旅と本と 「ごんぎつね」の新実南吉の故郷を訪ねて ~愛知県半田市~
9月のようやく秋の到来を感じる秋分の前後の頃、土手やたんぼの畦道に咲く鮮やかな赤い花、彼岸花。別名に墓場とか死を想起させるものがあるので、好きでない人もいるかもしれませんが、別名、曼珠沙華というこの花が私は好きです。
関東で有名なのは埼玉県日高市の巾着田でしょうか。私がおすすめしたいのは、愛知県半田市、新実南吉のふるさとです。
彼の著作「ごんぎつね」には、この花が非常に印象的な場面で登場します。
墓地には、ひがん花ばなが、赤い布きれのようにさきつづいていました。と、村の方から、カーン、カーン、と、鐘かねが鳴って来ました。葬式の出る合図です。
黒井健の描いたこの風景がずっと心に残っていました。
そこである年、彼の故郷を訪ねてみることにしました。愛知県半田市の矢勝川では、この時期になると、ごんぎつねの一風景のように土手に彼岸花が咲き続きます。
(2012年9月29日訪問時、若干終わりがけでした)
近くには新美南吉記念館があり、彼の作品を紹介しています。彼は30年弱の短い人生の中で、「ごんぎつね」「手袋を買いに」「おぢいさんのランプ」といった名作を残しました。
半田市は古い建物が残る落ち着いた町です。少し足を延ばして、元カブトビールの製造工場だった明治期の赤レンガ建を訪れるのもおすすめ。
さらに、お酢のメーカーとして有名なミツカンの博物館や工場見学もどうでしょうか。
秋の一日にふらりと訪れたい場所です。
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