かなしさの果てまで歩いていく人々|悲嘆のプロセス

今回は悲嘆の作業(かなしみを終わらせていくこと)がどのように行われていくのか、みなさんに知ってもらいたくていただいた投稿を紹介します。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

■グリーフプロセスについての投稿

グリーフ・プロセスについて(長いです、すみません(>_<))。 私は、札幌で起こった件と同じ経験を、親としてしています。

当初は天と地がひっくり返り、薬で眠るものの夜中に目が覚めると、脳に槍がさるようにビリビリする感触がありました。 お酒なくしてはいられない毎日。

昼間は、あちこちからの電話、それも自分がど んなにショックを受けたのかと延々語る人々。 うちはよかった、などと言う人。自分の子供の自慢をする人・・などなど。

どうして私が傾聴しなくてはいけないの?と思い、聴けば聴くほど罰を受けているような感覚 。その後電話に出るのもやめました。インターフォンが鳴っても出るのもやめました。

頼りにしたのは、警察官の「目の前のことを一つ一つコツコツやっていてください。私はそうやって立ち直っていった人をたくさん見ています」の言葉でした。

そして10日後、社会に復帰しました。

同じような境遇の人々の集いにも参加しました。

ただし、最後の迎え方が違うだけで、その受け止め方はだいぶ違うようでした。 これからを、エネルギーを他者に向ける 「怒り」で生きてゆく人たち、。その反面、私たちはエネルギーを自分に向ける「自責」で生きていくのだと。

同じような立場の人たちが集まる場は、一人ではないという気持ちになれ、とても助かりました。 ファミレスで集まった時など、端から見たら何の悩みもない人たちの集まりだと思われたでしょう。

あれから10数年経ちました。
今はごく普通に冗談をいいつつ笑うこともあります。けれど、一瞬たりとも忘れることはありません。

子供は私の一部として今も生き続けていますし 、自分自身老いたこともあり、「死は忌み嫌うもの」という感覚が薄くなっているからです。なぜならば迎えにきてくれる人がいるからです。

そして、子供のとった道を受け入れてあげようと思うようになったからです。(受け入れる努力は今も続いていますが)

これは、今一生懸命生きている人たちや、社会全体から見れば良くない言葉であることはわかっています。 でも、私が受け入れてあげなくて、いったい誰が受け入れてあげられるのでしょう。 遺族は常に原因を探します。自分が悪かったと思うことは山のように出てきます。 けれど、最後の瞬間、すべての安全装置が外れてしまった瞬間の心境は、 単なる脳細胞の塊だけじゃ感じ取れないと思います。

これから長いグリーフ・プロセスを経てゆく人たち。

言葉かけはすることはないと思いますが、 文章にすることで、すこしでも助けになればと思い、投稿させていただきました。 以上は私が10数年かけて作り上げた思いです。

高間さん、グリーフ・プロセスの心の変化ゃ、そばにそのような人がいた場合、どんな言葉をかけるのか。 高間さんの言葉をお聞きしたいなと思い投稿させていただきました。

追記:夫の言葉が何一つ残ってないのが不思議です。

あの日あの時、この世の出来事なんてすべてたいしたことないと思ったのに、今は日々の小さい出来事にストレスを感じたりイラっとしたりする自分がいます

【お返事】投稿ありがとうございます。長い時間をかけて、あなたの悲嘆プロセスが進んでいるのだと思います。そのプロセスは、おそらく、あなたが死を迎えるまで続くでしょう。でも、それが亡くなったお子さんとあなたとの愛着(絆)の証ですね。
私がそのような人々にかける言葉はありません。あなたと一緒です。
長いグリーフ・プロセスを経てゆく人々に言葉かけをすることはない
ただそばにいてそのような方々の気持ちをお聴きしているだけです。そのような方々のお気持ちが十分に理解できるかと言えば、そんなことはないでしょう。そんなことはないけれど、一生懸命に静かに聴いています。
あなたの10数年の思いが伝わってきます。あの札幌の出来事(神田さんの自死)が二度と起こらないようにと願いながら、静かな気持ちでいます。ありがとうございました。

■グリーフ(悲嘆)プロセスとは

親密な相手の死に遭遇して深いかなしみに沈みこみ、そこから回復していくまでをグリーフ・プロセスといいます。このプロセスをサポートしていくことをグリーフ・ケアといいます。

これは子どもから大人まで誰にでも起こりうる反応・過程であり、特定の年齢層があるわけではありません。ただ、衝撃の大きさによって、この反応の強弱、つまり立ち直るまでの早さの違いはあります。

治療としては、喪の作業・悲嘆の作業になります。かなしみを幾度も話すことで、かなしみを乗り越えていきます。今回、投稿してくれた方のお話は、悲嘆の作業の始まりから終わりまでを書いていただいています。人と話せなくなってから、人に対して軽い怒りを覚えるまでの10数年が、それです。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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