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簡単なのか難しいのか分からないコード進行(Sittin' on) The Dock of the Bay - オーティス・レディング

昔から面白いなと思ってるコード進行の曲としてオーティス・レディングの「ドック・オブ・ザ・ベイ」

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何が面白いと思うかというと全てメジャーコードだけで出来てる点ですね。スリーコードだけだったら沢山ありますけども。もう少しあったとしてもドミナント・モーションとか機能的役割があるならばともかくこの曲ではそのような機能的な動きもほぼないに等しいです。

度数に直して並べてみましょう。

Ⅰ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅱ→Ⅰ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅱ→
Ⅰ→Ⅵ→Ⅰ→Ⅵ→Ⅰ→Ⅱ→Ⅰ→Ⅵ→
繰り返し
Ⅰ→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅶ♭→Ⅴ

まず基本的に#や♭を使わないで出来るダイアトニックコードはⅠ、Ⅳ、Ⅴだけですので、それ以外は#か♭か臨時記号が必要ノンダイアトニックコードになります。多かれ少なかれ部分転調という感じですね。

まず最初ですがⅠ→Ⅲ→Ⅳという進行はⅢがノンダイアトニックコードですが、特にⅠ→Ⅲ7→Ⅳという形で頻出する進行ですね。ただⅢのところでM6の音をギターのスティーブ・クロッパーが鳴らしてるが特徴的です。この辺はわざと外してるのか、あまりテンションの知識なくやってるのか分かりませんが、いずれにしても新鮮で上手く応用出来たらカッコいいなと思います。

次にⅣからⅡへの進行はまあよくある自然な進行です。一例として「A列車で行こう」のブリッジの部分。FM7からD7のとこですね。

次にⅡからⅠに行ってますが、これはたまにありますが、あまり機能的な進行ではなく多くの場合は上のA列車のように(Ⅱm→)Ⅴ7などを挟んでⅠに行きます。またビートルズなどではⅡmの代理コードのⅣを挟みⅤ7に行かずにⅠに行く場合も多いです。例えば「She Loves You」や「Eight Days a Week」

「She Loves You」(in G)のAからC、「Eight Days a Week」(in D)のEからGのとこですね。

話は戻ってⅡからⅠへの進行はスタンダード・ナンバーなどにもないことはないのですが少ないです。別記事にしましたのでよかったらどうぞ。

次のⅠ→Ⅵ→Ⅰ→Ⅵとなるとこですが、Ⅰ→Ⅵm→Ⅰ→Ⅵmと表記しているコード譜も出回っています。しかし三度の音が聞こえなず二度の音が聞こえるのでⅥ(add9,omit3)とすべきですかね。メジャーでもマイナーない独特な感じが出ますね。メジャーかマイナーか選ばないといけないとしたら、普通ならばⅥmなのですが、私ならメジャーコードを選ぶかなと思います。
Ⅰ→Ⅵ→Ⅰ→Ⅵ→Ⅰ→Ⅱ→Ⅰ→Ⅵ
となってる最後のⅥははっきりメジャーコードです。この後またⅠに戻るわけです。Ⅰ→Ⅵという進行は、その後ⅡやⅡmその代理コード続く進行では頻出しますが(1625進行と言われるやつなど)、Ⅰ→Ⅵ→Ⅰという進行はまた珍しいです。Ⅵメジャーを平行単調の同主調のトニックと考えるべきなのか…ちょっと分からないです。

その後の
Ⅰ→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅶ♭→Ⅴ
はⅦ♭がノンダイアトニックコードですが、どの部分も特別に変わった進行ではないので省略します。Ⅶ♭については別の機会に書くかなとは思います。

というわけでadd9omit3というのが出てくるので厳密には違いますが、基本的に全てメジャーコード、しかもその進行具合も非常に変わってる曲だと思います。やはりadd9omit3のところをマイナーコードで弾くと面白さが半減するかと思いますけどどうでしょうね。結論を言いますとまあ、メジャーコードのトライアドばかりで簡単そうに見えるけど分析するとめっちゃ変な曲なのに良い曲で不思議だよねってことです(笑)。

ところで多分この曲のことが頭にあって全部同種のコードで作曲か編曲をしたいなと思って「Danger Zone」を全てM7コードで編曲してみました。「(Sittin' on) The Dock of the Bay」とは全然違いますが、よかったら聴いてくれると嬉しいです。






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