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【図解】なぜ、イオングループは儲かるのか?

コストコの記事にも書きましたが、小売業のビジネスは、難しい局面を迎えています。小売業の花形だった総合スーパー(GMS)はコンビニや専門店、AmazonなどECサイトに押され軒並み苦戦しています。

イオンのGMSやSM(スーパーマーケット)も利益率が約0%であり、儲けることはできなくなっています。しかし、イオングループとしては、売上高、営業利益を連続過去最高※を更新しています。

一体、イオングループはどんなビジネスモデルで儲けているのか、ビジネスモデル、戦略を図解してみました。

イオングループの戦略図解

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1.なぜ、顧客に選ばれるのか?(上段)

食材や日用品にお客様は何を求めるのでしょうか。

もちろん安さ、品質を求めますが、毎日のように利用する場所・サービスに関しては、気軽に通える、探す手間がない、必要なものが揃うなど利便性を求めます。

つまり、イオンのGMS、SMでは大量仕入れと割引による低価格販売、好立地な場所、そして通うほど商品がどこに何があるか分かるなど利便性かつ安心感も提供する事で、顧客に選ばれる理由になっています。

さらに、小売業では競合も同じ商品を仕入れが可能であるため、顧客の囲い込みが重要になりますが、イオングループでは顧客がWAONカードやイオンカードに入会することで囲い込みを実現しています。

イオングループのキャッシュレス決済比率はすでに7割(クレジットカード4割、WAON3割)を越えています。日本はキャッシュレス化が低いといいながら7割もあるということは、それだけ日々利用する店の利便性や安心感が、顧客獲得に繋がるということを表しています。(それでいうと、セブンペイは勿体ない)

つまり、GMS・SMをすべての入り口として集客し、他のグループ会社に送客できるかが最重要テーマになります。

2.なぜ、儲かるのか?(中段)

低価格で販売しているので、GMS・SMではほぼ利益は出ていません。

2020年2月期 第3四半期ではGMSは赤字、SMは1%以下で、実際に儲けているのは、総合金融、不動産で利益全体の7割ほどを稼いでいます。

総合金融は、GMS・SMで利便性や満足度を感じた顧客が、イオン銀行やWAON、クレジットカードといった金融系を利用し、その決済手数料等で儲けています
また、イオンモールでは店舗に送客する対価として、テナントからテナント代で儲けています。
つまりGMS・SMの事業では儲けず、金融系を利用する顧客や、モール出展企業から儲けています

これはマージンミックスという考え方で、儲ける商品、儲けない商品を分けて考えています。
この時大事なのが、儲けない商品の役割で、低価格販売することでGMS、SMで集客し、他の事業へ送客する役割になっています。
ちなみにコストコでは魅力的な商品をほぼ原価で出す事(儲けない商品)で会員獲得(儲ける商品)につなげていました。

3.なぜ、勝ち続けるのか?(全体)

儲け続けるためには他社に真似されない仕組みが必要になります。

イオングループでは、GMSが業界一位でありコストリーダーシップ戦略を取り、規模の経済性による他社よりも低価格での仕入れ、自社PBの開発が行うことができます。

また、日常品を取り扱うGMSであるため、利便性がよくなるWAONカードなど金融サービスとの整合性、低価格であるため集まったユーザーを店舗に送客できることも、強みとの整合性があります。

つまり、規模の経済性と儲けのポイント、そして他社との違いがリンクしており、他社には真似できない仕組みを構築しています。

まとめ

イオンはグループ全体で儲かるビジネスモデルを構築しています。
規模の経済性を活かして、GMS、SMで顧客を集め、シナジーが生まれるグループ企業で利益を創出するモデルであるため、日本国内では他社が真似するのはなかなか難しそうです。

今後も儲け続けているためには、どんな課題があるのでしょうか。
・GMS・SMが低価格といえど、コストコほど安さを感じず、イトーヨーカドーとも遜色がない感じがします(個人的意見)。
他事業で稼げるなら、GMS・SMは集客、送客の役割を明確にし、商品・販売方法の工夫が面白いのではないでしょうか。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
分かりづらい点、間違いがある部分があるかと思います。何かお気づきの点がありましたらお知らせください。

参考

イオン/3~5月は、売上・営業利益共に過去最高に
イオンがVisaのタッチ決済導入へ--2020年までにキャッシュレス比率8割を目指す
イオン、スーパー事業の利益「ほぼゼロ」が意味する深刻さ
最高益が続くイオン!コンビニに勝つビジネスモデルを完成?
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2020年2月期 決算説明会資料

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