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SOKUJITSU Vol.6「映えなかった回顧展 -インスタ5年史-」獅子倉ゆきの×高木 望

獅子倉ゆきのは、大学の入学オリエンテーションで、たまたま席が隣だった。入学前後にそんな感じで知り合った同級生の中では珍しく(というかほぼ唯一)、今尚交友関係が続いている、貴重な学部の女友達である。

今まで色んなことを一緒にやってもらった。例えば居酒屋の個室に集まって、乾杯の発声から会計までを全部Skypeチャットでやりとりする「Skype飲み」を一緒に遂行してもらったり、川沿いでのスイカ割りに付き合ってもらったり、等々。
本人も本人で「ファミチキになる鶏の末路」をプロジェクションマッピングしたり、都内のモグラを全力で探し回ったり等々、奇行というか、面白いアイディアに驚かされることが多かった。だから、ちょっとアホらしい企画にも誘いやすかった。何より、本人の「奇行っぷり」はとんでもなく居心地が良かった。

「獅子倉の心地良い奇行っぷりをどうすれば表現できるだろう」。そう考えた末、今回はTHETAを使って、最も(※)小さいヴァーチャル個展を開催することになった。(※当社比)

まずは、企画会議からご覧いただきたい。

【企画会議】

高木:普段は相手と会話をしながら企画を作っていくんだけど、既にかなり企画を練ってきてくれたと聞いた。

獅子倉:バックナンバーを見せてもらったんだけど、他の人たちに比べると、私自身にコンテンツやテーマが無いんだよね。そもそも共通のコミュニティや共通の友人も少ない中で、誰もが面白いと思えるコンテンツを作る、というのも難しいなと思ったの。
ただ面白いものは作りたいのは確かだから、コンテンツ力で勝負するか、メディアとしての見せ方を変えるかの、どっちかに振り切った企画を考えてみました。

高木:ほう。それぞれ具体的にはどういったことを考えてる?

獅子倉:例えばコンテンツ勝負なモノでいうと、アラサーに入る前に、久々にバカなことをしたいな、と。

高木:よくやってたもんね。川沿いにスイカ割りしに行ったりとか、パイナップルにテキーラ刺し込んだりとか。

獅子倉:そうそう。あと「見せ方を面白くさせる」というところだと、私が一時期やってた「THETA日記(※参照)」を復活させるのとかもやりたいんだ。ただ、どういう情報を発信したいかはまだ詰めきれてないから、のんちゃんと一緒に中身を考えたい。

※THETA日記(文章を書いたプリント用紙を部屋中に貼り付け、THETAで撮影する日記。360度回転することで日記を読むことができる)

高木:Facebookで見たことある! なんでTHETAを使って日記を付けようと思ったの?

獅子倉:自分の「メディアとは?」って考えに一番マッチするハードウェアだったんだよね。メディアって自分の周りの情報をぐるぐる色んな場所へ回りながら受け取るものだと思ってて、「回」と「周」っていう二つの漢字を使うんだよね。それを具体的に表すのがTHETAの360度撮影なんじゃないかと。THETAで360度見渡しながら、情報をキャッチしてく感じ。

しかもTHETAの良いところは、内容がそこまで面白くなくても、見せ方自体が面白いから結果的に楽しめるところ。とはいえTHETAを通して伝える内容は妥協したくないって感じ。

「ゴミ箱時代」から昇華する過程を展示パネルで表現したい

高木:うーん、ゆきのさん自身が大学でメディアアートを研究してきた人だから、そのアウトプットについて触れるようなものを作ってみたい。ゆきのさんの実績とか考え方の変化を上手く表せたら最高。

そういえば打ち合わせ場所に行く前にゆきのさんのSNSを色々チェックしてたんだけど、最初インスタをやってた頃ってゴミ箱の写真ばっかアップしてたりしたよね。ただ、最近のインスタは結構彼氏の写真とスイーツ系の投稿が多く……。(笑) なんとなく、発信する内容・手段含め根本的な考え方から変わったような気がしたんだけど、どう思う?

獅子倉:最初は人に見せることを考えずに投稿してたんだよね。2014年の最初の頃に、どこにどういった形のゴミ箱があるかを記録しようとして撮り始めたんだけど、その頃は位置情報に関する情報を発信するSNSがインスタくらいしか思いつかなかった。コレクションの箱として、自分が撮ったものが地図上にピンで止まっていくのが面白かったなあと。

高木:なんで「ゴミ箱」っていう素材を選んだかもあとで聞きたい。それでその後、だんだんゼミの友達の写真が多くなってきたと。

獅子倉:そう。そこからジュラ紀、白亜紀みたいな感じで各タームに名前が付けられそうなくらいにはコロコロ変わってくんだよね。ゴミ箱時代のあとは大学に知り合いが増えて、情報発信媒体が一旦Facebookに移行したりした。でもその後またインスタを再開して今に至る、って感じ。ちょうど再開したタイミングも、人に見られることや「映え」を意識し始めた頃だったな。特に最近だと会社の人もインスタをフォローしたりしているから、自分が撮りたいものや投稿すべきものを、「見る人」の視点に立った上で投稿したりしてる。

↑直近の獅子倉の作品(?)「静岡県が金魚っぽいから泳がせた」。今回パネルでも展示している。

高木:ゴミ箱時代よりも「発信する」って意識が強くなったんだね。

なんかそういうのを踏まえると、インスタの使い方の変遷を基準にして、ゆきのさんの小史みたいなモノをまとめられそう。それに加えて、ゆきのが今までやってきたメディアアートの流れとか変遷も、紹介できるようにしたい。例えば美術館にある章立ての解説パネルみたいなもので表現できたりしないかな。パネルの向こう側に、実際にその時期に作った作品を載せたりして。

獅子倉:それありだね。インスタの投稿とアウトプットしていった作品で、共通する変化とかが分析できたら面白くなりそう。

高木:床とか天井にも美術展っぽい工夫を作りたい。「順路」とか書いたりして。


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