コロナ病棟手当がないから病院に要望書出した 1 ~現場はどうなってる?~

こんにちは、どこにでもいる平凡な看護師です。

1では実際のコロナ病棟での体験を書いています。

少し長くなってしまいましたが、興味を持って読んでいただけるよう頑張りましたので、お付き合いください。

私が勤めているのは、大阪府にある病院で、コロナ病棟に配属される前は、急性期の内科や外科、回復期など渡り歩いていました。経験年数は10年を越えて数年、役職はありませんが、それなりに色々仕事を任せてもらっています。

20年11月に大阪府よりコロナ病棟開設のお願いがあり、当院も病棟を開設しました。受け入れる患者様は、自宅ホテル療養が困難な軽症者と中等症者が主に、重症も数人います。

「なんだ軽症と中等症がメインなのか。そんなに大変じゃないんじゃない?」

そう思った方、違います。

重症者を看護するのとは、また違った大変さがあります。

自宅・ホテル療養が困難な軽症者とは、主に認知症の高齢者、脳梗塞などで麻痺のある高齢者、身寄りがない高齢者、寝たきりの高齢者、施設でクラスターが発生し受け入れ先がない高齢者・・・

そう、高齢者が多いのです。

認知症があるために他の患者様へご迷惑をおかけしたり、混乱しベッドから転落し骨折する可能性があったり、排泄行為を独りでできないだけでなく、服を脱いで放尿したりすることもあるんです。治療に必要な酸素チューブや点滴を何度も外し、そのたびに直しに行きます。寝たきりの患者様は看護師2人がかりで、身体を拭いたり、褥瘡ができないよう向きを変えたり、ご飯を食べさせたりします。

個人防護服(PPE)を物々しく着込み、汗だくの中、そのような患者様たちの病状管理をしつつ、身の回りのお世話をするのは、心身ともに疲弊していきます。

一方で中等症者も重症者もいるため、その方々の看護・治療行為も並行しています。

中等症の方々の中には、30~60代の方々もおり、仕事への不安や濃厚接触者となったご家族を心配する声を伺います。特に「息苦しさ」や「だるさ(倦怠感)」などの症状がある患者様は、「本当に治るのか?」という不安を強く抱える傾向にあると思います。

この「息苦しさ」「だるさ」という症状はとても厄介なものです。

私のつたない看護師経験から申し上げると、痛みは薬である程度なんとかできます。でも、「息苦しさ」や「だるさ」に効く薬はありません。酸素の濃度を上げても、呼吸法を試しても、苦しいものは苦しい。しんどいものはしんどい。そんなとき看護師はただただ、傍に寄り添うことしかできません。

また「本当に治るのか?」という不安に安易に「治りますよ!」と返すこともできません。何と言葉を添えたらよいのか、とてもとても歯痒い気持ちになります。

症状や精神的な面だけでなく中等症は、病状管理の面でも気が抜けません。小さな病状の変化が重症へ移行する徴候だったりするからです。

コロナでの肺炎は細菌性肺炎と異なり、呼吸音で病状を判断することが難しいと感じています。しかも基礎疾患を有する方が多く、医師に報告する判断が難しいのです。(私の力量不足は否めませんが)。当院では、CT検査は原則入院時のみであり、レントゲンも頻回に撮りません。

他には、看護師自身も感染のリスクを抱えながら従事しています。実際に感染した看護師もいました。欠員の補充はなく「休んでしまってすみません」そんな言葉を言わせてしまうのです。

私自身も、家族に感染させるのが嫌で、家には帰らず月の3分の2以上を病院で過ごしています。

そのような状況の中、看護部長以下、医院長、事務部長からは「コロナ手当はありません」と言われました。

2へ続きます。


21年1月12日、手当が出ることが決まりました。

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