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最近読んだ仮面ライダー漫画と20年前に読んだ穿ったヒーロー漫画を結んだ線上の創作小噺vol.2


仮面ライダー(正義のミカタ)って悪の組織産だよねってお話しです。

初代ライダーの話だけど、改造人間にされた初代ライダーが、頭を弄られる前に(洗脳される前?)に逃げ出して復讐をする的な話だったような記憶があります。なんか極めて個人的な動機。(正確な情報をお知りの方はご教授ください。うろ覚えで書いてます。)

漫画だと強めに出たほうれい線みたいな手術痕に苦悩し、怒りを滾らせるライダー! 確かに凄いテクノロジーを持っていたとしても勝手に人体改造してはいけないよぁとおもいつつ、ライダーよそこには確固した理由が存在しているんだよ。。。と妄想を膨らませる楽しさがあって、理由がある以上地球に暮らす人々や組織には営利も存在しますって感じで小噺は進みます。


第二話  予算

俺は悪の組織に勤めている、しがないサラリーマンだ。

事務の仕事をしているので、一目で悪の組織とは喝破されないが

それなりに会社愛があるので正義の味方は嫌いだ。

最近、経理の仕事をしていて使用不図の莫大な予算計上を確認した。

上司にそのことを相談すると

「あぁ、これか・・・・
  
  これはそのままでいい。

  いつか君にも説明しなければいけないが、
  
  今はただ判子をおして提出してくれればいいから」。


と言われた。

え!?

半端な額じゃないっすよ

研究所の年間予算にも匹敵する額っすよ


「いいんだ!

  言うとおりにしなさい!」

「説明はするといっただろ・・・」


はい・・・・・

なんだ?

これはなんだ?


それも技術開発部門の特別開発課??

聞いたことも見たこともないぞ?

内部ラインでアクセスしてもエラーしかでないし・・・


腑に落ちない顔つきで仕事をしていたのが上司にもわかったのだろう


「おい、今日は1杯付き合え。」


と、終業間近に誘われた。


外は冬だった。
明日が近い時刻もあって凍えるように寒い

「なんだ、外はこんなに寒いのかぁ」

そうっすねぇ、朝も相当寒いっすよ、
課長はずっと地下のエアコン効いてるとこにしかいないっすからねぇ

「アジトの外で飲むのは久しぶりだ・・・な。」


そうっすね


言い忘れていたが基本、長が付く方々は自宅もアジト内にある。

大抵は単身赴任者で、24時間体制で監視がついている。

もちろんどこかにいる家族にも監視はついている。

守る為もあるが、いつでも始末できるようにするためでもある。

会社の為(仕事の為)に知らなくてはならないことは少なくない。

でも知りすぎた者は、有能であるが故に危険でもあるのだ。

俺はまだ下っ端の平社員だから監視は付いていない。

自宅からの通勤だし、GPSだって体に埋め込まれていない。

でも課長は違う、監視もGPSも、もしかしたら爆弾も・・・(もしくは溶解剤か)


「大丈夫だよ、ちゃーんと許可は取ってきた。

  それに話しておかなければいけないこともあるしな」。


昼間の予算のことですか・・・・?


「うん、まぁなぁ」


「ここにしようか、寒いから鍋でも良いな」


え、こんな人の多そうな居酒屋?


「バカ、人が多いところのほうがいいンだよ、誰も話に耳を澄ませたりしないだろ」。


ふむ (妙に納得)


「お前、会社は好きか」

上唇にビールの泡をつけた課長が唐突に聞く。


好きっす


「ふむ。
 
  んで正義の味方は嫌いと」 微笑。


そうっすねぇ、だって敵じゃないすか


「んで、まだ黒タイツは着たいか?  ふふふ」枝豆の殻を小鉢に投げる。


はぁ、まだ未練はあるっすねぇ、会社の為に身を張ってるし・・・


「そうか・・・・

 話しは変わるが、オマエ、いま病気とかしてるか?」


いえ


「虫歯とか、腰痛とか」微笑


それは課長でしょ、ははは


「うむ、そうだな・・・・・

  オマエは病院にいかない、俺は行く」 茄子の煮浸しのヘタをとっている


はい


「健康な人間に病院は必要ないが、病院はいつだって病人が必要だ」


へ?


「虫歯は治すが、虫歯が無くなっては困るということさ」先程届いた鍋からはグツグツとした音が聞こえてくる


そ、それって・・・・

「俺たちにセイギノミカタは必要ない

   しかし奴等には悪人が必要だ・・・・・・」


「これ以上はキビシクなってくるが、世の中には自己満足を満たすためだけに

 莫大な金額をスポンサードする輩もいる。

 当然大事なお客様で資金源だ、無下にも出来ん。

 しかし金はあるが力がない。

 力無き者に正義はなく、また正義も立証できん」。

・・・・・・・・


「金をもらって武器を与え、派遣社員を殴らせに行かせる・・・・

  長年掛けて開発した怪人を斬りに行かせる・・・・・」

・・・・・・・・・


「オマエはまだ若い。

  まだ、引き返せるぞ・・・・」


え!?


「俺はもうドップリだ。 死ぬときは骨も残らんよ。 ははは」

ハフハフと熱い豆腐に舌鼓を打つ


「それでも矜持はある。
  
  世界征服だけは譲れんぞ。

  ヤツラはせっせと金を運んでカタルシスとやらに身を浸せばいいのさ・・・・・

  ヒーローと名乗るガキどもも可哀相ではあるがな・・・・・」

3本目の銚子が転がった。

俺はこの寒い寒い冬を忘れない。

そしてこの上司を好きになった。

仕事もさらに好きになった。

清濁併せ呑むのが悪の花だ。


偽善者(正義のミカタ)なんかにゃ負けねぇぞ



  

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