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言葉と向き合う、雨と風と桶。

僕は、日本生まれ日本育ちの日本人だ。

平成のはじめのほうに生まれ、関東平野の台地の上のどこかで育ち、いまはトーキョーという場所のあるところに暮らしている。

僕は、「日本語」という言語が好きだ

英語はできない。

ふとこれを、立ち止まって読んでくれた人の中には、多言語を場面に応じて流暢に使いわけ生活しているという方もいるだろう。

「日本語」は美しくて、

日本語の美しさは"曖昧さ"にあると思っている。

僕は映像に関わる仕事をしているのだが、たまに記事を書くこともある。もともと昔から、日本語でなにか書く、読むことが好きだったので苦ではなく、むしろ表現が広がる良い機会だと思って大切にしている。(残念ながら、話すことは得意ではない。)

当然ながら記事なんかを書く時には他の人にいかにわかりやすく伝えるかが重視され、求められるので、曖昧さや微妙なニュアンスの言葉は避けることになる。

最近、「日本語」で表現する、書く、読む、ということについて思うことがあったので、少し綴ろうと思う。

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さて、雨がしとしとと降り続く日が続いていますね。

今年特に、関東甲信や太平洋側の地域では「梅雨」が長く続いています。ニュースでは、「記録的な日照不足」なんて見出しも出ています。

この、雨が「しとしと」と降る。という表現。

僕はちゃんと勉強をして身につけた覚えがないので、たぶん「日本語」の副詞として「雨が静かに降る様子。」を水や空気、呼吸のように、日本語で表現する、書く、読むということをしています。

雨が「ぽつぽつ」「ぱらぱら」「ざあざあ」ならありますが、雨が「ギトギト」することはありません。油ではないですからね。

このように繊細さがあり、その風景描写を想像する余白が残されています。

英語や他の言語では訳せないかと。

この表現がわかりにくく、いい加減として存在させてしまうのか。または、本来持っている繊細さと微妙なニュアンスをいかして使うかは僕ら次第なのですが、グローバル化の流れに伴って、日本語が過小評価され、英語や他の言語が重視されるのであれば、古語として扱われてしまう時がくることもそう遠くはないよな。なんて思います。

(現に、『雨が「しとしと」降っていますね〜。』なんて会話は滅多にしない。書くことも少ない。)

言葉は時代とともに移り変わってゆくものですよね。

日本固有の形式による詩で「和歌」がありますが、

・日本語の継承してきた「あいまいさ」が一番美しく表現できる手段が、和歌であった。和歌の中での言語技術が磨かれてきたことが、日本語の表現の豊かさを作ってきた。


と言われるように、日本語の持つこの繊細さと微妙なニュアンス、あいまいさを、いい加減さ、わかりにくさ、としてではなく、ある種の美しさとしてとらえてみる。表現してみる。書いてみる。

情報に溢れた社会の中で、すぐに伝わり、わかりやすく、インスタントな表現・言葉って意外とすぐに頭から離れてしまうが、この曖昧さというか想像する余白が残された表現・言葉は即効性はないけれど、ふとした瞬間にじんわりと効いてくる。

「日本語」という母国語は水や空気、呼吸のようなものもので、日本語で表現する、書く、読むということを意識的にしないとふんわりしてしまう。

要は、なにが言いたいかというと、こういう日本語の特異的な部分を普段から大事にして、言葉と向き合ってみる。また、表現してみる。あと、下に貼ったのをみてほしい。(笑)

全てのおもいを言葉にするのは無理だし、なにかを言葉にすることがリスキーな世の中になったけれど、それでも言葉から、日本語からは逃れられなくて、その言葉の文体やその場で発した空気を媒介に振動して伝わるその人の微妙なミュアンスをそっとすくい上げて、言葉を返す。

それを意識的に、やってみる。

ふと、そんなことを思った梅雨のある日でした。

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日本語の面白さというところで余談ですが、小林賢太郎さん率いる「ラーメンズ」というコンビが好きです。「風と桶に関する幾つかの考察」という舞台コントの中で、頭を激しく振って、ロックバンドのボーカルが、メンバー紹介をしていくという流れがあるのですが、「ベースがお豆腐屋さん」→「ドラムスがふとん屋さん」→「ギターが酒屋さん」最後に自分を紹介するときに、「桶屋が儲かる」という表現にかけて「桶屋がボーカル!」というオチがあり、この同じ音をみつける遊びというか、ネタがお気に入りです。ぜひみてほしい。



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