0102「野々村社長(46)」

私はいま29歳だ。29歳と言えば野々村芳和がコンサドーレ札幌で現役引退した歳だ。その後解説者やコンサドーレのアドバイザーを経て34歳の年に株式会社クラッキを設立、経営者となった。そして2013年から株式会社コンサドーレ代表取締役社長だ。

野々村社長の圧倒的な強みはその営業力だ。就任当初の2013年はJ2降格1年目。当初組まれた強化費は1.9億円。この額では戦えないと悟った社長は就任後すぐに自ら営業に動き3.5億まで引き上げた。その年の営業収入(売上)は10.7億、そして5年後、2017年の営業収入は26.7億だ。2018年は30億を超えると見込まれている。知ったように書いたが全て こちらの記事 の受け売りだ。

なぜ野々村社長はこれほどまでの営業力を発揮できるのか。

第一に「お金の使い方が分かっている」ということがある。言葉にしてしまうと簡単だが、少なくとも今のJリーグでは多くのクラブがそれを実践できていないようだ。2018シーズンのコンサドーレ躍進は「お金持ちのクラブが上手くお金を使えなかったから」とは野々村社長の言葉である。

サッカークラブにとっての「お金の使い方」というのはざっくり言えばどこからお金を持ってきて、どこにお金を支払うか、ということだ。そこにはざっくり思いつくだけでも「スポンサー」「サポーター」「監督・選手」「メディア」「クラブ職員」などなど、様々なステークホルダーが登場する。

ここで、例えば親企業からクラブに社長が派遣されてきたとする。この社長は「スポンサー」のことは分かるだろう。一番のスポンサーたる親企業から出向しているわけだから。ところが「サポーター」のことは分かるだろうか?どんな人がどんな風に、自分のチームを応援しているのか、あるいはしてきたのか。「監督・選手」のことは分かるだろうか?監督や選手はどう評価すればよいのか。選手の年俸の相場は、選手は何を求めて自分のクラブでプレーしているのか。おそらく理解できるようになるまで相当のモチベーションと対話の姿勢と時間が必要だ。

その点、野々村社長はどうだろうか。選手の経験があるのだから当然選手の心理は分かる。現役時代はコンサドーレの主将の立場も経験しているわけだからスポンサーが何を求めているかも、サポーターがどのようにコンサドーレと過ごしてきたかも十分把握できているだろう。少々こじつけ気味に言えば解説者時代にメディアの影響力や扱い方も把握しているかもしれない。コンサドーレの社長になる前は自分の会社で経営者も経験している。

だから、クラブが何を大切にし、そのためにどこにお金をかけるべきなのか分かるし、そのためにクラブがどのようなビジョンを示し、そのトップたる社長がどのように動けばお金が集まるのか理解できるのだ。完全に想像で言っているけど多分そうだ。

もう少し書きたいことがあるので続きはまた明日。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?