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カルルス温泉でワーケーション#4

4泊5日のスケジュールで臨んだ北海道・カルルス温泉でのワーケーション。最終回では、今回の経験から得た気づきや課題などについてまとめておきたい。

〈前回までの記事はこちら〉

移動日には「ワーク」しない

今回、温泉ワーケーションを実行する上で決めていたことがある。それは、移動日には「ワーク」の予定を入れない、ということ。

温泉ワーケーションの目的のひとつは、日頃蓄積した疲労やストレスを解消し、温泉で心身の回復を図ることである。

今回、カルルス温泉との往復ではバスと電車の乗り継ぎが必要で、移動だけでも3時間はかかる。ただ座っているだけでも、見知らぬ土地に移動すれば意外と心と体に負担がかかる。そのうえ、移動日も仕事を完璧にこなそうと思えば、大きなプレッシャーになる。

さらに、温泉ワーケーションの「バケーション」部分は温泉入浴がメインとはいえ、近くに目ぼしい観光スポットがあれば、訪れてみたいと思うのは当然である。そこは我慢する必要はないだろう。

ただし、観光やレジャーをスケジュールに組み込むなら、移動日にまとめたほうが無難だ。温泉宿に滞在中はできるだけ温泉入浴と仕事に専念したい。滞在の中日に移動するのは時間的にもロスが大きい。

また、「移動日には仕事をしない」と決めていれば、仕事のことは気にせず、存分に観光やレジャーを楽しむこともできる

観光やレジャーは「行き帰り」に

そこで、今回は初日に登別温泉での地獄めぐりと日帰り入浴をスケジュールに組み込み、最終日の帰路にはアイヌ文化を学ぶために「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を訪ねた。

ウポポイは昨年オープンした「国立アイヌ民族博物館」などで構成される施設である。アイヌ文化に関する展示のほか、さまざまな体験プログラムも用意されていて、3時間超滞在することになった。最近、札幌に移住してきたこともあって個人的にアイヌ文化に興味をもっていたため、大変見ごたえがあった。

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アイヌ社会を舞台にした漫画『ゴールデンカムイ』や直木賞受賞作『熱源』等を読んで、アイヌに関する予備知識があったので、展示等も大変興味深かったが、もし予備知識がなかったら、展示を見ても消化不良に終わっていたかもしれない。ウポポイを訪ねるなら、特に『ゴールデンカムイ』は漫画としても面白く、おすすめである。

少し脱線してしまったが、移動日に仕事を入れず、温泉や観光に専念することで、無理することなく、大変充実した時間を過ごすことができた。温泉ワーケーションでは「ワーク」の詰め込みすぎは禁物である。

「ルーティン」よりも「クリエイティブ」

ワーケーション先では、どんな種類の仕事をすべきか? これは職種や仕事内容にもよるので悩ましい問題である。

ここでは話をシンプルにするために、作業内容や手順がすでに決まっている「ルーティンワーク」と、新しいアイデアや思索が必要となる「クリエイティブワーク」の2つに分けて考えよう。

今回、私は試験的に「ルーティンワーク」と「クリエイティブワーク」の2つを宿に持ち込むこととした。ルーティンワークは何度もやったことのあるPCを使った作業である。一方のクリエイティブワークは新しい企画を立案する仕事で、ひたすら頭で考えることがメインとなる。

温泉ワーケーションの2日目はルーティンワーク、3日目はクリエイティブワーク、4日目は両方のワークをミックスで取り組むこととした。

実際に体験して感じたのは、「ルーティンワーク」は、あえて温泉地でする必要性は感じないということ。ルーティンワークはタスク完了時間がある程度読める。だから、いかに効率よくこなすかが重要である。

その点、温泉宿だと作業スピードという点では、あまりペースアップした感覚はなかった。座卓での作業は姿勢がつらくなり、集中力が欠けたこと。また、温泉地に来ているという気持ちの緩みも影響していたかもしれない。

一方、クリエティブワークのほうは、普段の職場で取り組むときよりも捗った感覚がある。リラックスした環境が頭を柔らかくするのかもしない。

特に温泉にぼんやりと浸かっている最中にふとアイデアが浮かんでくることがよくあった。副交感神経が優位になってリラックスしているときほど、脳は働きやすいといわれているが、まさにその通りの効果を実感した。

ちょっとしたティップスとなるが、クリエイティブワークをする際は、朝の段階で「今日考えたい課題」を確認しておくといい。すぐにはアイデアが浮かんでこなくても、頭の中で課題が設定されていると、温泉に入っているときなどにふとアイデアが浮かんだりする。

これは、今回のカルルス温泉にかぎらず、さまざまな温泉地で体験したことである。アイデア出しをするには、温泉は絶好の環境といえる。

適度な「ルーティンワーク」も有効

結論を言うと、私の場合、温泉ワーケーションでは「クリエイティブワーク」を中心にしたほうが成果を得やすい、ということを再確認した。だが、同時にルーティンワークもある程度、用意しておいたほうがいいとも感じた。

というのも、「クリエイティブワーク」だけだと、なかなか成果を実感できない局面があるからだ。アイデアや問題解決策が浮かぶまでは、もんもんとした苦しい時間が続く。そこで、気分転換に「ルーティンワーク」に取り組むと、確実に成果が出るし、脳も活性化される。

カルルス温泉では、4日目に両方のワークをミックスで取り組んでみたが、仕事や時間の使い方にメリハリがついて、相乗効果があったように感じる。

仕事の内容については個人差はあるが、今のところの私の結論としては、「クリエイティブワーク」を中心に、「ルーティンワーク」も適度に組み込むと温泉ワーケーションは成果を実感しやすい

ワークの成果を求めすぎない

温泉ワーケーションでの仕事の仕方については、まだ検証の余地はあるが、ひとつ確実に言えるのは、温泉ワーケーションで過度に仕事の成果を求めるのは危険である、ということ。

仕事の効率という面では普段の慣れた環境のほうが有利であるし、温泉地という慣れない環境で思うように仕事が進まないことも想定できる。「職場や家で仕事をしたほうがよかった」と後悔するようでは、わざわざ温泉ワーケーションに出かけた意味がない。

「ワーク」で成果を出すことも大切だが、それ以上に「バケーション」も重要である、ということは忘れてはいけない。

温泉に入って、ゆっくり心身を休める。これが温泉ワーケーションの重要なミッションである。そういう意味でも、必要以上に仕事を持ち込み、成果を期待しすぎるのは賢明ではない。普段の仕事の5割程度の成果が出れば十分と構えるくらいがちょうどいいだろう。



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