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愛を乞う女(ひと)が双子のカメレオン(親友)と出会うために今できる5つのこと


【質問】少し前にとても共感した、質問箱深掘りラジオ回がありました。私は、もっともっと、と際限なく人を求めます。蟻地獄女と呼ばれたことも...。 先生は回答で友人(双子のカメレオン)を見つけることを言われてましたが、そんな友人をどうやって見つけるのだろうとあれからずっと考えてます。
「欲しい、欲しい」と飢えてるうちは出会えないから (ずっとそうだから)、日々の気持ちを落ち着かせることが必要でしょうが、それが出来ない(鶏が先か、卵が先か)。
先生のラジオが、今わたしのカメレオン探しの補助輪になって下さってると感じます。が、ここでまた、欲張りにも「愛を乞うひと」が双子のカメレオンに出会うために今できることのお話もそのうちいただけたらと...。
ラジオネーム:砂の女

【解説】愛着に問題のある方が回復していくためのステップを5つに分けて解説しました。特に、今回は愛着不全の方(メンヘラと呼ばれることの多い方)向けに書いていますが、カメレオンの見つけ方は、愛着障害の人にも十分に活用できるものです。かなり具体的に書いていますので参考になるでしょう。

・双子のカメレオンとは下記の記事を参考にしてください。

・レオ・レオニのカメレオンの話は、下記が原典です。
じぶんだけのいろ いろいろ さがした カメレオンの はなし(谷川俊太郎 訳)

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■改めてカメレオンを考える

カメレオンとは、「自分と同じシャドー(影)をもつ同志・親友」のことでした。この親友とは、コフートのいう双子自己対象のこと。人生を生きていく上で、母性、父性の次に大切なものとされています。

しかし、母性、父性が欠損している人もいます(愛着障害)。欠損までいかなくても不完全な状態の人もいます(愛着不全)。

そんな人にとって親友の存在は、唯一無二、あなたの人生を力強くけん引してくれる役割を担います。ある意味、親友は、母性、父性よりも大切といえるでしょう。

ここに愛着に問題のあった人々の希望があります。

■愛を乞う人が親友と出会うための5つのこと

今回は、「ほしい、ほしい」と訴える蟻地獄女さんのような方が、カメレオンに出会うための道筋です。これは私の複数の臨床体験から得た知見ですので、Web上ではなかなか探せない情報かもしれません。まとめてこなかったので、このブログで言語化しておきます。

今回の話は、蟻地獄女さん(愛着不全)以外にも、愛着障害の方にも十分に利用できる話になっています。

そのうちに、蟻地獄女さんだけでなく、他の〇〇女さんも含めた形で、ソレアのWebサイトにアップする予定でいます。蟻地獄女と書いていますが、これは女性に限ったことではありません。男性の方も同様です。投稿いただいたのが女性だったので〇〇女としています。

以下、5ステップを解説します。

①カメレオンを「探す」行動を始める

カメレオンはどこにいるのか分かりません。だから最低限「会える」行動をしていないと会えません。これは当然のことですね。会える行動とは、「探す」という行動です。

レオ・レオニの本のタイトルにもあるように「じぶんだけのいろ いろいろ さがした カメレオンの はなし」です。「いろいろ探す」ことが必要なのですね。

絵本では、カメレオンが「自分だけの色」を探す旅に出ています。すでに目的があるわけですね。ある意味、目的があったほうが、探しやすいと思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、目的をしぼってしまうと、その1点だけしか見えなくなり、その周辺のことがぼやけてしまいます。特に、「ほしい、ほしい」気持ちが前面に出ていると、視野が狭くなって見誤る可能性が高くなります。

ここで思い出してほしいことは「大切なものはよく見えない」ということです。特に、何かを探す旅に出ている場合、色々な冒険をするわけですね。冒険活劇映画ではよくありますよね。インディ・ジョーンズとか、ハリーポッターとか。そういう映画では、大切ものは、だいたい端っこのほうで、ポツンと自己主張せずに在ったりするものです。

ですから目的は絞らないほうがいいのです。とにかく、まず動き出すこと。これが条件になります。

最近では、ネットでも交流できるので、リアルだけの世界でなくてもいいかもしれませんね。ネット空間で、ゲーム対戦したり、国を作ったりする時代です。そういうものもアリでしょう。

探査する行動を始めるわけですが、別に外に向く必要はありません。内省していくことだって立派な探査です。その中で見つけていくことだって探査だということを、確認しておきましょう。

②直観を身につける~何か熱中できるものを探す

いざ行動を始めてみると、ぼんやりと歩いていていいのか、ということになりますね。それもいいと思いますが、直観力がないと、膨大な時間が必要になるかもしれませんね。

直観力、これは誰にとっても大切なものです。

・今日は、この色の服だ!
・今日は、この路地を曲がってみよう
・今日は、30分ほど遅くでかけたほうがよさそう

いろいろな直観がありますね。日々の生活の中で、この直観力をつけていきましょう。何も難しくはありません。あなたの「自由」な気分を開放するだけです。でも、これができない人にとっては、まぁ、それが難しいのですが…

そしてその直観を使って、何か熱中できるものを探しましょう。その直観を使って選んだ熱中できるものの中に、あなたのカメレオンが潜んでいるかもしれません。

ここで大切なことは、「直観を使って」ということです。ひらめきですね。ここは大切にしましょう。直観がやってこないなら、まだ早いということかもしれません。探す行動をする前に、あなたの直観を磨くことをしましょう。

どうやって磨く?先ほどの例(服、路地、時間…)であげたようなことを意識的にやり続けることです。

③そこで複数の人と出会う

直感を使って熱中できるものが見つかりました。そうしたら、そこで複数の人と出会うはずです。そこで自分の好みを排除しつつ、ここは、まんべんに交流するといいです。絞らず、まんべんに。

人は、結構、付き合いやすい人を選んでしまう傾向がありますね。そのほうが楽ですから。でも、深く親密になる必要はないので、ここでは集中を少し弱めます。あまり深くならない関係を作っていきます。

これによって「複数の人と出会う」ことができます。リアルな人と、この段階で出会います。

そして浅い関係を続けていくうちに、濃い関係にしたいと思える人が見えてきます。陽炎(かげろう)の中からくっきりと見えてくるように、濃い人間関係が見えてきます。

④陽炎の中から立ち現れてくるカメレオン

そうやって見えてきた人の中にカメレオンがいる可能性があります。ここでも②で解説した「直観力」がモノを言うでしょう。ここからはあなたのレーダーを精緻化させましょう。蟻地獄女は敏感な人が多いです。あなたのレーダーを作動させ、細かなチューニングをして、カメレオンを探査します。

ここからは、カメレオン探しに照準を定めてもいいでしょう。③までは、照準は定めていません。このタイミングが大切です。③までにエネルギーを使ってしまうと、この④をする体力も気力もなくなってしまいます。

この④の作業で、ピンポイントでカメレオン探査を行います。集中しましょう。

⑤カメレオンが親友になるまでの過程

こうやってカメレオンが見つかるわけですが、見つかったらそれでメデタシ、メデタシとはいきません。このカメレオンがカメレオンになる(親友になる)ための、通過儀礼のようなものがあります。次の3段階を経て、真のカメレオンになっていきます。

ここで行動を継続することから逃げる人もいるでしょう。ここからはカウンセラーの力も必要かもしれません。

蜜月 ⇒ 崩壊寸前 ⇒ 永遠のともだち と進みます。

1. 最初は母親として求める(蜜月)

通過儀礼のその1としては、カメレオンに母性を求める時期があります。「ほしい、ほしい」が出てきます。母親のおっぱいが欲しいのです。ここを2人でどう通過していくか、です。ここはなんとか通過しましょう。甘えを封印することはできませんので、甘えながら通過していくことになります。まぁ、2人で喧嘩しながら通過しましょう。

2. 母親として怒りを向ける(崩壊寸前)

次には、母性に対して怒りを向ける時期が来ます。関係性は険悪になるでしょう。親友関係が壊れそうになる危機を迎えます。関係性が崩壊寸前まで追い詰められます。

この時期は必ず通ります。この時期を経験しているということは、本当のカメレオンだということです。良かったですね☺

その1とその2は、行ったり来たりしながら通過していき、その3段階目へ向かっていきます。

この行ったり来たりの中では、お互いのシャドー(影)が立ち現れたり、消えたりします。点滅するわけですね。そしてそのシャドーは各々のこころの中に吸収されていきます。シャドーが統合されるわけです。ユングの個性化ですね。

3. 親友として深まる(永遠のともだち)

最後に、親友としてしっかりとした関係性が築きあげられます。ここで、ようやくメデタシ、メデタシ、です☺

ここでようやく、「ほしい、ほしい」地獄から脱出することができるでしょう。

◇注意点

5つのステップを見てきましたが、注意点をまとめておきます。

・カメレオンという信頼感を得るまで、疑心暗鬼になったりするので、愛着に詳しいカウンセラーは必要でしょう。カウンセラーと確認しながら、カメレオンとの交流がいまどの地点なのかをチェックします。それによって安心して「崩壊寸前」の時期を越えていくことができます。

・カメレオン探しは若いほどよいよいでしょう。年を取ってくると身に付けた社会性によって、臆病になるからです。
この「臆病」というのはやっかいで、外へ向けて始めた冒険も止めようとする気持ちが出てきます。「もう、ムリ」という気持ちです。この気持ちを乗り越えるためにも、カウンセラーが必要でしょう。

■カメレオンは喧嘩もする

繰り返しになりますが、カメレオンは喧嘩もするのです。仲のよい夫婦や友だち関係は喧嘩しますよね。だから普通の人にとっては、喧嘩は当然なのです。

しかし、愛着に問題をもった人は、喧嘩が怖いです。「喧嘩をしたら人生の終わり」くらいに考えてしまいます。喧嘩ができるようになると、かなり愛着問題は回復してきている、問題の収束も近いといえるでしょう。

解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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