見出し画像

終身雇用を“悪”と決めつける浅はかさ

こんな記事を読んだんだが。

https://smart-flash.jp/sociopolitics/164476

『フジテレビだけじゃなかった「希望退職」JT 2590人、ホンダ2000人、パナソニック1000人…40代以上の地獄が始まる。』


・・・
希望退職者を募集している企業はフジテレビだけではない。東京商工リサーチによれば、2021年1~10月、上場企業で実施したのは72社。
・・・
加速傾向にある企業の人切りで、「終身雇用」の時代は終わりつつある。40代以上の会社員にとっての地獄は、もうすでに始まっている。

ーーー

う~ん、じ、地獄ですか😅
いっぽうで、「定年75歳」が話題の摩訶不思議なジパング🤣

終身雇用は古い、終身雇用の時代は終わった、ってフレーズは20年前から耳にタコ。

終身雇用から成果主義へだとか、誰がこんな「ザ・アメリカナイズ」なこと言い出したんだろう。

転職してキャリアアップする、自分を磨いて独立する、それはそれでできる人は凄いし、それがその人の夢ならば、夢の実現は素晴らしいことだ。

が。

「終身雇用」を“悪”のごとく言うのはあまりに浅はかと思えるのだが。

「ぶら下がり」や「しがみつき」社員も、
疲れたとか、能力の限界とか、プライベートにパワーを注いでるとか、何か原因があってそうなったわけで、入社時から「入ればこっちのもの、ぶら下がり抜いてやる!」なんて新入社員はいないわけで。

アメリカ的な耳障りのよい「成果主義」は、
ノルマをこなせなかったり求められた成果が出せなければ、無慈悲に切り捨てられるということと表裏一体。

日本の終身雇用は、そんな能力が頭打ちになった人材でも給与を、生活を守るのだ。

だから生産性が低いんだ、なんて短期的視点の評価を下す評論家もいるが、

そもそもなぜ、国としての歴史が浅いアメリカのビジネスを「正解」のごとく扱うのか意味がわからん。

日本という国は、
宮大工や鍛冶、左官などなど、○○組などと組織だてた今でいう雇用体系をつくり、
商売としてだけでなく、技術、在り方、生き方、精神性など、もはや信仰級のイズム、哲学を何百年も継承してきた。

それが、「終身雇用」のルーツだ。

日本の刀や木造建築が世界が真似できないほどのレベルに到達できたのは、何百年、何世代にもわたる失敗の繰り返しあってのこと。
そのなかで、「三方良し」などの商いの哲学も培われてきた。

まぁ、そんなアメリカナイズな洗脳にはまった経営者たちは、大手だろうが中小企業だろうが、成果や利益、生産性ばかりに目を向け、
組織のDNA、哲学を殺してしまった。
残念ながらそんな企業は確かにこれから、時流にあわせてたまたまビジネスが当たり続ける幸運がなければ、沈没せざるを得ないだろう。

しかし、そうではない、まだ企業の核がしっかりと呼吸をしている会社は、終身雇用をやめないだろうし、こんな不景気にオジサンが転職してたとえば若いユニコーン企業で活躍しようなどと気安く辞めるべきではないと思う。(邪魔になるだけ)

歴史の浅い会社や急成長中の若い会社に転職しても、10年もすれば必ず壁にぶつかるだろう。それがおそらく「イズム」や「哲学」だ。

立ち上げた経営者とまわりの経営層が、それを確立することができなければ、その企業のビジネスは一過性で終わるだろう。


小さいうちは創業者のカリスマや影響力で何とかなるが、規模が大きくなれば価値観の共有は隅々まで行き届かなくなり、次のカリスマを見つけバトンを渡す綱渡り経営になる。カリスマがいなければあっという間に崩壊する。
それに変わるのがDNA、イズムだ。そこにいることが誇りになり、社会に貢献している実感とともに生きていける環境。それを一代で構築できる逸材がいたとしたら、もはや宗教家だ。

あの松下幸之助だって、中村天風に師事したわけで。その中村天風はヨギーで宗教家のカリアッパに師事した。

無くてはならない事業、は、
所属するだけで人間を成長率させる深さをもっているだろうし、何百年も続く。

あってもなくてもどっちでもいい事業、は、
たまたま時代にマッチして当たっただけ。
それを渡り歩いたところで、虚構の“キャリア”が積み上がるだけで、自分の人生ははたして有意義といえるのだろうか。

宇宙は呼吸してる。
地球は回ってる。
生命はいつかは死に、また生まれる。
全ては相似でなければ不自然だ。

ただ、そんな大自然の摂理のなかでも、DNAは引き継がれている。
そんな視座で物事をとらえないと、とても狭い視野で浅はかな判断をしてしまいそうだ。

この記事書いた人の「地獄」の反対の「天国」って、どんなものなんだろう?
きっと、、「金銭的に豊かであり続ける」程度の、つまらんものなのだろうなあ、と想像してしまう。

サラリーマンは「社畜」とかいわれるが、
週5日頑張れば、
週休完全2日、年間120日程度の休みがあり、
福利厚生があり、ボーナスや退職金(まぁみんな確定拠出年金にシフトしちゃったが、ゼロではない)もあり、ある意味天国なのが、
日本的終身雇用だったりしないだろうか?

まぁ、管理職を2度拒否して労組も脱退した、「誇り無き役無しサラリーマン」なわたしが言うことじゃないがね🤣

問題の一部であり続けるのではなく、解決の一部でありたいと思っています。