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カルルス温泉でワーケーション#3

4泊5日のスケジュールで始まった、北海道・カルルス温泉での「温泉ワーケーション」。今回は、温泉ワーケーションの肝心要である温泉についてレポートしたい。

〈前回までの記事はこちら〉

露天はないが、最高の内湯がある

チェックインを済ませて、早速浴室へ。館内は増築を重ねたせいか、入り組んだつくりになっていて、初日は浴室にたどり着くまで少々迷ってしまった。男湯と女湯は入れ替えはなく、滞在中の暖簾はそのままだった。

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鈴木旅館の浴室は内湯のみで露天はないが、まったく問題ない。まず浴室の雰囲気がいい。10年前に訪れたときより多少くたびれた感はあるが、素朴な雰囲気はそのままだ。

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源泉かけ流しの「あつ湯」

湯船は3つ。いちばん手前の「玉の湯」は源泉100%かけ流し。46℃の単純温泉がそのまま注がれる。なので、体感は43℃~44℃くらいで熱め。1分浸かっているのがやっとだが、すこぶる気持ちのよい湯だ。

泉質は単純温泉で、見た目は無色透明、無味無臭。だが、ほんのりと温泉の香りを感知でき、さらに泉温の高さも加わり、ガツンと存在感がある。単純温泉といえど、あなどれない。

なお、カルルス温泉といえば、乳白色のイメージをもっている人が少なからずいる。入浴剤の「日本の名湯」シリーズで、カルルス温泉は乳白色だからだ。だが、実際は無色透明である。入浴剤は無色だと効き目を実感できないからだろう。

湧水を加えた「適温湯」

真ん中にある湯船は「泉の湯」。湧水を5~20%加えた上でかけ流しにされている。体感は41℃くらい。ずばり適温である。加水率が5~20%であれば源泉の個性もしっかりと感じられる。

加水率が掲示されているのは珍しいが、大変親切で好感がもてる。加水の有無は法で開示する決まりになっている一方で、加水率までは明記しなくてもよい。だから極端な話、加水率が90%で循環ろ過されていても、法律の上では立派な温泉扱いとなってしまう(もちろん湯の個性は消失する)。

打たせ湯つきの「ぬる湯」

いちばん奥にあるのは「福の湯」。こちらが最もぬるめで、体感は37℃~38℃。湧水は10~30%加えられている。加水率が高いため、最も源泉の個性は薄いが、ぬる湯が大好物の私にとってはありがたい。30分以上つかっていられるやさしい湯なので、滞在中、最も長居した湯船である。

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さらにうれしいのは、源泉が打たせ湯のように落ちている点だ。パソコンと向き合っていると、肩や腰が張ってしかたない。そこで、打たせ湯の出番だ。肩や腰に湯を当てる。ちょうどいい高さと湯量なので痛すぎない。適度なマッサージ効果を得られ、滞在中、何度も救われた気分になった。

「泉温」で自律神経をコントロール

このように鈴木旅館の浴室は、高温・適温・低温の3つの湯船を備えている。これは、温泉ワーケーションの拠点としては最高の環境である。以前の記事でも触れたが、泉温によって自律神経をコントロールできるからだ。

朝など仕事モードになりたいときは、熱めの湯につかって交感神経を刺激する。そして、就寝前などリラックスモードに入りたいときは副交感神経を優位にする。

1つの浴室に高温・低温の2つの湯船があるだけでもありがたいが、鈴木旅館はさらに適温の湯船もある。控えめに言っても「最高」である。これほど温泉ワーケーションに適した浴室には、なかなか出会えないだろう。

私は滞在中、1日4回のペースを守って入浴した。「寝起きの朝食前」「午後イチ(13時くらい)」「夕食前」「就寝前」の4回である(9時~13時は清掃のため使用できず)。

朝と午後は熱めの湯に入って仕事モードに切り替え、夕方から夜はぬるめの湯に入ってリラックスモードに切り替える。泉温の異なる湯船をを使い分けることで、いいリズムが生まれたと実感している。

木製の床で横になる悦び

最後に、鈴木旅館の浴室の魅力をもうひとつ。浴室の床が木張りであることだ。タイル張りに比べて、木製の床は素足で踏みしめたときの感触がやさしく、気持ちがいい。

さらに、うれしいのは鈴木旅館では、この木の床に寝転ぶことが奨励されている。通常、浴室の床で寝転がるのはマナー違反であるが、鈴木旅館では木製の枕まで用意されている。湯船の傍らに寝転がりながら、患部に湯をかけて過ごすのである。

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私も他の入浴客がいない時間を見計らい、寝転がった。浴室で横になるのは不思議な感覚であるが、浴槽の中とは異なる心地よさがある。

湯を体にかけると、その箇所がじんわりと熱を帯び、湯が体に染み入っていくような感覚になる。長時間、横になっていると眠りに落ちてしまいそうだ。寝湯もまた、副交感神経を優位にするのに役立つだろう。

結論を言えば、鈴木旅館の温泉と浴室は、温泉ワーケーションに最適といえるものだった。5日間で計20回弱入浴したが、まったく飽きることなく、何度でも入りたくなる湯である。仕事が捗ったのも、この温泉のおかげであるのは間違いない。

〈次回の記事はこちら〉




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