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【歌詞解釈①】 BUMP OF CHICKEN 『ray』

あなたとお別れしてからまだこれだけしか時間が経っていないんだな。
あんなにも胸が張り裂けそうなほど辛くて、痛くて、「この悲しみは一生消えないだろう。」とすら思っていたけど、今はどこか懐かしくさえ感じて、日常の何気ない時間でふと思い出すくらいになってしまったな。
あの日から「もう一度会いたい。」なんて叶わぬ願望は無理やり心の奥底に押し込んで、忘れるように毎日を必死に生きてきたんだ。

あなたといた時は目の前に鮮やかな世界が広がっていたよ。
でも一人になった今、それは透明になって消えてしまった。
二人だったからこそ色づいて見えていたんだね。
それは無くなってしまったって分かっていても、今でもまだ何気なく探してしまうんだ。

とても辛くて何も手につかなかったけど、歌うことはやめられなかった。
それがたとえ悲しみを紛らわすためのものであったとしても、やっぱり僕は歌が好きなんだな。
あなたといたときも口ずさんでいたような、その時その時だけの不格好なオリジナルソングだけどね。

悲しかったけど寂しくはなかったよ。
ちゃんとお別れすることが出来たから。

"あなた"という大きな存在を失って、何のために生きたらいいのかわからなくなった。
でもまた立ち上がって、いざあなたのいない人生をゆっくり歩き始めてみたらさ、「何のために?」とか、「どれだけやればいい?」とか、「何が正解で何が間違ってるのか?」とか、そんな事いちいち立ち止まって考えてられないほど日々は目まぐるしく過ぎていったよ。

自分の中にある闇は消えずとも、あの頃色々考えたことが苦しくても、他人に分かってもらう必要なんかない。誤魔化して笑ってりゃ大丈夫だ。
他でもない僕自身が誰よりもその痛みをわかっているんだから。
楽しんで生きても自分の過去はちゃんと自分の中にあるから消えないし、あの頃の自分自身を否定することにもならないんだ。

思い描く綺麗な理想の一本道はいつも現実が捻じ曲げていく。
でも忙しい日常の中でふと振り返ってみたときに、不格好に曲がりくねった道を思い出たちが綺麗にライトアップしてくれている。

お別れする事に意味や意図なんてあるんだろうか。
綺麗な理想を思い描くからこそ、叶わないという現実に目の前が暗くなる。
でも影が前に伸びているということはまだ道は続いているんだな。

あれから普通に生活しているよ。
風邪をひいたり、忙しい日々の中でもゆっくり出来るときはしたりね。
まだ時々夢に出てくるほど無意識に君が息づいている。
まぁ夢でも君とまた会えたんだからよかったな。
さぁ、余韻に浸るのはこれくらいにしてまた歩き出すとするか。

暗雲が立ち込める絶望的な状況でも、君との生活を思いだすと楽しかった思い出が一気に銀河みたいに広がっていく。

この先どんどん大人になっていっても、どれだけ時間が経とうとも、
あの時感じた痛みが消え去って、悩んだ自分が無いことになることにはならない。
大丈夫、ちゃんとあの苦しみもずっと僕の中で生きている。

あなたにも僕にも、別れ際に伝えたかったことがきっと沢山あったんだろうな。
まぁ僕たちのことだから、笑っちゃうほど他愛もない話なんだろうけどね。
だからもうこれは伝えたい事なんかじゃなくて、「もう一度会いたい」というただの僕のわがままなんだろう。
お互いに笑いあえる最後で良かったよ。
思い出は綺麗なまま置いといて前に進んでいこう。

いまならなんとなくお別れする事の意味が分かった気がするよ。
あなたと出会って笑いあって、お別れして傷ついたから成長しなきゃと思えた。
だからこそ今までは話さなかったであろう人たちと話してみようって思えたし、こうしていろんな人と関わりを持ててる自分がいる。
あなたと見ていた鮮やかな世界は透明になってしまって、消えて無くなったと思ってたけどそうじゃなかった。見えていないだけで、いつだってそこにあるんだね。
これからも誰かと出会う度に、また彗星が出現するんだ。

綺麗な彗星ばかり探して生きるのはもうやめよう。
自分の生きたいように、自由に精一杯生きてれば彗星の方が僕を探してくれるだろう。
例えそれが現実に曲げられたいびつな彗星でも、大きくても小さくても、どんな色でも。
僕が美しいと思えば周りの評価なんてどうでもいい。
人生を咲いながら、気楽に、わがままに生きていこう!

大人になってなかなか本音が言えなくなってもいい。
いろんな経験をして簡単に語れないほど複雑な思いを抱えたままでいい。
大丈夫、忘れててもふとした時に思い出してあの時の自分を愛おしく思えるから。

僕はもうきっと大丈夫。
この先の人生、楽しいことが沢山待ってるって思えるよ。
僕がそう思えるように、生きれるように変われたのはあなたと出会えたおかげなんだ。

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