見出し画像

愛着障害の人の厳しい子育てとはどのようなものか?|自責しつつ外へ助けを求めない

【質問】厳しい子育てとは具体的にどのような子育てですか?

【お返事】サイトの記事やnoteで、愛着障害の人々の子育てを「厳しい子育て」と、ときどき言っています。

例えば【不登校気味の子どもへの対応】を考えてみます。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着障害の人の子育て

厳しい子育てのお母さんは、「自分の育児が間違っていたのでは?」と、内心は自分をかなり責めています。自分を責めながら、学校へ行きたくないと渋る子どもに対して、他の子どもと違う行動を取る我が子の将来のことを思うと恐怖が吹きだして、ついつい「学校へ行きなさい!」と強く言い放ってしまいます。

そして自分の葛藤に頭を抱えてしまいます。全部自分のせいだと思いながら、外へSOSを発しません。外へ助けを求めることは甘えることであり、あってはならないことだと思っています。全部、なんとか自分でケリをつけようとします。

■愛着に問題なく育った人の子育て

愛着たっぷりの中で育ったお母さんは、自分の育児を反省しつつ、子どもが行きたくないという気持ちにしっかりと寄り添って、行きたくない理由を聞いても応えない子どもに対して、「今日は行かなくていいよ」と寄り添います。

会社を休んで地域の教育相談室へ電話をしたり、担任に休みの電話を入れるときに我が子の様子を聞いたり、自分のカウンセリングの予約を取ったりします。外へ助けを求める行動をします。自分のカウンセリングの予約を取るのは自分を責めているからです。

■愛着不全の家庭で育った人の子育て

愛着が足りなかったお母さんは、人の目が気になって、子どもの気持ちよりも自分の気持ちや他人の眼を優先させます。子どもが学校へ行きたくないということに対して、みっともない!と思って、親身に気持ちを聞いたりもしません。

むしろ学校の先生やスクールカウンセラーに助けを丸投げで、早く登校できるようにしてほしいと要求したりします。自分がカウンセリングに行く必要はなく、子どもがカウンセリングを受けるべきと思っています。

自分が間違っている気持ちは、こころの奥の方(無意識)では分かっているのですが、それが前面に出てくることはありません。こころの奥には「親への怒り」が燃えたぎっており、それが放出されてしまうと「空虚」になることを知っているからです。

■愛着障害の「かりそめの成人期」

2021年12月15日の記事のリンクです。愛着不全は成人学童期+機能不全家族です|愛着障害の精神年齢は幼児期(成人期)です

この記事では「愛着障害の人の精神年齢は【幼児期(成人期)】である」と解説しています。この(成人期)は「かりそめの成人期」なのでカッコ付になっています。

「かりそめ」というのは、こころが自然と成長して成人期まで達したわけではなく、自分で外から情報を学び取り込んで、自分で作り上げたハリボテの成人期のことです。ときどき私は、モビルスーツと表現したりします。モビルスーツについては下記を参考ください。

このかりそめの成人期の強さによっては、愛着障害の人でも、お子さんが不登校になっても、普通の愛着たっぷりで育ったお母さんと似たような行動にでる方もいます。

行動は似ていても、「かりそめ」のものをがっしりと作っているだけですので、心情をお聴きしていると、愛着障害の方の話す「恐さ」というものが滲み出て来たりします。この人は普通っぽいけど、愛着障害のお母さんだな、と分かります。そこをカウンセラーが指摘することはありません。その「かりそめ」に作り上げた成人期に敬意を表しつつ、カウンセリングは進んでいきます。

「かりそめの成人期の強さ」とは「怒り」の感情をしっかりと持っているということです。子どもの甘えに対しては諫めるような感じ。それがお子さんには「きびしい」と映ってしまうこともあります。このきびしさは子どもに出る場合もあるし、他人に出る場合もあります。

この強さはどこから出てくるかというと、父親が普通の成人期の親だった場合に、この強さが滲み出てくるようです。愛着障害の人々にとっては父親(というか、父性)の存在がどのようだったかも、重要な要素となるのです。

■まとめ

  • 愛着障害の親の子育ては、外に助けを求めず、自分だけでなんとかケリをつけようとします。それで子どもにキツク当たることもあります。

  • 普通の愛着の中で育った親の子育ては、自分が子どもに対してできていなかったことを反省しつつ、外へ助けを求めます。そして子どもに寄り添います。

  • 愛着不全の親の子育ては、外に丸投げして自分の問題は棚上げしています。直視すると自分の空虚さに気がつくため、やっかいな問題は避けて通ろうとします。

  • 愛着障害の親には「かりそめの成人期」が形成されており、そのハリボテの自分を使って、ガタピシ音をさせながら世間をなんとか生きようとしています。

この記事について質問が重なりました。まとめて記事にしました。そちらも参考にしてください▼

◇ラジオのおやすみ談話室:Miles Davis In Concert - My Funny Valentine (1964)

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

Twitter でも発信しています。フォローいただくと、発信ばかりでなく質問箱のQ&Aを見ることもできます。【Twitter】→ https://twitter.com/soleapsy


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?