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糸使いたち《創作小説》

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2021年4月の記事一覧

蜘蛛と人形師《創作短編》



 初めて会った時、そのガキはいっちょまえに煙管の煙を飲んでおった。私が黙ってそれを取り上げると、そいつは緩慢な動きでこちらを振り向いて金の双眸で私を見上げてきた。
 その目を見た時、これは屍だと感じた。命の宿っていない人形でも、瞳はもっとましな輝きを持つというのに。
 この絶望した目はなんだ、と。こんなガキが、輝くことが当然である金の双眸を持つこの少年が、こんなに淀んだ目をしている理由は一体

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