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「ワーケーション」に正解はない

ワーケーションといっても、そのスタイルは十人十色である。一人ひとりに適した場所、期間、レジャー、働き方があるはずだ。

ワーケーションの定義やイメージとらわれる必要はない。まずは自分にふさわしいワーケーションのスタイルを追求することが大切である。

ワーケーションの実践者が増えないのはなぜ?

「ワーケション」という言葉の認知度は、ここ1~2年で急上昇しているのは間違いない。

だが、実際にワーケーションを体験したことのある人は、昨年の段階で数%という調査結果もある。現状、ワーケーションを実践している人は、ビジネスパーソンの10%程度と考えるのが現実的だろう。

ワーケーションに興味があるという人は少なくない。だが、実践する人が少ないのは、ワーケーションの「正解」にとらわれていることが関係しているのではないだろうか。

ひと口で「ワーケーション」といっても、そのあり様はさまざまである。

一般的なイメージは、会社のワーケーション制度を利用するケースかもしれない。先進的な企業ではワーケーション制度を導入しているところもあるが、大半の企業では制度導入どころから、導入を検討することさえしていないだろう。

そもそもワーケーション制度がなくても仕事はまわるし、新しい制度を導入するリスクやマイナス面のほうに目が向いてしまう。だから、ほとんどの企業は鼻からワーケーションを導入するつもりはないし、社員も「ワーケーションは自分には関係ない」と思っている。

「それじゃない」というギャップ

メディアやSNSで盛んに発信される「ワーケーション」のモデルもまた、「自分には関係ない」という風潮の蔓延に一役買っているのかもしれない。

ワーケーションを地域活性化につなげたい自治体は、その地域のウリを積極的にアピールする。「大自然の中でアウトドアができますよ」「乗馬体験ができますよ」「地元の人と交流ができますよ」「会社のチームビルディングに最適な施設がありますよ」というように。

もちろん、一部の人には刺さるかもしれないが、興味のない人にとっては「そういうのがしたいわけではない。それなら家でゆっくりしていたほうがいい」となる。

なかには、「地域の問題にいっしょに取り組みませんか?」というように地域貢献ができることをアピールする自治体や地域もある。もちろん、意義のある取り組みではあるが、ワーケーションをレジャーの一環ととらえている人にとっては、「そういうのじゃない」ということになる。

メディアやSNSに出回っている先進的なワーケーションモデルは、ひと言でいえば、敷居が高い。そうしたイメージが「ワーケーションは関係ない」とあきらめてしまう人を増やしているのかもしれない。

私が提唱する「温泉ワーケーション」も例外ではない。温泉に興味のない人には、まったく響かないだろう。

ワーケーションを意識していない実践者も

一方で、実際には会社やワーケーションのイメージにとらわれずに、ワーケーションを実践する人も存在する。

私のようなフリーランスや自営業者は働き方の自由度が高いので、テレワークさえできれば、旅先でも仕事をする。IT関係の仕事をしている人も、テレワークが当たり前なので、働く場所にはとらわれない。旅が好きな人であれば、各地を転々とすることもできる。会社員でも旅好きの人は、会社のワーケーション制度を積極的に利用しているだろう。

テレワークが一般的になった今、旅先やレジャー先で仕事をする人も増えている。それが結果的にワーケーションとなっているケースも少なくないだろう。私もワーケーションという言葉が生まれる前から、温泉に入りながら仕事をしていた。あとから「これってワーケーションじゃないか」と気づいたくちである。

ワーケーションは発展途上

ここで私が言いたいのは、ワーケーションという言葉や定義、イメージにはまだ正解がない、ということだ。実際、ワーケーションにもいろいろなスタイルがあり、発展途上といえる。

今の段階では、「職場と自宅以外の好きな場所で働くこと」くらいの緩い括りでもよいのではないだろうか。

答えは、自分の中にある。アウトドアが好きならキャンプができるような場所で仕事もする。サーフィンが好きなら海の近くで、都心のシティホテルの居心地がよいならホテルにこもって仕事をする。これら、すべて立派なワーケーションである。

このようにワーケーションという概念をアバウトに捉え直すことで、ぐっとワーケーションの敷居は低くなるのではないだろうか。

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