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DAY12,フライト最終日

苦渋の決断

この日はオレンジとレッドチームが最終フライトで、フェスティバルとしても最後のフライトになるはずでした。
前日から寒気が入っており、風も若干強めの予報ですが、飛べなくはない予報。

前日のこともあり、早朝のバスが予定通り動くか心配されましたが、出発直前にエンストしたくらいで、ドライバーはちゃんと働いてくれました。

前日の記事はこちら

実施判断が気になるブリーフィングですが、
「以前のフライトで私有地や禁止区域に下りてしまった問題があったが、これらは気球にとってよくあることであり、仕方のないことだと理解している。
ただ、今日の風は市街地に向かって飛ぶ風であり、多くの気球が私有地に下りてしまう可能性がある。
フェスティバルでの問題を増やさずリスクを少なくするためにも、今日のフライトはキャンセルすることにしました。今日飛ぶはずだったチームは満タンのガスシリンダーがあると思うが、ランチサイトで燃焼しきって、パッキングを進めてほしい。
今日が最後になるが、大会に参加してくれてありがとう」

と、残念ながらキャンセル判断。

なんとも最終フライトが全チームキャンセルで、あっけなく終了となってしまいました。
まぁこれはよくあることだし、しょうがないこと。
それでも運営側にとって、苦渋の決断だったと思います。

振返ると宿泊施設の未完成から、移動の手配、夕方の係留やギネス挑戦での厳しいスケジューリング等、トラブルが多々あったため、運営側もフライトによるリスクをできるだけ最小限にし、今後の片づけや輸送を滞りなく終わらせたいという思いもあったかもしれません。未開の地で、100機を飛ばす運営をする難しさを感じました。

その後は昨日と同じようにランチサイトで残ガスを燃焼させていきます。

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まだ月が出ている寒い中での作業でしたが、炎を焚き始めると一気に熱くなりました。この大会にはCameron、Ultramagic、Kubicek、Lindstland、Schroederなど各メーカーのバーナーを見比べることができましたが、やはりメーカーによって一長一短だなと感じることができました。その辺りはまた別の場所で解説したいと思います。

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日本チームはその後スムーズにパッキング作業を行い、早い段階で終わらせることができました。

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パッキング後はブランチをとってキャンプに戻りましたが、この日はキャンプ近くにあるマラヤホールというコンサート会場を見学することに。

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後々知ったのですが、このホールはなんと

「世界で最も大きい全面ガラス張りの建造物」としてギネスにも乗っているホールだそうでした。

舞台裏は巨大な両開きの扉になっており、天候によって開閉するのだとか。
日本チーム数名で歩いて見学に行ったところ、たまたま関係者が声をかけてくれて中を案内してくれることに!

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内部の観客席は一つ一つソファになっており、オペラやクラシック、ロックアーティストのコンサートも開かれる予定だそう。

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エントランスはレストランやVIPラウンジがあり、とても高級感があるつくりになっていました。

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フェスティバル序盤には、こちらのホールでコンサートを見学する予定だったのですが、ドレスコードを指定されており結果的に鑑賞はできませんでした。その理由も納得の高級感ある内装でした。

そして何より驚いたのが、エントランスホール横には草間彌生の作品が設置されており、その内部まで案内してくれました。

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1度に2~3人しか入れない広さの全面鏡張り個室に、光のボールがいくつもつるされ、永遠に広がる異空間になっていました。

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しかもふらっと立ち寄っただけの私たちを中に案内してくれた関係者の方に本当に感謝です。

その場を後にして、この日は夕食までゆっくり過ごし1日が終わりました。

最後の晩餐

この日を最後に、ヨーロッパ組バルーンキャンプを出発してMadina空港に向かいます。
日本組は翌朝に出発する予定でした。

しかしまだ最後まで何があるのかわからないのがサウジアラビア。

晩餐中に主催者のダンから

本来いるはずのバスが来なくて、明日日本組をマディーナまで送迎するバスが来るかわからない。いま確認して調整しているから少し待ってくれ。さらに言うと、ここから君たちのキャンプまでのバスも来るかわからない状態だ」

と真剣な顔で言われてしまいました。
また?と思いつつ、これを聞いた日本チームは皆さん

「予想通りだね~」と、

これにはもう笑うしかありませんでした。

ヨーロッパ組を見送った後は、日本チームと数名のみが食堂で静かに過ごし、バスを待ちます。

さすがに最後の夜くらいベッドで寝たいと思っていたところ、ようやくバスが出ると案内されました。

まだまだ何があるかわからないサウジアラビア。
日本に着くまで安心はできません。

続く

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