見出し画像

【図解】なぜ、玉子屋は儲かるのか?

日替わり弁当で70億円を売り上げる日本一の弁当屋と言われる玉子屋。

1日約6万食を配達し、安く美味しいうえ、廃棄率0.1%でほぼ捨てていない。そして、その素晴らしいビジネスモデルがスタンフォード大学MBAの教材にも取り上げられているほど。

一体、玉子屋はどんなビジネスモデルで儲け続けているのか、ビジネスモデル、戦略を図解してみました。

玉子屋の戦略図解

玉子屋の戦略図解

1.なぜ、顧客に選ばれるのか?(上段)

都内のオフィスで働くビジネスパーソンは、ランチに何を求めるのでしょうか。

マクロミル調べ※では、“時間とお金をかけたくない”派が多く、その結果1位「コンビニや弁当店」(50%)、2位「弁当持参」(43%)、3位「外食」(37%)となっています。

忙しいビジネスパーソンにとってはランチとは、ゆっくり美味しいものを食べるよりも、①時間短く②値段は安く③美味しさが優先順になっています。

これら三つを満たす事で、顧客に選ばれるわけですが、これら三つは競合も当然のように努力しています。では玉子屋ではどうしているかというと、下記のような内容で他社との違いを出しています。
手間なし:当日注文、当日配送(個人でネットでも注文可)
安い:470円(コンビニ弁当の平均557円より安い)
美味しい:50%原価でこだわりの食材(業界の平均原価は約30%)。原価率50%は驚異的であり、それだけ食材に拘っている事が分かります。

これ以外にも、毎日注文をしてもらうための工夫として下記の二つが他社と大きく異なります。
飽きない:日替わり弁当1日1種類のみにして多品目。2ヵ月同じメニュー並ばない。
都心中心に絞る:効率性重視のために、都内だけに絞る(最近は神奈川県もエリアになっていますが)

これらの違いにより忙しいビジネスパーソンに対して、安くて美味しい日替わり宅配弁当は玉子屋だというポジショニンを確立し、顧客に選ばれて拡大しています。

2.なぜ、儲かるのか?(中段)

弁当給食業界の営業利益率は平均0.1%、その中で玉子屋は5%代のトップをキープしています。

なぜ、玉子屋だけがこれほど利益がでるのでしょうか。

規模の経済を活かした大量仕入れだけでなく、一番の理由は廃棄率0.1%にあります。
廃棄率が少ないという事は、裏を返せば、作った分だけ売上になるという事です。これは製造業の非常に重要なポイントです。

不良在庫になる可能性があるからこそ、製造を抑制します。在庫になる心配なれければ、作りまくったらいいわけなので。
しかし生産数を抑制すれば、本来だったらもっと売れるはずの、チャンスロスが発生して、儲けのチャンスを逃してしまう。製造業はこのジレンマとの闘いです

そして、特にこの弁当給食業界では不良在庫はそのまま廃棄になるので、容易に原価率を高める事はできず、生産数を絞る選択になります。
玉子屋は、廃棄率0.1%の仕組みができたからこそ、生産数を伸ばし続ける事ができ、儲け続けています

3.なぜ、勝ち続けるのか?(全体)

では、玉子屋はどうやって他社との差や廃棄率0.1%を実現しているのでしょうか。

上記で記載した通り、弁当給食業界において、作った弁当が売れないという事は、材料などコストだけ赤字になり、大量に生産する事に躊躇します。
作ったものが売れるからこそ、大量生産が可能になります。

そのために玉子屋がとった戦略が日替わり弁当1日1種類、予測精度を上げて廃棄率ゼロを追及することです。
通常の企業では、好みの違う複数の種類の弁当出して、出来る限りチャンスロスが少なく、廃棄ロスがでない数を生産しています。

しかし、複数種類を作ると、仕入れの効率化、配送の連携、作る作業の効率化ができなくなります。一種類であれば、それら全て効率化されます。もちろん、その一種類が美味しくなければ、逆に売れ残りは増えるので、いかにリピート率を高め、予測精度を上げるかが重要になります。

そのリピート率、予測精度を上げるために、玉子屋では他社が通常やらない容器の回収を行っています。本来、使い捨てにした方が、回収や手入れコストなど踏まえると、容器の回収は一見無駄に思えます。

それでも、なぜ容器の回収をするのかというと、食べ残りのチェックをしているからです。
食べ残りから声なき顧客の声として、どのおかずが良い悪いの評価でき、次の日の予測やメニューの改善に繋げています。

セブンなどのPOSでも、さすがに食べ残りチェックはできないので、この容器回収による声なき顧客の声を集めている事はこのビジネスの強みを強化する上で非常に重要なポイントになります。

まとめ

玉子屋では、①メニュー1種類に特化②容器の回収と改善がこのビジネスの成長に最重要な点であり、それを実現させるための成功要因(KSFと呼びます)を追求することで、原価や廃棄率の低減、配送の効率化など他社が追随できない強みを持ち、それがさらに顧客価値を高める事に繋がっています。

そして、顧客価値を高めれば高めるほど、お客様は増え、それにより利益も強みも増加して、さらに差が明確になる素晴らしいビジネスモデルです。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
分かりづらい点、間違いがある部分があるかと思います。何かお気づきの点がありましたらお知らせください。

参考

利益追求をやめることによる成長モデル
年商70億円の弁当屋「玉子屋」廃棄率0.1%のヒミツ
廃棄率は0.1%...世界が驚いた東京大田区のお弁当屋、「玉子屋」の次の一手とは
ランチの実態は?求めることは何?都心で働く男女のランチ事情を調査(マクロミル調べ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?