窓を開くことができたなら…【8050問題について考える】
「8050問題」って聞いたことがありますか?
80歳代の親が50歳代の子の生活を支えるという問題です。
30年前にひきこもりになった子も気付けは50歳代。
しかも、内閣府調べによると男性の方が割合が多いと言われています。
それが厚労省でも問題視している事案になっているのです。
30年前頃。
日本では何があったのでしょうか。
日本の情勢
バブル景気と呼ばれていた過剰な経済拡大時期1985年~1991年。そこから1993年にかけて急激な後退。それをバブル崩壊といわれています。
その頃の親というのが焼け跡世代から団塊世代という世代の人たちです。
今の日本を創り上げていると自負していた頃。実際多くの努力で成り立っていた時代だったと思います。
今までの苦労が花を咲かせ、お金が舞い込む。貧困時代を知っているからこそ、不動産、有価証券などの投資。物欲を満たす買い物。こういった物が日本経済をさらに大きく動かしていました。
バブル当時、私は高校生でした(年齢がバレてしまいますね)。都会に近いクラスメイトには年上の彼氏がいて、いつも派手な遊びをしていました。田舎に住む私はそういった世界とは無縁で、バブルなんてどこで感じることが出来るのだろうっていつも思っていました。しかし、崩壊直前、進学・就職に直面し、進路にあたって先生にこう言われたのです。
「今は君たちは売り手市場。高卒という学歴でも就職先を選べるだろう。しかし、2年後、4年後。間違いなく就職で苦労する。選ぶのは自分たちだ。」
それでも進学を選んだ私は案の状、就職難に直面。就職できない学生も多かったのです。当時はフリーターが流行っていましたし、就職するよりフリーターのほうが稼げました。正規社員の魅力がわからなかった。
そういった中、焼け跡世代、団塊世代の大人とは考え方の価値観にずれがあり、非難をうけることも多かったのです。
特に男性は、将来家庭を持つということを強く認識させられようとしていましたし、女性以上にその責任は大きく圧し掛かっていたのでしょう。
働くとはなんだろう。大人になるってなんだろう。責任が持つとはなんだろう。どんどん心の窓を閉めてしまう人が増えました。
ひきこもりに追い打ちをかけたもの
1983年に発売されたファミリーコンピューター。子供のお年玉の使い道はそのカセットと呼ばれるソフトでした。そこから成長した子供たちが1990年、スーパーファミコンと呼ばれる新型モデルも発売された。大人向けのものもたくさん発売され、男女問わず流行っていた。
レンタルショップへいけば見たかった映画も、見逃したドラマも深夜まで借りられるようになっていた。
コンビニエンスストアも点在するようになった。
昼間は服装も人目も気になるけど、夜ならそんなに気にしなくても外に出ることができる。
昼夜逆転しても生きられる時代がきていました。
非難される日々
子供の頃、お稽古事をしない家はありませんでした。
自分が出来なかったこと、自分が苦労したこと。それを子供たちに託した親世代。私もそろばん、ピアノ、習字。お稽古事に出かける前は部活動も毎日していました。まだ土曜日は半日学校がありましたので、その分15時過ぎには学校が終わっていたのです、平日は忙しかった記憶があります。
親心は「見栄」という鎧を着せられ、子供には愛情と違うもので伝わってしまうことが多々あったようです。
世間に顔向けできないと、ひきこもる子供を隠し、時には海外へ留学とか、赴任とか嘘をつく家もあったようです。
「世間に顔向けできない自分」
そう思わずにいられなかった人生は辛かったと思います。
現に、非難され続け、子が親を殺害してしまう事件もありました。
逆に子の往く末を心配し親が子を…というものもありました。
ひきこもる子との接し方がわからない
私の何がいけなかったのか。どうすればいいのか。何ができるのか。
親も日々悩んだことでしょう。
引きこもり、ニート。そんな本が出るたびに手にとったり、病院や施設に相談したり。
でも、部屋に入ったっきりの子供は話をする時間もくれない。
お願い。殻から出てきて。
相手は感情のある生き物。マニュアル通りにはいかないし、ある一定の関係性が出来てしまうと、良いものであっても悪いものであっても、関係をかえるのは安易なことではないのです。
厚労省が認めた社会情勢
8050問題から9060問題に移りつつある時代となります。
自治体や非営利団体などが2009年より動き出し、年々その団体も増えています。ひきこもる本人だけでなく、家族にとっても大きな問題である8050問題。コロナによる離職、就職困難となった今。新たなひきこもり世代を作っているとも言われています。
まず、窓を開けてキレイな空気を入れるところからでもいい。
部屋にある不要な物質を1個かたづけるところからでもいい。
塵が積もって山になったものは、一個ずつかたづければ塵に戻ります。
厚労省が認める大きな問題なのです。隠さず一歩前に出るきっかけになることを祈っています。
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