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マンチーニ監督への(仮想)インタビューによるマッチレビュー EURO2020準決勝イタリア対スペイン


さて、EURO2020準決勝イタリア対スペインのマッチレビューをお送りします。

なんと!!今回は特別ゲストとして、この試合で勝利を収めて2年ぶりの決勝に挑むことになったイタリア代表のロベルト・マンチーニ監督に来ていただきました試合の局面と狙いについて質問し、答えてもらいながらマッチレビューしていきたいと思います。



ーーマンチーニ監督、本日はお忙しいところインタビューを受けてくださりありがとうございます。それでは早速ですが、試合を振り返って行こうと思います。

「まあ、決勝まであと4日だから忙しいんだけどね。5分程度の時間なら答えるよ」


スターティングメンバー

ーーありがとうございます。それでは、まずスタメンから。

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ーーイタリアは負傷したスピナッツォーラの代わりにエメルソンが出場していること以外は通常運転ですね。スペインのスタメンを見たとき、どう思いましたか?

「少し驚いた。メンバー表を見た時に純粋なCFがいなかったからね。ただ、相手のスタメンをいじることは不可能だ。どうなるか見てみよう、といった感じだね」

ーー2分40秒の場面で、イタリアは早くもチャンスを迎えます。スペインはダニ・オルモとオヤルサバルが2トップを組んで[4-4-2]気味でのプレスでしたね。中盤でタイトにマンマークされながらも強引につないでいきました。

「CBに運ばせるところからビルドアップをスタートさせたいのだけれど、うまくダニ・オルモに背中でパスコースが消されていた。でも、うちのジョルジーニョを経由してワンタッチパスでCBにボールを渡すことができたよ」


スペインのマンツーマン守備について

ーー今大会のイタリアはボールポゼッションに重きを置いていると言われていますが、ぼくはハイプレスに来た敵をかわす”疑似カウンター”が上手いと思っています。

「なるほど、それは興味深い。たしかにグループステージで流れの中から決めた得点は、相手のプレスを低い位置でかわすところから始まったものが多いね」

ーーでも、この試合ではそういうシーンはほとんどありませんでした。

「CBと中盤3枚に”人”重視でマークしてきたからね。現代サッカーはマンツーマン志向が復興しているとはいえ、あそこまでマンマークに振り切るとは思わなかったんだ」

ーーなるほど。

私たちの攻撃時の可変は、プレー原則と言うよりもパターンと言った方がいいかもしれない。代表では戦術的な落とし込みが難しいからね。いつもインシーニェを内側に入れているから、アスピリクエタを高い位置に押し上げてハイプレスに来たんだろうね。ボール保持を伝統的に極めている彼らだからこそ、逆の立場となる非保持の局面で破壊する術を知っているんだな、と思ったね」

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ーー結局、イタリアはスペインのハイプレスを再現的に攻略できず、ドンナルンマのキック精度の低さも相まって前半22分の時点でポゼッション率は30%でした。

「彼のキック精度はワールドクラスというわけではないからね。だからこそ、GKではなくCBがフリーで持ち上がることを目指しているんだよ。ほら、28分と31分くらいにキエッリーニが中央のスペースに運んでからチャンスになっただろ?おそらくオヤルサバルはキエッリーニに左足で蹴らせないようなポジショニングを取っていたけどね。マンマークで対抗してくる相手には彼のようなドライブできる選手が必要なんだ」


ダニ・オルモの0トップには苦戦していた

ーー前半はスペインが優勢だったように思います。その原因を監督自身はどのように考えていますか?

「やはりダニ・オルモの0トップ起用だろうね。あれは初見殺しなんだ。すぐに対処するのは難しいよ。正直、手を焼いた。アンカーを務めたジョルジーニョの脇で何度か受けられていたね。私たちが得意としている疑似カウンターを数回食らってしまったよ(笑)」


ーー前半に何度か攻め込まれていましたが、なぜ失点には至らなかったのでしょうか?

「んー、詳細な理由はいくつかあれど、一番わかりやすいのは点取り屋の存在だ。いまのスペインにはラウールもビジャもいないんだ。ダニ・オルモ、フェラン・トーレス、オヤルサバルの3人も素晴らしいアタッカーだけど、ストライカーではない。そこが大きな違いになった」

ーー一方、ハイプレスを受けたことによってロングキックが増えたイタリアは、39分にインシーニェがアンカーの位置まで受けに来ていました。

「中盤の3人には出しどころがないから、彼が下がって受けに来るのはそこまで悪いアイディアではないと思う。彼の攻撃時の初期配置はWGというよりIHだから、距離も遠くないからね。何よりも、その時間はまだシュートが0本だった。どんな形からでも打ちに行くことが大事だったよ」

ーー後半に入って、ドンナルンマがボールをキャッチしたところから一気に速攻で点が入りました。

「そう。ドンナルンマの長所が出たシーンだ。彼のスローイングによるディストリビューション能力、それと判断の速さは最高だね。キエーザのシュートも見事だった。完全にスペインのゲームだったから、先制点を取れたことはすごく、すごく重要だったよ」


後半からは守備的な戦い方を選択

ーーリードした直後、インモービレを下げてベラルディを投入。CFに入ったのはインシーニェでしたね。

「ここからは自陣での守備の時間帯が長くなることを考慮した。カウンターに出るときにスペースで受けるのが上手で、リンクマンとして周りを活かせるインシーニェをCFの位置に置いたよ」

ーーそうなのですね。準々決勝までボール保持を基軸とした戦い方を選択されていたと思うのですが、いかがでしょう。

「これはトーナメントで、ましてやユーロときた。ゲームモデルや哲学も重要だが、最優先すべきは勝利だ。カテナチオとまではいかないが、堅牢な守備を敷いた方が勝てる確率が高いと踏んだ。この試合のスペインは、我々と同じようにプレッシングに来た相手守備のスペースを突いて加速する攻撃方法を採用していた。よって、自陣に引いてコンパクトなブロックを作ることにしたよ。相手がやりたいことを消そうとしたんだ

ーー80分の失点シーンについては?

「まず、モラタを中央の重要なスペースでフリーにさせてしまったね。ペッシーナはブスケツへのパスコースを遮断し、ジョルジーニョはペドリをマークしていた。モラタが前半のダニ・オルモと同じ役割をした瞬間だったよ。ここに来てスペインが狙っていたであろう点の取り方をされてしまったね。悔しかった」


ーー後半、そして延長戦でも守備からカウンターを狙う時間帯が多かった印象です。

「国の命運をかけた試合ではDNAが騒ぎ出すのかもしれない。イタリアはカテナチオ、スペインはポゼッション。そして決勝戦で当たるイングランドはキック&ラッシュだ。イタリアもポジショナルなサッカーを導入したけれど、準決勝ではボール保持率は30%だった。それに、試合の終盤ではゲームモデルもクソもないからね(笑)

ーーなるほど。最後に決勝戦への意気込みをお願いします。

「(ウィンクしながら)イタリア代表の復興を皆さんに見せられるよう、全力を尽くすよ」

ーー本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。


※このインタビューはフィクションですが、登場する人物・団体・名称等は、実在のものとは大いに関係があります。


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