomotikata)から、図7に挙げたAタイプの姿勢がベストな姿勢に近いとの連絡をいただきました。上記のように、私はAタイプについては検証できないため、一つの例として追記しておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?