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「ソロ温泉」はアイデアの源泉である
温泉でゆっくりしているときに、ふとアイデアが降りてくることがある。じつはリラックスしているときほど、脳は活性化する。
空白の時間を愉しむ「ソロ温泉」は、アイデアの源泉となる可能性を秘めているのだ。
五感を使って湯を堪能する
ソロ温泉では、空白の時間を愉しむために大事なルールがある。それは、「温泉宿に着いたら、ただただ温泉に入り、くつろぐ」ということ。
当たり前のように聞こえるが、案外、それができていない人が多い。観光に夢中になって温泉でゆっくりする時間がなくなったり、湯船の中までも日常や仕事や人間関係のことを考えて、落ち着かない気分になってしまう・・・。もっと温泉に集中しないと、心からリラックスする空白の時間は得られない。
なかには「湯につかっている時間が退屈すぎる」という人もいるだろう。でも、退屈でいいのだ。退屈な時間を「退屈だなあ」と思って過ごす。これほど贅沢な時間の使い方はない。
湯船に身を沈めて、大きく深呼吸。静かに目を閉じて、五感をフルに活用して湯を堪能する。聞こえてくるのは、ドボドボと湯口から落ちる湯の音のみ。ロケーションによっては、波の音や海鳥の声、森を抜ける風とさわさわと葉が擦れ合う音など、自然が奏でる音に癒される。雪見風呂だと吸音効果による神秘的な静寂を体験できる。
温泉に入っている時間以外も、リラックスして過ごす。ひたすらゴロゴロしてもいい。ふだんはできない惰眠を貪る。どうせなら、とことん怠惰に過ごすことをおすすめする。
温泉に入ることが最優先事項
ソロ温泉に慣れていない人は、「せっかく温泉に来たのだから」と張り切ってしまう。だが、そういう気持ちは捨てる必要がある。いったん湯につかって浴衣を着たら、「近くの観光スポットでも行ってみよう」などと欲を出してはダメ。宿の外に出るなら、浴衣で行ける範囲の散策にとどめておこう。
ソロ温泉で絶対にやってはいけないのは、温泉でリラックスしに来たのに疲れて帰ること。温泉にだけ入ればいい。何もしなくていいのだ。
では、読書はどうだろう。読みたい本があるなら、それを読んでもいい。だが、注意したいのは、「本を読み切ろう」と義務化しないこと。ソロ温泉の目的はあくまで温泉。本は読み切れなくてもいい。「読み切ろう」とノルマを立てること自体、ストレスになってしまう。
ちなみに、私は温泉宿に本を持っていっても、ほとんど読み切れない。「今回は長旅だから」と張り切って本を数冊持参しても、1冊も読めない。きっと温泉を堪能することに集中し、「何かをしよう」という心のスイッチを切ってしまうからだ。
何もしなかったからといって罪悪感に苛まれる必要はない。温泉に入れたのなら、それで十分。目的達成なのである。
脳が活発化!「デフォルト・モード・ネットワーク」
「何もしなくていい」とは言っても、なにも「無」になる必要はない。高僧ではないのだから、そもそも「無」になることなど無理な話。少なくとも私は「無」になれたことなど一度もない。何もせずボーッとしているときでさえ、いろいろとどうでもいいことを考えてしまうのが人間ではないだろうか。
大切なのは「無」になることではない。リラックスすること。もっといえば副交感神経を優位にすることだ。
リラックスした状態でいると、思わぬギフトが降ってくることがある。クリエイティブな仕事をする人は、「降り待ち」という言葉をよく使う。ユニークなアイデアは根詰めて頭を絞るだけでは生まれない。ふとした瞬間にブレイクスルーするアイデアが天から降りてくる、というわけだ。
すばらしいアイデアは、最大限に絞り出す努力をした延長線上にひらめくものだと思うが、ひらめきがいつやってくるかは予測できない。
脳科学の研究によると、副交感神経が優位で、くつろいでいるときほど脳は活発に働くとされている。これを「デフォルト・モード・ネットワーク」という。トイレに入っているときや散歩中にアイデアを思いつくという話をよく聞くが、それも脳がリラックスできる環境だからだろう。
ひたすらリラックスして、空白の時間を生むことをめざすソロ温泉は、デフォルト・モード・ネットワークが働きやすい条件がそろっている。
温泉では仕事のスイッチをオフにするが、そのおかげで脳が活性化されてビジネスアイデアが降りてくるかもしれない。アイデアに煮詰まったら、ぜひソロ温泉へ出かけてみよう。ソロ温泉はアイデアが湧き出す「源泉」となるかもしれない。
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