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Plate Reverbのお話 第2回 EMT 140編

 さて前回のNoteでリバーブの歴史からEMT 140がどんなリバーブなのか、お話しさせて頂きました。今回はEMT 140のプラグインについてお話していきたいと思います。


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Universal AudioのEMT 140。米国カリフォルニア州・サウサリートにあ
るプラントスタジオのキャラクターの異なる3台のEMT 140をUniversal AudioのDSP回路デザイン技術者が4ヶ月かけて実際に耳で聴いてチューンし作り上げたもの。

Input Filter

 左端のInput Filterについてみていきましょう。ここではリバーブの低周波成分のカットを行います。実機にはプレートアンプユニットにこの機能が搭載されています。2種類のプレートAとBはオリジナルEMT回路、プレートCにはMartech社製のレトロな回路が搭載されています。これはインプットの前の段階で機能するフィルターで、リバーブがかかる前に処理されます。

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黒文字で書かれている箇所がEMTフィルターです。80Hzからのローカットが行え、-4dB、-10dB、-16dBの3つから選択する事ができます。

赤文字で書かれているのは、Martechフィルターでシェルフフィルターで、選択可能な6つの帯域(90Hz, 125Hz, 180Hz, 250Hz, 270Hz, 360Hz)から減衰するカーブを設定できます。

 ちなみにAとBはEMT回路なので、次にお話するPlate SelectでAとBを選択したときは、ローカットを選択すると実機と同じ仕様になります。Cを選択したときは、シェルフフィルターを選択すると実機の仕様になります。
ただし、音に合わせて自由に設定すればいいと思いますので、参考程度にしておくと良いかもしれません。


Plate Select

 ABCの3つのプレートアルゴリズムが含まれています。 3つはそれぞれ別のリバーブです。これは第一回にも書いた通り、個体差による音の差によるものです。3つのEMT 140を手に入れたと思ってください。

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REVERBERATION TIME

 3つのリバーブをリバーブタイムは秒単位リバーブタイムメーターに表示されます。選択したプレートのメーターが光ります。下の緑のボタンがDamper Controlsです。0.5 ~ 5.5秒で、0.1秒単位で指定できます。

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Stereo Controls

 WidthはEMT 140のステレオイメージを変更します。0にするとモノラル信号になります。100%の場合、ステレオリバーブ範囲は最大になります。

 Balanceはリバーブの信号の左右チュアンネルのバランスを調整します。チャンネルを回した法と反対のチャンネルの音が減衰します。ここで注意したい事はモノラルのパンニングコントロールとは異なるという点です。

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EQ Controls

 アナログサウンドアルゴリズムを採用した2バンドのシェルビングEQがEMT 140の音作りのために用意されています。このEQはリバーブのアルゴリズムや最初に説明したインプットフィルターとは独立しています。

Low Frequencyは20Hz ~2kHz、High Frequencyは200Hz ~ 20kHzのシェルフで±12dB、0.5dB単位で設定できます。

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Mod

 Modの効果については、PSP 2445 EMTの紹介したノートに書いていますので、こちらをご覧ください。

 EMT 140のModの影響はそんなに強いものではありません。RATEとDEPTHを使うと変調が行えます。音が広がって聴こえたり、逆に近くにある印象を与える効果があります。

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 RATEは0.01Hz ~ 1.0Hz Depth0 ~ 10 cents


PredelayとMix

 Predelayはドライの音源の鳴りはじめとリバーブの鳴りはじめを変更します。0.0~250ミリ秒で設定が可能です。

 Mixはドライとリバーブの割合を決める事ができます。

この2つのパラメータは対数スケールを用いているため、半分のポイントが50パーセントというわけではないのが、UADの特徴です。


まとめ

いかがでしたか?ちょっとでもプレートリバーブに興味を持っていただけたら、幸いです。今回はUADで書きましたが、最近ではArturiaの 140も好評です。第3回は書く内容がまだ決まってないのですが、また近いうちにリバーブに関して書きたいと思います。読んでくださりありがとうございました。

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