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留学記 #4

アメリカに来てから半年が経ち、なお書くことはありません。日常の生活に変化がなくなり、緊張感も何もかもが消失したからです。かつて留学記を書いたのはいつだったか、過去のアーカイブを辿って確認すれば数分で分かることですが、その気力すらありません。

上記の文章を読んだ誰かが、半年でアメリカの生活に慣れ、英語を使ったスムースなやり取りも余裕になったのか、と思うなら、そのまま勘違いしておいて欲しいのですが、本質は違っていて、スムースなやり取りが出来ないことに慣れてしまった、という回りくどさを含んだ回答がより正解に近いです。

例えば、今でも焦りが生じる状況に立たされると、普通に英語を間違えます。先日もカフェで注文するときに、自分が脳内で作っていた"お店でのやり取り会話集"とは全く違うタイミングで奇妙な質問をされ、そのうえ質問が"Do you mind - "の形式だったので、思わずYesで肯定の意思を示してしまいました。その直後は「ミスったなー」と独り言をぶつぶつ言ってしまうくらいには後悔しましたが、頼んだカフェオレを飲み始めると数分後には何もかも忘れ、カフェオレの味のことしか考えられなくなります。

そういうわけで、休日にやることと言えば、近所の喫茶店で何か書いたり読んだりするか、もしくは家でゲームするか、あとは適当に散歩するか、くらいしかありません。流石に刺激がなさすぎるし、このままでは精神衛生的にもよくないと思ったので、年末休暇を使ってマイアミに旅行した訳ですが、結論としては宮古島の方がいい、と思いました。どうですかみなさん、がっかりしましたか。

帰ってきて冷静になったいま、そもそもパリピの精神構造をそのまま建設したような"マイアミ"に一人で旅行すること自体が間違っていた気もしていて、そうなるとこれは私の致命的なミスになります。率直に言うと、マイアミを最大限楽しむには、五人くらいで行くのがいいと思いました。あの場では、おそらく二人でも気まずいでしょう。五人でパリピ・エネルギーを分散することで、初めて健全な精神を維持できるようになっています。そもそもアメリカのレストランって、客は複数ペアで入店していることがほとんどなので、一人でレストランに入るという行動をするだけで、我々が1日で使える行動数のほとんどを消費しまうわけです。

大晦日の日は特別なのか、道路を封鎖して路上でもクラブイベントのようなことをやっていたので、そのときに野外のクラブっぽい場所にも参加してみたりはしたのですが、そもそも英語が苦手な私が、大音量でLMFAOのShotsが流れているなか、バーテンダーに正確な注文ができると思うでしょうか。どう考えても不可能なことですよね。

ただ、アメリカの都市を擬人化すると黒ギャルで間違いない"マイアミ"であったとしても、こちらが引くような悪ノリはほとんどみられない、というのはスマートだなと素直に思いました。ニューイヤーイベントで発狂して酒を投げるとか見なかったです。ギャングスタなラッパー風ファッションの人でも、手に持っているのは普通にコカ・コーラ、とかが多かったのは意外でした。比較して申し訳ないですが、かつてひょんなことから参加してしまったULTRA JAPANよりガラは悪くなかったと思います。あれは凄かったですよ、半裸の色黒ヤンキーに肩車されたギャルが葉巻を吸ってましたからね。ただ、キューバが近いからでしょうか、マイアミには葉巻の売り子がたくさんいたことは面白かったです。

もちろん、極度に寒いボストンに比べて暖かいというポイントは認めたい部分です。あと、乾燥肌の私にとって、とても湿度が高いというのは良い。ただ、マイアミの自然が明らかに人工的だったのも気に食わなかった。自然を支配しようとする西洋的思想の現れ、と雛形の揶揄をするつもりはありませんが、やはり、海岸からちょっと泳いだだけで野生のウミガメをみれる宮古島と比較してしまいます。もっと綺麗なポイントもあるのかもしれませんが、アメリカはすごく広いので、数日で把握するのは難しかったです。

そう、アメリカって広いんですよね。ご存知でしたか?
普段住んでいる場所では気付かないのですが、旅行すると実感します。Google Mapを参照しても、縮尺の感覚がバグっているんですよね。このストリートからここまで歩いて30分くらいだな、という日本感覚での目算は大抵外れてます。宿から最寄り駅の徒歩での所要時間を算出すると、普通に2時間30分とか出たりするわけです、都会なのに。あと例えば、マイアミ・ビーチでニューイヤーイベントとして花火を打ち上げる、となると超絶混雑しそうなイメージを抱くと思うのですが、どれだけ混雑しても日本の感覚でいえば普通に空いているレベルなんですよね。そのときに改めてアメリカは広いなーと思いました。いかがでしたか。

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