【海外フェムテックニュース】ヨーロッパFemtechの資金調達遅れの実態

この記事はヨーロッパの事情を掘り下げたものですが、きっと日本のフェムテック関係者にも参考になるニュースだと思い、翻訳して見ました✨

Femtech、盛り上がりを見せるも資金調達に遅れあり
著:Chloe Kent @Medical Device Network
2021年7月26日


2020年は、多くのヨーロッパ系ベンチャー企業にとっていい年だった。
ヨーロッパにおけるベンチャー企業への投資額は14.8%も上がり、€42.8bnに達した。
一方で、デジタルヘルス、フェムテックへの資金調達の動きは減少傾向にあった。

米コンサル兼リサーチ会社のFrost & Sullivanでヘルスケアセクターを担当している Reenita Dasは「フェムテックへの投資活動のピークは2018年だった。フェムテック投資は、デジタルヘルス投資の6.6%を占めていた。それに対し、去年はわずか1.8%だった」と話す。

コロナパンデミックもその減少の一因ではある。しかし、この大幅な減少には他にも理由がある。ベンチャーキャピタリストの大半が未だに男性であることが大きな要因でもある。フェムテックが展開するサービスにいまいちピンと来ていないのであろう。

Private Equity News (2021配信)によると、甲状腺疾患である橋本病を患っている人のために作られたアプリ「Hashiona」の設立者であるEva Galantが投資家らに資金調達を募るピッチをした際にも苦戦したという。橋本病は男性よりも女性が患う可能性が4−10倍もあるとされている。男性投資家らには尚更馴染みのない病であるからこそ、理解を得るためにEvaは橋本病を恒常的な二日酔いに例える必要がった。

このように、フェムテック企業の人たちによる工夫がないと、投資家の注目を集めにくい。

フェムテックに資金がなかなか集まらない理由として、有識者は他にも挙げている点がある。それは、投資家らが好む傾向にある起業家に偏りがある、という点だ。

フェムテック企業の立ち上げ支援をしている 「Femtech Labs」の設立者 Karina Vazirovaは「ユニコーン企業の起業家の中でも好まれるステレオタイプがある。投資家ら本人たちはなかなか認めないであろうけれど、その典型例は自信あふれる男性起業家だ。彼らは、スーパーエグジットと爆速の成長を約束し、投資家らにアピールする」と話す。

「女性起業家やリーダーは、この類の男性起業家とは性質が異なることが多い。特にコミュニケーション面で違いが顕著にでる。さらに、女性起業家は資金調達になると、できる限りリスクを避け、慎重になる傾向がある。だからと言い、女性起業家はユニコーン企業を生み出せないというわけではないけれど、性の違いによって資金調達の結果に違いが出ている事実を無視することはできない。」

ただ、VazirovaはFemtechにおける資金調達が燻っていることをそこまでネガティブには捉えていない。

「フェムテック業界はまだ若い。前例も少ない上に将来が不透明であるからこそ、投資家も市場リスクや機会を分析できずに投資に戸惑っているということも要因として大きい。今後、どんどんフェムテック業界で成功する企業が増えていけば、投資家もフェムテックへの投資により前向きになれる。これはフェムテック特有な現象ではなく、成長過程の業界にとっては至って自然な流れである。」

Frost & Sullivanはフェムテック企業が 2025年には$1.15bnにまで増えると予想している。中でも、妊娠、更年期関連のフェムテックサービスが業界を牽引していくであると予測する。

世界でも高齢化は進んでいる。その分、中年・高齢女性からのフェムテック需要は上がる一方だ。

F&SのDasは、「2030年までには、世界の女性人口の37%が15-40歳、それ以上の更年期・高齢女性は38%を占めることになる。全ての世代の女性にフェムテックサービスが行き届くようにその道標を示すのが私の仕事だ。中でも、更年期障害サービスは15-19%の成長ペースで今後増えていくであろう」と話す。

更に「7,8年後には、25%もの女性が60歳以上になる。ただ、彼女らのためのサービスが間に合っていない」と指摘する。

「女性の方が男性よりもアルツハイマーやパーキンソン病になる。その他にも、高齢女性特有の病はある。けれど、それらを治す医療も今はない。7,80代の女性の健康の悩みをフェムテックはどう解決できるか。そのこととじっくり向き合っていきたい。」

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