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家篭りしながら籠城物語を読む話

楽しいお家ライフにやはり本は欠かせない。そろそろ本気でKindleの導入を考えている。しかし導入したら「巻数が多いから」と避けられていた漫画達を一気に買ってしまいそうで怖い。たぶん仕事に行けなくなる。
ということで最近はもっぱら過去に購入した本を読み返している。短編集が好きとは言え、やっぱり長編も何回読んでも最高に滾るので残しておこう。

『のぼうの城』(和田竜 著)

戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。そのなかに支城、武州・忍城があった。周囲を湖で囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城である。秀吉方約二万の大軍を指揮した石田三成の軍勢に対して、その数、僅か五百。城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。武・智・仁で統率する、従来の武将とhおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。
(『のぼうの城』上 裏表紙より)

和田竜さんの小説は全部(全部!!!!)すぐに戦場に引き摺り込まれる。正直「のぼうの城」は表紙買いだったので、自分がこんなに歴史物が読めるんだとびっくりした。何かの煽り文で「ハリウッド映画を見ているような物語だった」っていうのがあったけれど、その通り。日本史が苦手で、武将は戦国BASARAで覚えた私が言うんだから、歴史物というだけで避けないでほしい。(推しは小十郎でした)

まず登場人物のキャラが立ちすぎている。話の合間に他の文献からの引用も多く紹介されていて、著者の文章の魅せ方も良いから、武将の人柄を深く感じることができる。物語はあくまで忍城対三成の軍という「どちらが勝つか」の構図は崩れないけれど、主人公が治める忍城側の人物だけでなく、三成やその側の武将にも(気持ちが)近づくことができて、どの場面も読んでいてめちゃくちゃ楽しい。著者は人物一人ひとりの所作まで細かく表現しているので、全然知らんけど「この動きはこの人っぽい」「この人なら言いそう」と思えるくらいになる。なるよ!!すごくない?!
武将だけじゃなく、忍城周りの百姓も個性が強くて、長親に逆らっているような人も、読んでいたら憎めなくなってしまう。細やかな心情描写が良い。その一農民が戦いを大きく動かす瞬間なんかもう「うおおおお!」と鳥肌物だった。

加えて、戦の描写が格好良すぎる。私は最初の戦いが一番好きだ。忍城の守り口に各武将が配置されて、それぞれに寄せ手が攻め込む形だ。武将一人ひとりの戦に対する姿勢とか戦い方が細かく描かれていて本当に痺れる。圧倒的な兵力差にハラハラすると同時に、ずっとニヤニヤしてしまう。たぶん漫画やアニメで「脇役がめちゃくちゃに活躍する場面」が好きな人は絶対にこの話の流れも好きだと思う。
その後の水攻め、対する長親の行動、周囲の考えや働き、一挙一同が本当に格好いい。私は単行本を借りて読んで、その後自分用に文庫本を買ったけど、今から買う人には悩んだら絶対単行本を買ってほしい。戦を決した瞬間から、その後の戦いまでノンストップで読むのが絶対におもしろい。(でも文庫本だと仕事の昼休みに読めるから、それはそれで楽しい)

この小説は映画化もコミック化もされているけど、私は原作のこの本が好きすぎてどちらも手が出せていません。

そして『のぼうの城』を読んだ方。そのまま『忍びの国』も『小太郎の左腕』も読もうな!ゴールデンウィークには大長編『村上海賊の娘』(単行本上下巻)も読むんだぞ!!!全部心地いいくらいニヤニヤが止まらないし、爽快感があるぞ!!



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