「毒」

血圧を計ったら高血圧で驚いた。

でも低いよりは高い方が良いような気もするし、血圧が高い=熱い奴みたいな気がして妙に嬉しかった。



普段自分の血を見る事は特に無いから、自分の血液の色が紫色なのだと強く思い込もうとしたら本当に紫色になる。



紫色の液体といえば「毒」



毒が体の中で滞留してしまうとその部分は腐ってしまうし、あまりにも早く回りすぎるとその圧力で体の外に(気付かぬうちにも)出てしまう。



それが僕たちが暮らしている社会に毒がブヨブヨと浮いている理由だ、と想像する。



毒が出ている人を見ると「毒、出てますよ!」と教えてあげたくなるし、毒が溜まってしまった人に対しては、無理矢理にでもそこを動かしてなんとか回って行くようにする。



でも、毒を始終噴射しまくってる人や見たことも無いくらいデカイ瘤を持つ人に対しては無視するか、落ち込むかしか出来ない。



そして、極め付けは自分の「毒」に気づくことはなかなか難しい。毒。毒。



じゃあどうしようかと思うけど、自分と相手、もしくは僕とあなたの間の空間にある壺型の穴っぽこに真剣に吐き出す



その穴っぽこに量が溜まってくると蓋が閉じられる。ウィーン。そして、シェイクされる。この工程は皆が寝てる間に成されるのでどんな音かするか知らない。



そうすると別の様々な色の液体に変わっていて、その液体を見たり、飲んだり、味わったり、匂いを嗅いだりすると、人間は感動する。



そして透明ですごおく綺麗な涙を流したりする、と想像する。

穴っぽこは意外にも結構沢山ある。さっき散歩してみてもしやと思って上を見上げたら、勿論上にもいくつかあった。

試しにピュッとやってみると微妙にそれて、少し先のローソンの前をちょうど通り過ぎようとしたカップルの男の方のマスクにかかった。

今日も僕はせっせと毒をその穴っぽこめがけて吐きまくる。最近は前よりは正確に吐き出せるようになってきたし、でもなんでだか量も多い。

そういえば吐くときは目を瞑っているか、集中しているかなんかで結局自分の吐いた液体の色が本当に紫かどうか知らない。

今度見てみようと思うけどどうも確認できる自信がない。どうしても目を瞑ってしまうのだ。




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