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カウンセリングの終結と中断|【結論】心理療法のノウハウは隠し味で使うと良さそう|臨床家の態度が大切

【質問】今朝の質問箱 2022/1/31「相談者の方を焦らさない、そして自分も焦らない、そんなマインドフルな対話の中で、感情は ゆっくりと流れて変化していきます」カウンセリングのイメージが変わりました。
今まで2回程カウンセリングの経験があります が(違う方)どうなりたいかハッキリしろと苛つかれたり、人を頼れ社会支援使えと苦手なことを早々に提案されたり、焦るどころか追い詰められて、やはりカウンセリングといえども相談したらこうなるんだから二度と人には言うまいと思い、自主勉してました。 高間さんの質問箱は本当に驚く(勿論良い意味で)ばかりで毎日の更新が待ち遠しいです。ありがとうございます。

【お返事】あなたが相談したカウンセラーは、自分のカウンセリング・フォーマットに乗ってこないあなたにイライラしていたのでしょう。あるいはそこが、カウンセラーの受容限界だったわけですね。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■カウンセラーの思い込み(認知の歪み)

さて、カウンセラーは、どうしてイライラしたのでしょう。それは、

  • 人は、どうなりたいのか分かっているからこそ、それを目標に頑張れる

  • 人は、ひとりでは生きていけないので、そのことに早く気づかせたい

そういう思い込みがカウンセラー側にあって、それを実現させるために、あわてて(2回のカウンセリングで)あなたに急(せ)いたのでしょう。こういうことが2回のセッションで解決できるはずだというのは、カウンセラー側の認知の歪みです。

確かに上の2点はそうなのですが、2回のセッションでは、普通、出てくるものではありません。これらはカウンセラーが教えることではなく、相談者側が自分の中から湧きおこってくるまで待つことが必要です。大切なものというのは、いつも相談者側のこころの底からわき上がってくるものです。それが分かっていないのはカウンセリングの経験が浅いと思われても仕方がないですね。
そういうカウンセラーから早々離れて、自主勉でカバーされたのは良かったですね。

■隠し味としてのノウハウ

カウンセラーが自分のノウハウを押し付けてくるほど、相談者にとってはマイナスなことはありません。

例えば、〇〇療法をやっていると標榜していても、「それをやっているのかどうか分からないくらいで、その〇〇療法を使うべき」というのが私のスタイルです。【隠し味程度に使うべき】、ですね。

カウンセリングのフォーマット、〇〇療法も含めて、そこにカウンセラーが依存しているうちは、そのフォーマットや〇〇療法を使わないほうがいいのです。勉強したものはすぐ使いたいと思うのは、誰しもそうですが、カウンセラーはそういうやり方は、止めた方がいいと思っています。熟練するまで使わない

これは「心理療法を学ぶ前に、もっと本質を学びましょう」ということです。

例えば、ハコミセラピーを勉強するのはとても良いことです。しかし、そのフォーマットでセラピーを進めるのは、ちょっと待って!といいたいのです。まずはハコミのエッセンスを十分に理解するために数年、どっぷりと浸かってみる、そういう時間が必要だと思います。

本質は、〇〇療法や〇〇セラピーにあるわけでなく、もっと深いところにあります。例えば、中井久夫先生の著作とか。それを読んでも何かの方法論が書いてあるわけではありません。しかし、臨床家としての態度というのものがビンビンと伝わってきます。そういうものが重要だと思っています。

例えば、ハコミセラピーでいうなら、ハコミのノウハウなどがつまっている「ハコミセラピー」よりも、

・ハコミセラピー タオイズムと心理療法

このタオイズムから説明しているハコミセラピーの本をお勧めします。これを読んでも、ハコミセラピーのノウハウやマインドフルネスのノウハウを知ることはできません。しかし、あらゆるセラピーに通じる本質というものを学ぶことができます。

こういう本が、息の長い情報になります。ノウハウ本のような即効性はありませんが、あなたのセラピーにとって豊かな滋養となっていくでしょう。どの場面にも必要とされる態度が書かれています。私はこの本に出合って、ハコミセラピーは本質的なセラピーであると実感しました。

■カウンセリングは1回で終結することもある

カウンセリングは、普通1回で終結することはありません。愛着不全や愛着障害のカウンセリングが1回で中断することはありますが、終結することはありません。

◇終結と中断

終結とは、もうカウンセリングを受ける必要はなく、普通に生活できる状態です。悩みがすっかりと解決したという状態です。

中断とは、カウンセリングの継続が必要だが、相談者の方の事情で、あるいはカウンセラー側の事情で、カウンセリングが途切れることです。

相談者側の事情とは、

  • 自分の問題が解決していくことが怖くなった

  • 自分には問題がないと分かった(問題の否認)

  • 自分の問題というより他人の問題にすり替えた

  • まだカウンセリングをするこころの準備が整っていない

カウンセラー側の問題としては、

  • カウンセラー側の雰囲気が良くなかった、嫌なことを言われた

  • カウンセリングのペースが急ぎすぎ。相談者のペースを見誤っている

  • カウンセリングの進行場面に合わせて、適切なセラピーを使えていない

このようなとき中断が起きます。中断はカウンセリングの途中下車のようなものなので、それもいいのです。「まだその時期じゃなかったから、続ける必要を感じなかった。」そんなときは、カウンセリングを中断したほうがいいでしょう。終結したほうがいいですが、中断してもいいのです。

◇短期間でカウンセリングが終結する場合

中断と終結の話ですが、1回あるいは数回でカウンセリングが終結することもあります。どういう場合かというと、

  • 心理発達が成人期まで達している

  • 自分の悩み(葛藤)が明確である

  • ある程度、答えのようなものは見えている

上のような場合、1回のカウンセリングでこころスッキリ!となります。

脳機能の問題がありそうな方は、リファー先をお知らせして、カウンセリングを継続するか、そこでカウンセリングを終了するかになります。

■まとめ

  • 認知の歪みはカウンセラー側にもある。それによってカウンセリングが中断するときもある。

  • ノウハウは隠し味程度に。

  • カウンセリングは1回で終結することもある。中断しても良い。

カウンセラーは日々、相談者の方に真摯に向き合いながら「臨床の知」を深めています。この仕事を辞めるまで、それが続くことを祈ってやみません。

◇ラジオのおやすみ談話室:豊田駅で見かけた肝油ドロップ

■他の助けを求める

もし、あなたが今のカウンセラーとうまくいっていないと感じる場合は、他の心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。あなたにぴったりのカウンセラーが見つかることをお祈りしております。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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