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息子の運動会

息子は極度の心配性で慎重派な性格だ。初めてのことに対してはとにかく心配と不安でいっぱいになってしまう。

5月、初めての幼稚園は大号泣で始まり、数週間は毎日幼稚園の玄関で泣きわめいた。入園して半年が経とうとしている今でも声は小さくなったが、朝はしくしくと泣く日がほとんど。たまに泣かない日には担任ではない先生からも「あら、今日はニコニコさん😊」と声をかけられる程、幼稚園中の先生から泣き虫認定されている😅

給食で初めて食べるメニューが出れば泣き、折り紙で初めてのものに挑戦しようとすれば泣き、初めてのお絵描きでも泣き…。とにかく幼稚園での色んなシチュエーションで「できるか分からない」と心配し泣いているようだ。

そんな息子の初めての運動会。先生によるとかけっこの練習でも泣いていたらしい。本番はみんなと一緒に走れるかな。スタートラインで固まるのか?それともギャン泣きでボイコットするのか?などなど、こちらもそれなりの覚悟で応援に参加することにした。

朝は保護者と一緒に登園する。いつもは車で登園しているが、今日は徒歩。それに、いつもいないはずのお父さんまで付いてくる。いつもと違う朝にまた心配になったのか、玄関を出る前からギャン泣きが始まった。

(やっぱり無理か…??)

そう思いながらも、息子をなだめながら家を出る。

「ハトさんがいるねぇ。頑張ってって応援してるのかなぁ。」「お天気がよくてよかったねぇ。」「あ、電車来たよ!見てみて!」色んなところに気を反らせながら必死に連れていく。

幼稚園に着く頃にはタオルが涙でびっしょり濡れていた。先生の顔を見るとまた涙がポロポロ。

そしていざ始まった運動会。今年はコロナの影響で学年別のミニミニ運動会。他の学年の競技を応援することもなく、年少さんだけのかけっこ、親子ダンスのみのプログラムだった。

園長先生の挨拶が終わるとすぐにかけっこが始まる。

スタートラインまでは保護者と一緒だったので(私の手を片時も離しはしなかったが)少し安心したのか涙は止まっていた。

お友達の出番が4回終われば息子達のグループの出番だった。出番が来たらスタートラインに子どもを残し、親はゴールラインに移動して子どもを迎えるスタイルだった。

(私がゴールラインへ行く時に泣くのかな…?大丈夫かな?)

息子の出番がくるのが少し怖くもあった。誰一人泣いている子もいないし、走らない子もいなかったから。

そして、息子の出番がやってくる。私は息子の手を離し、「ゴールで待ってるからね。お母さんのところに走ってきてね。ゴールしたらぎゅうしようね。」と伝えてゴールラインへ。年少さんのかけっこはほんの25メートルほど。スタートライン、ゴールラインと言っても目と鼻の先だ。

私がゴールラインに着いても息子は泣いていなかった。先生が一人ひとり名前を呼ぶ。自分の名前が呼ばれる時に少し手を上げた。(みんなきをつけなのに、一人手をあげてかわいい。)

先生が「きをつけ!」の掛け声をかける。息子がみんなと一緒にビシッときをつけをした。

(あぁ、みんなと一緒にできるのね😢)

「よーい、ドンっ!」

息子が私の顔を見ながらニコニコして走ってくる。走るというよりスキップみたいだったけれど。 その短い短い25メートルの走りを目に焼き付ける。ほんの数秒の間で目の前が涙で滲んだ。

目の奥がジーンとして涙が溢れそうになった瞬間に息子が私の胸に飛び込んできた。

ギューッ。

力いっぱい息子を抱きしめる。頑張ったね。できたね。走れたね。成長したんだね。たくさんの感情が込み上げてたまらなかった。

ほんの数秒の出来事に息子の成長を感じた。人と比べる必要はない。私の息子は1人で走れた。それが成長の証。

先生からもらったピカピカの金メダルを嬉しそうに、とても満足した様子で息子が言った。

「また運動会したいね?」

来年の運動会は泣かずに行けるかな? 30分のミニミニ運動会がまた彼の自信に繋がったみたいだ。

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