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カウンセリングでなぜ同じ話を何度もしてしまうのか?

【質問】noteのナラティブの記事拝読しました。 私は同じ話をしないように気をつけてました。「その話は何度もしてますよ」とカウンセラーさんに言われたこともあり、またその時に母の話がないと指摘されて、しようとしたのですが、 語れることがありませんでした。無って感じです。母は健在ですし虐待もありませんでした。 母のことを語れないと変われないのでしょうか

【回答】相談者の方が、同じ話を何度もすることを止(と)めるカウンセラーはいかがなものでしょうか。カウンセリングの場とは、相談者が話したいことを自由に話す場ですので、それを止める理由はどこにもありません。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■カウンセラーの共感が足りない

カウンセラーの共感や受容が足りないため、同じ話を何度もする場合があります。

相談者がせっかく話しているのに、カウンセラーが別のことを考えて、そっちに気持ち持っていかれている場合などに、共感は足らなくなります。

質問者の例でいうと、「母の話がない」というところですね。カウンセラーは明らかに母親の話を「聴きたがって」いるのです。こういう微妙なこころの動き(スケベごころ)はいち早く相談者に伝わります。そして相談者は、無意識のうちに「その話だけはしまい」と殻を閉じます。

カウンセラーは自分の表情が見えないので、そんなスケベごころで話を聴いていることに気がつきません。そして早く母親の話をしないかなと思って、「その話はしましたよ」と発するのでしょう。

これは、自分の力量不足を相談者のせいにしているだけですね。しっかりと共感して聴いてもらえたと思えば、相談者には、「話し切った」という感じがやってきます。

・共感・受容 → 話し切った → その話はもうしない

そして、同じ話をしているときカウンセラーはどうやって聴いていればいいのか?それは、

初めての話を聴くように聴いていること、です。これは私の大学院の恩師のスーパーバイザーから教わったことです。皆さんにも、おすそ分けしておきます☺

■相談者がそのことを話し切っていない

「話し切る」というのはカウンセリングの原則というか、とても大切なことです。満足することですね。

多くの相談者は「満足=甘え」を得られていません。それは幼少期からそうだった場合が多くあります。

すると「欲しい」気持ちが、カウンセリングを通して溢れてくる場合があります。だから「聴いて、聴いて、何度も聴いて」と無意識で思い始めます。

カウンセラーはそこを、ちゃんと時間をかけて聴いてあげる。そうすれば相談者の人は安心するでしょう。甘えられたと思えるでしょう。相談者の同じ話を何度も聴くことは、相談者を甘やかしているわけです。

甘えの足りなかった人への甘やかしは、カウンセリングでは必要な作業ですので、たっぷりと甘やかしてあげましょう☺

たっぷりと何度も同じ話をしてもらうことです。

■重要人物は話に登場してこないこともある

母親という人物は、相談者の人生にとって重要な人物です。その重要な人物が話に出てこないというだけで、意味のある話が展開されています

そこをつつくことなく、カウンセラーは、あ、母の話が出てこないな、思っていることです。話さないという相談者の姿勢を容認していくことです。母のことを話していないということだけでOKにしていく。

・話さないことを、あえて深追いしない

この懐(ふところ)の深さをカウンセラーは身に付けていかなければなりません。つまり、話さないということを受容していくわけですね。受容していけば、時期がくれば、(必要なら)話し出す可能性は高いです。受容って深いと思いませんか?☺

「(母のことを)語れることがありませんでした。無って感じ」。この「無」を受容していくわけです。

何もないものを受容するって難しいですよね。受容って、対象物、対象となる感情に共感することですから。ただ、ここで視点を変える。「何もない、という主張をしている」と読み替えて、その「何も話すことはない」という主張を受容していくわけです。

◇家系図

自分の家系、母、父は最重要人物です。次が兄弟、その次が祖父母、親戚です。家系図を書きながら、質問をせずに傾聴していると、誰の話を一番して、誰の話を一番していないかが自ずと浮き彫りにされてきます。

カウンセラーはその情報の偏りも見立てに使いましょう。家系図の読み取りも深いですね。

◇まとめると、受容して共感しながらカウンセラーが話を聴き続けると、相談者の話しはそのうちに展開していきます。恐れずに、何度も同じ話を聴き続けましょう。

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