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勉強することの面白さ

最近院試勉強を終えたわけだが、本来辛く苦しいはずの院試勉強がとても楽しかった。

いや、実際辛かった。しかし辛いのは勉強時間ではなくそれ以外の、試験が日に日に近づいてくるという不安と戦っている瞬間。勉強中は、無我夢中であった。

おそらく私は、勉強が好きなのだろう。もっと噛み砕いていうと、知的好奇心を満たす悦びと、脳が唸りを上げて情報を処理している時の爽快感に、やみつきになっているのである。

私がこの面白さに真に虜になったのは、物理を学んでからだと思う。

高校物理の初めの方に習う運動方程式をみてみよう。

ma=F

この式は見た所非常に簡潔で、何も難しいところはないように感じる。実際この式の意味するところは
「力Fを加えた時、質量mが大きいほど加速度aは小さくなる」
という事実である。トラックと軽自動車、加速しやすいのは軽自動車だよね、という程度の話。

しかし微分積分という武器を手にしてこの式に立ち返ると、可愛らしい4文字の式が大化けするのである。具体的には、
「運動方程式を時間について積分すると運動量保存則が導き出され、変位について積分するとエネルギー保存の法則が導き出される」
といったように。

高校三年生だった私は、この事実を知るや否や数学科の職員室にかけ込み、その変貌に至る絡繰りを事細かに質問した。こんな簡潔な式が、この複雑極まりない世界の摂理を表現しているだなんて、にわかには信じ難かったからだ。

それ以降、1を知って10の無知を知るような、いくらでも出汁の出続ける物理学がさらに好きになった。

"勉強"というとなんだか堅苦しいが、"ペンというオールと、好奇心という羅針盤を持って知識の海を航海すること"と捉えたならば、こんなにワクワクすることはない。


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