見出し画像

コミックバンド「四星球」(スーシンチュウ)に見る顧客視点と人を動かす力

パンデミック前、自分のブログに行ってきたライブやフェスの感想や情報をアップしていたのだが、ここ2年近くの「不謹慎」ムードに配慮して、ライブには行けていなかった。

というのは嘘で。

行かなかったらそれはそれで病気になるので行きます(断言)

最近はひそかにライブに行っている。
主催者の方も試行錯誤していて、その結果感染症対策は各種装備され日々バージョンアップしている。

だけど、以前のように「行ってきたよ!楽しかったよ!」とネットに書けない。今日も黙っていようと思っていた。

だけど、「すげぇな」と思ってどうしても書きたい事ができてしまった。

*************

コミックバンド「四星球」(スーシンチュウ)のライブを久しぶりに観たのだ。(京都のポルノ超特急、というロックフェスの2日目に行ってきた)

※四星球とは
http://su-xing-cyu.com/profile/

ボーカルの北島康雄氏の、MCでのお客さんの気持ちへの洞察力がすごい。
そして、コミックバンドとして今この場で何をすべきか、チームですごく考えているのでは、と思わされた。

つまり

「観客を笑わせる」

ストレスの多いご時世に、これが彼らの使命だと完全に理解している。

自分たちをカッコよく見せようとか、多分全く考えてない。
衣装は、サンタクロースの恰好か、全身タイツか、着ぐるみか、パンツ(?)か、である。

たぶん限られた予算の中、バンドメンバー手作りの段ボールアートで音楽にのせて小ネタ大ネタを繰り出す。後ろの方の遠くの観客にも楽しんでもらえるように、振りつけなどをわかりやすく促す。


ライブ前のリハーサルの段階から、顧客視点がすごい。

「どう?最近のライブ、都合上1ステージでやったりとかしてて、バンドとバンドの間の待ち時間暇でしょ?暇だって人手上げて?」

正直言えば暇である。(私はKindleで本を読んで過ごしている)
…しかしそれを気にしてくれるバンドなぞ稀では?

その後、リハーサルの持ち時間を目いっぱい使って、観客を盛り上げる曲を奏で、小ネタをはさみ、笑いをとる。コミックバンドだからできる技なのかもしれない。

(音楽を追求するタイプのバンドは、音の調整など本当のリハーサルをしたいはずだ)

…イケメンアイドルでも何でもない彼らの工夫に満ちたライブは、ソーシャルディスタンスを保ちつつも、たくさんの若い観客(10代~20代)を熱狂させている。声を出させずに楽しませ踊り狂わせるのである。

この年代にこれだけ説得力のある30代(ただしイケメン俳優などを除く)がほかにいるだろうか。

で、コミックバンドで重要となるトークについては
「音響とか大丈夫?ちゃんと話してる事聞こえてる?」
と観客に確認してくれるのである。

更に他の出演バンド(主催バンド)の事も考えており
「ロットングラフティーの〇〇さんは実は〇〇!」
などと音楽にのせていじる。
笑いもとりつつ、観客に情報を与えたり、より興味を持ってもらっている。

最も感心してしまったのは、ものすごく盛り上がっているライブの合間に
「この光景を見せたい人がいる。あ、『光景』って言ってごめんね」

と言った事で、ライブの「光景」が人でできている、主にはお客さんでできている、そして風景みたいに言われたお客さんはちょっと「ん?」って思うんではないかという事をすごく理解しているのだな、と感じた事だ。

ステージ上でやんちゃしつつも、自分たちのライブ終了後は、運営スタッフさんたちに「あー、すみません、本当にありがとうございましたー」とペコペコ頭を下げて帰って行った。

…なんかすごくないか???

****************

日夜職場や顧客との人間関係にもまれているサラリーマンでも、ここまで洞察力のある人は少ないのではないだろうか?

ビジネスマンで、他人を惹きつけるプレゼンスキルや、トークスキルに磨きをかけたり、20代に言葉が届くようにするにはどうすればよいか、ヒントを求めている人は一度、四星球のライブに行って、彼らのする事や、観客の反応を見てみると何かつかめるように思う。


彼らなら新興宗教のグルにでもなれるかもしれない。

**************

私の知る限り、他に類似した能力で並ぶ者としては、サンボマスターのボーカル山口隆氏がいる。

(ちなみに今回この「ポルノ超特急」には出演していない)

自己肯定感がものすごく下がってきたなと感じたら、サンボマスターのライブに行こうと決めている。

フェス会場でライブを聴いた限りでは、生きているだけで褒めてもらえる。
そんな場所なかなか無いのだが、

こんな大変で面倒臭い世界で何とか生きているのだから、日頃からもうちょっと誰かに褒めてもらえてもよいのでは、と個人的に思っている。

データを取った人は誰もいないと思うのだが、
ロックバンドはライブをやってMCで話して、今日もだれかの命をつないでいる、と推測している。ものすごい努力と工夫で場を作ってくれている人たちも含めて、ありがとう。


見つけていただきありがとうございます。サポートいただいた分は、また新たな面白い経験をするのに使い、文章でシェアさせていただきますね。