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誰でもナルシストになれる場所

「バーボン」には何故かワイルドな響きがある。

サントリーのウィスキーしか知らなった学生の頃、ふいに飛び込んだ大人のお酒の世界。
アメリカのバーボン・ウィスキーというものを初めて知った。
でも、今よく考えてみると、「スコッチ」はどこに行ったのだろう。
きっと「スコッチ」だって耳にしたはずだ。
なのに、まだ飲んでもいないうちから、「バーボン」に憧れたのだった。
やはり、この名前の響きなのだろう。

【今回は、僕の「バーのマスター」としての顔で書いています】

初めて飲んだのは、「ワイルドターキー」だった。
ワイルドの中のワイルドというわけだ。
(ワイルドを連呼していると、杉ちゃんのあのセリフが言いたくなるがそこはぐっと抑える)

店で注文を受けるとき、よく観察してみると
「俺、バーボン」というお客さんの顔はどこかニヤニヤしている。というかいわゆる「ドヤ顔」ってやつだ。
「バーボン」と口にするのがよほどうれしいのだろう。
「どうだカッコいいだろう」と言わんばかりだ。
でも、その「いかにも」って感じの注文を聞いても、僕はなんとなく許してあげたい気持ちになっている。
その気持ちがわかるから。
だって、「バーボン」って口に出したいのだ。
だから、僕も「はい、バーボンですね」とニッコリ答える。

さらに一枚上手を行くのは、「俺、バーボンのロック」である。

「俺バーボン」は「いつもの」というのに匹敵する酒場で言いたいセリフだ。
いや、「いつもの」のほうが最強かもしれないが、
「いつもの」は足しげく同じ店に通い、毎回同じもの頼み、自分と自分が頼むものをお店の人に覚えてもらうという積み重ねが必要だ。
でも「俺バーボン」は、初めて行く店でも使える万能ウェポンなのだ。


「俺はバーボンしか飲まねえぜ」

っていうのは、ルパン三世の次元大介のセリフだ。

これもぜひ使ってみたいものだ。これが言えるようになるにはちょっと修行が必要かも。

「俺バーボン」の心理、いかにも男性のもののように思うだろうが、実はそうではない。
希少な存在ではあるけど、女性にもウィスキー好きはいて、今までにも、女性から「私バーボン」というのを聞いたことは何度かある。
女性はドヤ顔は隠していてさりげない。でもやはりどこかニヤニヤしている気がするのは僕の思い込みだろうか。

バーで飲むときは、スタイルをつくるのは重要だ。
何を飲むのか、何杯飲むのか、一人で行くか、誰かと行くか
「何を飲むか」は修練が必要だ。たくさんの種類のいろんなお酒の中から自分は何が好きかを覚える必要がある。でもお酒を覚えるのがバーの醍醐味でもある。

ぜひ、自分だけのスタイルを作って、カッコよく決めて飲んでほしい。

バーではナルシストは許されるのです。


文中で紹介したバーボンはこちら。


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