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550円で作るLM13700 Dual VCA-モジュラーシンセ自作

LM13700(実際に用いたのはコンパチブルのNJM13700)を用いて、モジュラーシンセサイザー のDual VCAを自作したので、その備忘録。

背景

自作モジュラーシンセの36作品目。
以前作成したV2164のVCAは、CV入力に対する増幅カーブがexpカーブだった。使いやすいリニアカーブのVCAが欲しくなったので、定番のLM13700を用いたVCAを作成する。

Ray Wilsonの"Make:Analog Synthesizers"という本で紹介されている回路を参考に、電源電圧をEurorack規格の12Vに変更したものだ。

"Make:Analog Synthesizers"は、私がロサンゼルス旅行中に偶然見つけて買ったものだ。私が買ったのは英語版だが、日本でも日本語訳版が販売されている。LM13700の使い方をデータシートより詳しく説明している本なので、アナログ回路でシンセサイザーを作りたい人にはお勧めの一冊だ。

余談だが、ロサンゼルス滞在中には楽器店巡りもした。日本とは違い、店舗が非常に大きいので、シンセサイザーの取り揃えも豊富だ。特にハリウッドにある"guitar center"は圧巻だ、楽器好きには是非お勧めしたい。

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制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 8HPサイズ
電源:25mA 以下( at +12V ) / 25mA以下 ( at -12V )
±12V両電源が必要。
消費電流は正確な測定をしていないが、安定化電源が示していた消費電流から、おおよその値を推測している。

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knob1:CH1 オフセット
knob2:CH2 オフセット
CV1:CH1 CVin (レンジ0-5V)
CV2:CH2 CVin (レンジ0-5V)
IN1: CH1 signal in(-5V~+5Vの使用を想定)
IN2: CH2 signal in(-5V~+5Vの使用を想定)
OUT1:CH1 output (-5V~+5Vの使用を想定)
OUT2:CH2 output (-5V~+5Vの使用を想定)

CH1とCH2は同じ回路、同じ性能である。
オフセットを下げると、音量はゼロになる。
音量の増幅特性はリニアカーブ。
OUTPUTは-5V~+5Vの使用を想定している。それ以上の電圧にも増幅できるが、マイナス側は-9V位でクリップされる。原因は調べてない、-9Vを超えて使用する事なんて無いからね。

単純な信号減衰、信号増幅モジュールとしても使用できる。
DUALなので、ギターペダルのセンドリターンとしても使える。
モジュラーシンセの音声出力はギターと比べて10倍以上あるため、そのままギターペダルに通すと音が割れてしまう。
予め音量を減衰させペダルに通した後、増幅することで、モジュラーシンセでもギターペダルを使う事ができるのだ。

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製作費

総額550円
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NJM13700 120円
パネル 150円
TL074オペアンプ 50円

"LM13700"というタイトルで記事を書いているが、実際に使用したのはコンパチブルのNJM13700だ。回路特性もピン配置もLM13700と同等なので、そのまま置き換えが出来た。NJM13700は秋月電子から購入している。

日本ではLM13700を入手するのは比較的難しいかもしれない。

ハードウェア

本で紹介されていた回路に小変更を加えただけなので、特に書く事もない。
見慣れない回路のため難しそうに見えるが、ICが大部分を占めるため、初心者向けだったりする。いくつかの抵抗とコンデンサとICがあれば、簡単に組立できる。

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