「愛」とは何か考えたことはあるだろうか。
「好き」という言葉が存在しているにもかかわらず、「愛」という言葉がという言葉が存在しているのはなんらかの違いがあるのだろう。
カレーが好きだとか、この音楽が好きだとか言うが、これが「愛」だとは言い難い。
ということは、生き物に対して使う言葉だろうと考える。
他人の好意や仕草、容姿に惹かれて人を好きになることはある。だが、どこまでいくとそれが「好き」から「愛」に変わるのかが分からない。
私には、体の弱い母がいる。体の調子が良い時は、沢山話し、沢山笑っている。私はその笑顔がとても好きだった。
しばらくして、母の体調が優れず寝たきりの状態になった。かかりつけの医者に長くて1ヶ月だろうと言われた。私はそれを聞いて頭の中が真っ白になった。まだ、まとまりのついていない頭でやるべき事を考えた。また、沢山話したい。あの笑顔をもう一度見たい。幸せを感じてもらいたい。私は、四六時中そればかりを考えていた。
それから毎日のように母に会いに行き、母の好きだったテレビの話や、その日の出来事をおもしろおかしく話したりして母を元気づけていた。
母は笑っていた。それだけで私は幸せだった。
しかし間もなくして母は天国へと旅立った。
私は片時も忘れることなく、母の幸せを考えていた。
そして、仏壇に花を添えてお参りをしている時に私は気づいた。
これが「愛」だったんだと。

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