芋女でいる自由をください

 がちがちの校則、ダサいことで知られる制服、それらに縛られている頃のほうが楽だった。

 3月1週、無事にサクラサク子たちは次々に見た目を変えていった。髪の毛を染めて、ゆるく巻いて、コンタクトにしたり埋没整形(?)したり。
 もともと校則の内側でも垢ぬけてまぶしく見えていた友人がどんどんお姉さんになっていく。同級生のインスタは知らない綺麗なお姉さんの自炊修行日記やら物件探し報告の場になっていた。

 サクラチル私は半ばキレながら後期入試の受験勉強をしていた。そんな変身なんてしてる暇ないと言い聞かせながら。進学先が決まったのは3月20日より後だったと記憶している。

 で、そのまま4月の終わりに塾講師のアルバイトを始めた。塾講師バイトはとっても楽。服装はスーツもしくはそれに準ずるもの、明るすぎる髪や華美な装飾は禁止。従うだけでいい。第2の制服である。

 保護者対応が怖すぎて塾講師を辞め、今では服装規定のゆるい、お惣菜を売るアルバイトをしている。
「そけいちゃんは、髪の毛染めないの?」
「ああいうミニスカートとか似合いそう」
「もっとお化粧とかちゃんとしなよ。そのほうが可愛いよ」
「むかしから全然見た目変わらないね」

 あーもううるせえ!!人の容姿にごちゃごちゃ言うな!うるせーーー
本人たちはよかれと思って言っているのだろう。しかし不愉快である。

 アドバイスするならその日からすぐ取り入れられそうなレベルの具体性をよこしやがれ!!!

 芋女は今日もダサいまま生きる。めんどくさいから。



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