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太陽光発電と東日本大震災

一期目が無事に、初年度から黒字に終わると思って浮かれてた3月9日。

溜池山王の築30年のビルが嘘のように揺れました。外を見てみると自分達のビルを指さして慌てている二人組を発見。これはもしかして倒壊するかもしれないと慌てて皆で外に出ようとしている最中も、階段の内壁がポロポロと落ちてきます。

その日、その後ほとんどの時間タリーズにいました。当時は八王子市に住んでいたため当然のことながら帰ることなどできず、赤坂の深夜もやってるマッサージ屋さんに泊まりました。

これは会社も終わってしまったなーとぼんやり思っていましたが、段々状況がわかってくるにつれ、あれ?太陽光発電システムって全然地震では壊れたりしないんだ!ということがわかってきて、経営的な被害は驚くほどありませんでした。
※家が壊れてしまった場合は屋根上に無傷の太陽光パネルが残ります。いま会社のエントランスに飾ってあるパネルは、この時に倒壊してしまった取引先のご実家のパネルを1枚買い取ったものです。

当時わざわざ東京にいる私たちのことを心配して連絡してきてくれた企業さん達をホワイトボードに書き出して優しいぞリストを作っていたのも懐かしい思い出です。

2期目に入った4月から震災の影響で太陽光発電の問い合わせは驚くほど増えました。前年の4月はまだ事業をスタートしていませんので季節変動も何も予測がつきません。1期目を黒字で終えて調子にも乗っていました。

追い風が吹いてきたぜー!と浮かれまくっていました。

ネットで集客しているため、ネット広告をクリックされた時点でGoogleやYahoo!に支払う広告費が発生します。

そして私たちの事業は、ただ問い合わせ件数が増えるだけではだめで、それらがしっかりと購入に至る質の良いユーザーであることが必要です。

あれ?今めちゃくちゃクリックしているこのユーザーさん達って、もしかして震災で急に興味を持ってみたものの、実際に購入に至る人たちではないのでは?と異変に気付くのに2か月半かかりました。

浮かれていました。気づいた時には数百万円の赤字を垂れ流していました。

今10年前に戻ることができたら、あの追い風をうまく事業の成長に結びつけることができると思います。しかし当時の自分達にはあれは追い風ではなく単なる強風でした。

調子に乗った2期目のスタート早々に、不意の追い風によって盛大に前のめりに倒されました。


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