TVBros.のレビュー

2018年8月号バージョンと2019年10月号バージョンがあります。ネタバレ含みます。2019年10月号バージョンから。

  記事を読んで何に驚いたかというと田中さんが林さんの芝居の残像を受けて芝居のパワーバランスをコントロールしていたということです。それはドラマ版の2話くらいまでということなので、集中力が必要だったと話していたシャワーチューのシーンだと思います。どれだけ神業なのかと驚きました。

  初共演で林さんはここからチーム参入ということもあり、とても緊張していたと思います。ひとり考え抜いて役を落とし込んで臨んだ、ということを良く話されていますよね。林さんが憑依型でフルスロットルな芝居をするから、田中さんは全体のバランスを見て調整していた。今は阿吽の呼吸になっているようですか、田中さんの愛の深さに感銘を受けました。

  もちろん自身に裏打ちされた経験と、相手に対する信頼があるからこそ成り立つのでしょうが、田中さん自身の根底に仕事に対する愛と、作品に対する愛と、共演者に対する愛がないとやれないことだと思います。

 田中さんは相手の感情を受けて、自身の感情が動くことを大切にされている様子。春田が誰に対しても同じ姿勢で、どんな感情も受け入れ、それに誠実に応える所が愛されるゆえんであり、懐の大きさだと思うのですが、改めて春田は田中さんにしか出来ないなと思いました。また、牧が林さんだったからこそ引き出せた感情があると仰るように、牧もまた、林さんにしか出来ないとな思いました。お二人が春田と牧で本当に良かったです。

  林さんのポンコツ幹事の話はご本人が甚く気に入っているようで何度もお話されていますが、ここまで長いものは初めて読みました。もう内容が可笑しくて、また愛らしくて。どうしても春田と牧の残照を重ねてしまいます。サプライズ好きなのは牧と根っこが一緒なんですね。「牧には可愛らしいところがある」とご本人が仰ってましたが、中の人も大概に可愛らしいです笑。愛ゆえに空回りしているのも堪らないです。

  プレゼントのチョイスには笑ってしまいました。吉田さんじゃないんだから笑。「圭くんにはこれがいいかな」と考えてセレクトしているのを想像すると微笑ましさが炸裂します。しかもそれを田中さんが抱きしめて寝ているとかコントなのかと思いました笑。なかなかのおっさんがやることかと。お二人とも可愛い過ぎです。

  この常日頃の相思相愛が、作品に台本以上の深みや艶を出しているのだと思います。おっさんずラブにハマってから二人の関係性をずっと追っていますが、林さんが親しい友人の間柄ではなく、キチンと田中さんをリスペクトしているのが分かります。もちろんフランクな中に密度のある付き合いをしているのだと思いますが、田中さんへのメッセージを読むと、役者として、人として敬愛していることが良く伝わります。牧が「春田さんじゃなきゃ嫌だ」という言葉の重みもまた、二人の関係性に裏打ちされたもののように感じました。その逆もしかりです。

  2018年の記事も素晴らしかったのですが、今回の記事も素晴らしかったです。


2018年8月号バージョン。

  正直、無駄にいい体(公式の謎のいい体)よりも、ベッドで笑顔を向けている田中さんがまんま春田で、「なんていい笑顔!」と悶絶しました。この写真だけで牧気分が味わえます笑。引き伸ばして部屋に貼りたいくらいです。自分はこれだけでも買って良かったと思えました。

  インタビューでは『おっさんずラブ』に対する田中さんの思いが書かれていて大変満足しました。だいたいはネットで拾ったインタビュー記事や公式の発表と同じ内容でしたが、田中さんの最新の生の声ということで感慨深く読みました。

  田中さんがずっと「いい現場」だと言っていた『おっさんずラブ』の現場。それを客観的に役者目線で語っているのは大変興味深かったです。それと中の人だからこそ言える、パイロット版を踏まえて制作に携わった気持ち、吉田さんや林さんの凄さ、牧に対する思い、スタッフの高い技量と演者との信頼関係、『おっさんずラブ』に対する愛など、まだ埋められてなかった行間を埋めて行く感覚が心地よかったです。

  ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、どんな作品であれ全力で向き合う姿に、役者を越えた人としての魅力を十分に感じました。『おっさんずラブ』が田中さんの代表作になったと、ご自身も堂々とそう言えるということは、『おっさんずラブ』ファンとしては純粋に嬉しいことですし、本当に誇りに思います。とかく色モノとして揶揄されることが多い作品で、そのたびに密かに心を傷めているのですが、ひとりでも多くの人にこの作品の良さを知って欲しいです。