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愛着障害と愛着不全とグレーゾーン|その区分と原因について

【質問】HSPについての質問箱(2022.2.25 )拝読しました。回答にあるように高間さんは色々な臨床論やセラピーを経られ愛着視点に辿りつかれていらっしゃると思うのですが、現在の愛着臨床の視点(愛着障害と愛着不全を明確に切り分ける、愛着障害の原因は主に親のMRなど)が変わっていく感触はありますでしょうか?そ れとも臨床を重ねる程、その視点の確信性が深まっていらっしゃるのでしょうか....(立ち入った質問すみません。めんどくさかったら飛ばして下さいませ)

【お返事】私が現在、愛着の問題をどのように見ているのか?という質問ですね。そしてそれは今後変わっていくのか?ということですね。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

①愛着障害と愛着不全の明確な切り分け

これは現在も未来も変わりません。明確な切り分けができないと、適切なセラピーができなくなるからです。

例えば、プラスのネジを緩めるときに、マイナスドライバーで緩めるようなものです。うまく(強引に)使えばマイナスドライバーで緩まなくもないですが、ネジ山を壊すことになります。プラスのネジは、プラスドライバーを使って、それも適切なサイズのプラスドライバーを使って緩めることが必要です。

プラスドライバーを使うか、マイナスドライバーを使うか。これは、対象者を愛着障害か、愛着不全かを見きわめるということですが、次に、どのサイズのドライバーを使うか、これがその障害に合わせた方法ということになります。こちらの方は、プラスかマイナスかの選択よりは問題なくやれそうです。

愛着障害と愛着不全は、現場では、切り分けるのが困難なことも少なくありません。そのためには、現在の私が行っている方法を拡充させていく必要があると感じています。自分なりに、まだまだ研究の余地のあるところです。以下は試論になります。

◇愛着障害グレーゾーン

こんな質問をいただきました。

愛着不全から愛着障害になることってありますか? 愛着障害の方がネーミング的により重い気がしたけど 愛着不全の方が親の気分とかによって辛く当たられたけど優しくもされて、親ムカつくけど100%は嫌いになれないで混乱というかより重いですか?

発達障害グレーゾーンという言い方があります。「発達障害かどうか分からないけど、その傾向がありそうだ」というときに使われます。実際は、ほぼ発達障害である認定がされた状態です。

同じように、愛着障害グレーゾーンと呼ばれる領域もあるかもしれません。これも、ほぼ愛着障害である認定がされた状態です。しかし、現在の愛着臨床では、愛着不全も愛着障害の中に入れてしまうという(雑な)見立てをする人々も多いので、愛着障害グレーゾーンという使い方には細心の注意が必要でしょう。

でないと、適切でないドライバーを使って修理することにもなりかねないからです。そうなってしまうと、こころが壊れていくだけです。

そうなのですが、愛着不全の環境の中で育った人々の中にも、心理・社会・情緒的なネグレクトを受けて育った場合があります。この人々こそ、愛着障害グレーゾーンと言ってもいいでしょう。

つまり愛着障害の中にグレーゾーンの人がいるのではなく、愛着不全の人の中に愛着障害グレーゾーンの人がいるのです。ここは岡田先生の愛着障害スペクトラムとは違うということを明確化しておく必要があります。どういう事情があって、基本的信頼感があったはずなのに愛着障害になっていったのか、そういう視点ですね。

②愛着障害の原因

愛着障害の原因は主に、親の軽度知的能力障害(境界知能域含む)あるいは重篤な精神疾患(統合失調症など)です。

もう少し細かくみていくと、

  • 知的能力障害

  • 発達障害の一部

  • 精神疾患の一部

  • パーソナリティ障害の一部 などといえます。

これらに共通しているものは、精神年齢が未熟であるということです。子育てには向かないのですね。その視点で大きく考えると、

  • 精神疾患ではないけれど未熟な人々の一部も、ここに入ってくるでしょう。

これらの「一部の」というところの切り分けも重要で、これから精緻化させていきたい部分です。

ともあれ、わたしの臨床は、年齢を考えてもあと10年でタイムリミットなので、どこまで広げられるか分かりませんが、そんな感じで残りの時間を使いたいと思っています。この質問箱を借りて整理する機会を作っていただき、ありがとうございました。

◇ラジオおやすみカフェ:今宵のメニューは…畑の色に注目する人々。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

もし、あなたが愛着の正しいカウンセリングを受けたいと思っている場合は、愛着に詳しい臨床心理士などの心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。時間はかかるかもしれませんが、あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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